インフルエンザ薬タミフル、吸入薬イナビルの効果と副作用

体温を測る男性

インフルエンザの薬は5種類あります。

  • 飲み薬:タミフル、シンメトレル
  • 吸入薬:イナビル、リレンザ
  • 点滴薬:ラピアクタ
  • (特殊:※アビガン)

軽度から重度のインフルエンザの治療に使用される薬は、飲み薬タミフルと点滴薬ラピアクタで、
軽度のインフルエンザの治療に使用される薬のほとんどは、飲み薬タミフルと吸入薬イナビルです。

タミフル、イナビルの効果・副作用を比較しながら解説します。

※アビガンは製造・承認に特別な国の許可がいるため、2016年現在一般流通していません。

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インフルエンザの飲み薬タミフルとは

インフルエンザ薬タミフル、イナビル、リレンザの違いと耐性ウイルス
タミフル、イナビル、リレンザの作用の仕方は同じですが、対象となる年齢や用法等が違います。

タミフル発売前のインフルエンザ薬シンメトレル

シンメトレル錠50mgと100mg

もはや説明不要かもしれませんが、タミフルはインフルエンザの治療や予防に使う飲み薬です。

タミフルが発売されるまでは、シンメトレル(アマンタジン)という薬がインフルエンザに使用されていましたが、A型インフルエンザのみの効果でした。

もともとシンメトレルはパーキンソン病などで使用される薬のため、神経や胃腸に対する副作用が比較的現れやすく、インフルエンザには使いにくい薬でした。

タミフル耐性インフルエンザが注目を浴びたときに、一時的にシンメトレルを使うことがありましたが、
現在は、インフルエンザ薬としてのシンメトレル使用例はほとんどありません。

タミフルはA型B型インフルエンザに有効

タミフルカプセル75mg

タミフルは、A型とB型のインフルエンザの治療と予防に使われます。
(C型インフルエンザもありますが、C型の診断キットや薬はありません)

タミフルは、インフルエンザウイルスのノイラミダーゼという酵素を阻害することで、効果を発揮します。

タミフル(イナビル)の効果のイメージ

タミフル、イナビルの作用機序

インフルエンザウイルスは、細胞内に入り子ウイルスを作り細胞外へ出ていきます。

タミフル、イナビルなどのインフルエンザの薬は、細胞外へ出ていく過程をブロックして、ウイルスの増殖を抑えます
(インフルエンザ薬には、殺ウイルス効果はありません

タミフルの使い方(飲み方)

タミフルは、インフルエンザの発熱などの症状が発現してから2日(48時間)以内に飲み始めるようにします。

タミフルを治療に使う場合、
体重37.5kg以上の子供と15歳以上の大人は、1回1カプセルを1日2回朝夕食後、5日間飲むのが標準的な使い方です。

体重37.5kg未満の子供は、主にタミフルドライシロップを使います。

※2016年11月24日から0歳児もタミフルを使えるようになる予定です。

タミフルドライシロップ3%

タミフルドライシロップとイナビルは子供(幼児)に効かない?苦い味VS吸入
子供にタミフルドライシロップ、イナビルなどが使用されることがありますが、苦み味と吸入という使い方のため、どちらも色々な意味で苦労する薬でもあります。

ただし、透析等を行っていて腎臓の機能が弱っている場合は、1日1回1カプセル、2日に1回1カプセル服用という飲み方もあります。

タミフルの効果

タミフルのインフルエンザ治療効果

国内で実施された第Ⅲ相臨床試験(タミフルカプセルを1日2回朝夕食後、1回1カプセル、5日間服用)の結果によると、

タミフルはインフルエンザの罹病期間(全ての症状が改善するまでの時間)を23.3時間短縮する効果があります。(対象は大人)

タミフルとプラセボを服用した時のインフルエンザ症状の継続時間
(単位:時間)

インフルエンザ症状 プラセボ タミフル
発熱 23 10
だるさ 41 24
筋肉痛 28 16
55 31
喉の痛み 21 10
頭痛 14 8
鼻づまり 43 33

タミフルとプラセボと比較すると、インフルエンザ症状の継続時間を短縮する効果があることがわかります。

インフルエンザ症状の短縮時間(効果)をグラフで示すと次の通りです。

タミフルのインフルエンザ症状短縮時間(効果)

 

タミフルのインフルエンザの重症化抑制効果

【妊婦のインフルエンザ】タミフル、イナビル、リレンザは赤ちゃんに大丈夫?
妊婦は重症化するリスクが比較的高いため、インフルエンザの薬(タミフル、イナビル、リレンザ)を使用することがあります。薬の妊婦と赤ちゃんへの影響を解説します。

次のグループは、インフルエンザに感染して発症した場合、重症化したり肺炎などの合併症を引き起こす可能性が高いことが分かっています。
(これがインフルエンザは怖いといわれる原因のひとつです)

  • 慢性呼吸器疾患
  • 慢性心疾患
  • 糖尿病などの代謝性疾患
  • 腎機能障害
  • ステロイド内服などによる免疫機能不全
  • 乳幼児
  • 65歳以上の高齢者
  • 妊婦

タミフルには、肺炎などを起こさせないインフルエンザの重症化抑制効果があります。

タミフル服用後3日目以降に、抗生物質(抗菌剤)による治療を必要とした、インフルエンザ重症化症状の発現率

重症化の症状 プラセボ タミフル 重症化抑制率
(効果)
肺炎 1.7% 1.4% 123%
気管支炎 2.6% 0.9% 277%
中耳炎 21.3% 12.0% 178%
副鼻腔炎 3.8% 3.2% 119%

