過活動膀胱薬ベタニス(頻尿薬)の作用機序と副作用 ベシケアとの違いは?

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  1. トイレが近い
    (頻尿)
  2. 急にトイレが我慢できないような感覚に襲われる
    (尿意切迫感)
  3. 我慢ができず尿漏れしてしまう
    (尿失禁)

このような症状は50歳以上の男性に多い悩みです。

しかし、若い方から高齢者まで多くの方が悩んでいることもわかっていました。

過活動膀胱は、膀胱の活動が通常より活発になるため起こると考えられている病気で、先述の3症状を引き起こします。

過活動膀胱には、ポラキスバップフォーという従来の頻尿薬が使用されていましたが、特定の副作用頻度が高くやや使いにくかったです。

2006年、特定の副作用を改善した過活動膀胱専用の頻尿薬ベシケアが発売され、

  • デトルシトール
  • ウリトス・ステーブラ
  • トビエース

と続きましたが、それでも特定の副作用は起こりやすいです。

そして、2011年に新しい作用機序(作用の仕方)の過活動膀胱薬ベタニスが発売され、
今までの頻尿薬で効果が見込めなかった方や副作用で続けられなかった方への使用が期待されています。

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過活動膀胱という新しい頻尿

日本排尿機能学会の調査では、

過活動膀胱で悩んでいる人は、40歳以上で810万人(12.4%)と推定されています。

過活動膀胱は、尿意切迫感(突然トイレが我慢できないような切迫感)を必須とした比較的新しい病気の概念で、同時に日中の頻尿と、夜間の頻尿を伴うことが多いです。

さらに、我慢ができず尿漏れ(尿失禁)してしまう場合もあります。

過活動膀胱は、その名の通り膀胱が必要以上活発に動き、膀胱容量を下げ、尿をためておけなくなると考えられています。

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トイレが近いとは?頻尿とは?

健康な人がトイレへ行く回数は、日中に5~7回、夜間(就寝中)は0回が正常です。

日中8回以上トイレに行き、夜間(就寝中)に1回以上トイレのために起きるようであるならば、それは頻尿です。

ベタニス、ベシケアのような過活動膀胱薬を検討するときかもしれません。

(ただし、頻尿の原因は、細菌感染、前立腺肥大症、パーキンソン病、骨盤底筋のトラブルなど多くあり、そちらの治療が優先されます)

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ベタニス発売の経緯

従来の過活動膀胱の治療は、抗コリン薬(ムスカリン受容体拮抗薬)が主役でした。

  • ベシケア
  • デトルシトール
  • ウリトス・ステーブラ
  • トビエース

抗コリン薬は、喉が渇いたり、便秘したり、視野が霧かかったりするなどの特定の副作用の頻度が高いです。(後述)

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若い方から高齢者まで多くの方が頻尿に悩んでいることがわかってきた今、

従来の頻尿薬と同等の効果、もしくはそれ以上の効果を持ち、副作用の頻度が低い新しい過活動膀胱薬の発売が望まれていました。

それをかなえた薬がベタニスで、日本初、世界初の作用機序を持つ過活動膀胱薬です。

過活動膀胱薬ベタニスとベシケアの作用機序の違い

ベタニスとベシケアは、膀胱容量を増大させて過活動膀胱に効果がありますが、作用機序は全く違います。

ベタニスの作用機序

ベタニスは、ミラベグロンを有効成分とする過活動膀胱薬です。

ベタニス錠50mg
(他に25mgのベタニスもあります)

<ベタニスの作用機序>

ベタニスは膀胱のβ3アドレナリン受容体(以下、ベータ3受容体)に作用し、膀胱容量を増大させて、尿意切迫感、頻尿、尿漏れを改善します。

ベータ3受容体とは

ベータ受容体は3種発見されています。

  • ベータ1
    心臓に主に存在して、受容体を刺激すると心臓の収縮力が強くなり、血圧も上昇する

  • ベータ2
    気管支や血管に主に存在して、受容体を刺激すると気管支を拡張させる

  • ベータ3
    膀胱に主に存在して、受容体を刺激すると膀胱用量が拡大する

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ベシケアの作用機序

一方、ベシケアはコハク酸ソリフェナシンを有効成分とする過活動膀胱薬です。

ベシケア錠5mg

(他に口の中で溶けるOD錠、2.5mgがあります)

<ベシケアの作用機序>

ベシケアは、アセチルコリンがムスカリンM3受容体に結合するのを抑え、膀胱用量を増大させます。

その結果、尿意切迫感、頻尿、尿漏れを改善します。

ムスカリンM3受容体とは

ムスカリン受容体は5種類(のサブタイプが)発見されています。
M1~M5まであり、M3受容体にアセチルコリンが結合すると膀胱を収縮させ、尿意切迫感、頻尿、尿漏れを起こさせます。