重症化抑制率(効果)
   =プラセボ / タミフル

タミフルの副作用

タミフル承認時までの臨床試験では、比較的消化器系の副作用が多く認められましたが、
実際の医療現場では、タミフルを服用して副作用が出る確率は相当低いです。

タミフルの副作用 承認前
(臨床試験)
販売後調査
腹痛 6.8% 0.3%
下痢 5.5% 0.5%
嘔吐 3.9%
悪心 0.3%
発疹 0.2%
全ての副作用合計 27.5% 2.1%

インフルエンザ吸入薬イナビルとは

【インフルエンザ予防薬】タミフル、イナビル予防投与の効果、飲み方、使い方
インフルエンザ予防の基本は、ワクチンによる予防接種ですが、タミフル、イナビルは、緊急的、一時的に予防薬として使用されることがあります。飲み方、使い方、タイミング、効果について解説します。

イナビルが発売される前のインフルエンザ薬

イナビルが発売される前は、インフルエンザ薬は、飲み薬のタミフルと吸入薬リレンザしかなく、どちらも5日間の内服もしくは吸入が必須でした

  • 毎日5日間、内服するタミフル
  • 毎日5日間、吸入するリレンザ

リレンザ

リレンザ

イナビルは、1度きりの吸入でインフルエンザの治療の完結を可能にした吸入薬です。

イナビル吸入粉末剤20mg

イナビルもA型B型インフルエンザに有効

イナビルもタミフルと同様に、インフルエンザウイルスのノイラミダーゼという酵素を阻害して効果を発揮するため、A型とB型のインフルエンザの治療と予防に使われます。
(C型インフルエンザウイルスには、ノイラミダーゼが存在しない)

イナビルのインフルエンザウイルスに対する効果範囲

イナビルは広範囲のインフルエンザウイルスに抗ウイルス作用を示すというマウスでの実験データがあります。

  1. 薬剤耐性インフルエンザウイルス
    (A/H1N1型※1、A/H3N2型※2、B 型※3、A/H5N1型※4)
  2. 新型ヒトインフルエンザウイルス
    (A/H1N1 pdm09※5)
  3. 高病原性鳥インフルエンザウイルス
    (A/H5N1 型)

※1:H274Y変異株
※2:R292K 変異株、E119V 変異株
※3:G402S 変異株
※4:H274Y 変異株、N294S 変異株
※5:2009年の新型インフルエンザ

イナビルの使い方(吸入方法)

イナビルはインフルエンザの発熱などの症状が発現してから2日(48時間)以内に吸入します。

出典:第一三共HP

イナビルは、同じ吸入薬のリレンザと比較すると、小さな子供(5歳以上が目安)でも容易に吸入できます。

10歳以上
イナビル2本を単回吸入する
10歳未満
イナビル1本を単回吸入する

単回吸入:容器内の薬を吸いきる

イナビルとタミフルの大人への効果を比較

インフルエンザの解熱剤はロキソニンNG?カロナール(アセトアミノフェン)OK?バファリンは?
実際の医療現場では、ロキソニンをインフルエンザに使う医師もいれば、使わない医師もいます。しかし、子供に関しては、カロナール(アセトアミノフェン)がほとんどです。

イナビルとタミフルの大人への効果を比較した試験の結果は同等です。

インフルエンザウイルス感染症を対象としたタミフルを対照とする無作為化二重盲検比較試験(第Ⅲ相国際共同試験)にて証明されています

インフルエンザ罹病期間
(単位:時間)

インフルエンザのタイプ リレンザ タミフル
A/H1N1型 74 77.5
A/H3N2型 72.5 67.5

※イナビルは2本吸入。タミフルは1日2回、1回1カプセル、5日間服用

時間軸で累積罹病割合をプロットしたグラフは次のようになります。

イナビル、タミフルのインフルエンザ罹病時間

出典:イナビルインタビューフォーム(医療者向け詳細説明書)

体温が平熱に回復するまでの時間

  • リレンザ:55.3時間
  • タミフル:54.7時間

イナビルの副作用

タミフル、リレンザ、イナビルはインフルエンザ異常行動の原因?
インフルエンザの時期になると、メーカーからタミフルの異常行動に関する注意喚起の冊子が郵送されてきます。タミフル、リレンザ、イナビルはヤバい薬なのでしょうか?

イナビルもタミフルと同様に、副作用が発現する確率は相当低いです。

副作用ではないのですが、イナビルを吸入したときに直接肺へ入ることが原因で咳き込む場合があります。

イナビルの副作用(成人)

副作用 発現率
下痢 0.31%
めまい 0.11%
悪心 0.08%
蕁麻疹 0.0%
その他の副作用 0.82%
合計 1.40%

※販売後の調査

まとめ

  1. タミフルは、体重(37.5kg)でカプセル、ドライシロップを使い分ける
  2. イナビルは、年齢(10歳)で吸入の本数の違いがある
  3. タミフル、イナビルなどのインフルエンザ薬は、インフルエンザの罹病期間の短縮効果と、重症化抑制効果がある
  4. タミフルとイナビルの、大人のインフルエンザに対する効果は同等なので、使いやすい(飲みやすい)方を選べばよい
  5. タミフルとイナビルには、消化器系の副作用を起こすことがあるが、副作用発現率は相当低い

タミフル、イナビルの効果、副作用の情報元は、添付文書もしくはインタビューフォームです。