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ベタニスとベシケアの効果の違い

ベタニスとベシケアの効果の差は明らかにされていません。

ベタニスはベシケアより後に発売されている新しい作用機序の過活動膀胱薬ため、効果の差を期待したいですが、効果は同じくらいという評価が多いです。

ベタニスとベシケア、どちらを優先するかは医師の考え方によりますが、

歴史の長いベシケアを使って効果が不十分(もしくは副作用がつらい)であれば、ベタニスに変更するのが一般的です。

ベタニスとベシケアの副作用の違い

ベタニスは、従来の頻尿薬(抗コリン薬)の副作用である、喉の渇き、便秘などの副作用頻度をかなり下げました。

ただし、ベタニスの作用機序から考えると、喉の渇き、便秘などの副作用は起こらないはずですが、

薬を服用する上では胃腸系の副作用などが一定頻度で起こるようです。

副作用 ベシケア ベタニス
喉の渇き、口の渇き 28.3% 1.7%
便秘 14.4% 2.9%
視野が霧かかる 3.3%
全副作用頻度 45.5% 25.9%

(各添付文書より)

全副作用頻度をみると、ベタニスとベシケアはすごく副作用が起こりやすいヤバい薬に見えますが、実際は特定の副作用がほとんどです。

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ベタニスとベシケアの服用注意の違い

ベタニスとベシケアは作用機序に違いがあるため、服用に注意するポイントも違います。

ベタニス

ベタニスは従来の頻尿薬の副作用頻度を軽減できましたが、ベータ3受容体刺激作用はベータ1受容体までおよぶ場合があるため、脈を乱すことがあります。
(ベータ1受容体は心臓に多かったですね)

さらに、若い女性にはベタニスは使いません。

妊婦、授乳中の方も使えません。

警告

生殖可能な年齢の患者への本剤の投与はできる限り避けること。

動物実験(ラット)で、精嚢、前立腺及び子宮の重量低値あるいは萎縮等の生殖器系への影響が認められ、
高用量では発情休止期の延長、黄体数の減少に伴う着床数及び生存胎児数の減少が認められている。

ベタニス添付文書より

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ベシケア

ベシケアには抗コリン作用があるのは先述のとおりです。

そのため、眼圧を上昇させたり、胃腸の運動に影響を与えたりします。

また、目の瞳孔調整機能に影響が出ると、視野が霧かかったりする(ベシケアの副作用参照)場合があるため、運転などに注意が必要です。

眼調節障害(霧視等)、傾眠が起こることがあるので、高所作業、自動車の運転等危険を伴う作業に従事する場合には注意させること。

ベシケア添付文書より

ベタニスとベシケアの飲み方の違い

ベタニスとベシケアの飲み方の大きな違いはありません。

ベタニスであれば50mg、ベシケアであれば5mg。
mg数の大きい錠剤を服用するのが過活動膀胱薬の標準量です。

1日1回食後にベタニス錠50mg(ベシケア錠5mg)を服用します。

肝臓の機能が弱っている方は、ベタニス錠25mg(ベシケア錠2.5mg)からスタートする場合もあります。

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ベタニスとベシケアは効かない?

ベタニスとベシケアは効かないとも聞きます。

確かにベタニス、ベシケアに限らず、過活動膀胱薬は効果のとらえ方が難しいです。

頻尿で命が危険にさらされることはなく、過活動膀胱薬は生活の質(QOL)を向上させるにすぎません。

ベタニス、ベシケアでトイレへ行く回数が減ったとても、本人が頻尿を気にしているのであれば「効かない」と不満が出ます。

実際、ベタニスとベシケアの効果はトイレの回数をせいぜい1~2回減らす程度で、トイレの回数を気にならない程度にコントールすることは難しいです。

同様に、尿意切迫感、尿漏れ(尿失禁)、夜間頻尿も、劇的に改善できるわけではありません。

そこで、考えられたのがベタニス、ベシケアの併用です。

ベタニスとベシケアの併用

ベタニスとベシケアは作用機序が違うため、併用すると相乗効果が期待できます。

しかし、現在ベタニスとベシケアの併用は添付文書上は積極的ではないようです。

現時点では、過活動膀胱の適応を有する抗コリン剤と併用した際の安全性及び臨床効果が確認されていないため併用は避けることが望ましい。

ベタニス添付文書より

しかし、私はベタニスとベシケアの併用処方は何度も目にしています。

今のところ、併用で何かの副作用があったなどの報告はありません。

まとめ

  1. 頻尿、尿意切迫感、尿失禁は、若い方から年配の方まで多くの方が悩んでいる
  2. これら3症状は、通常より膀胱の活動が活発になるため起こると考えられ、過活動膀胱と呼ばれている
  3. 過活動膀胱を改善する頻尿薬は昔からあったが、喉の渇き、便秘などの副作用が起こりやすくやや使いにくかった
  4. 抗コリン薬と同じくらいの効果を持ち、副作用の頻度が低い過活動膀胱薬がベタニス
  5. ベタニスは新しい作用機序を持つ過活動膀胱薬
  6. ベタニスは、膀胱のβ3アドレナリン受容体に作用して、過活動膀胱の症状(尿意切迫感、頻尿、尿漏れ)を改善する
  7. ベタニスは効かないわけではないが、劇的な効果は望めない
  8. ベタニスは若い女性には使わない(慎重投与)