【偏頭痛予防薬の効果と副作用】デパケン、トリプタノール、インデラル、ミグシス、テラナス、セレニカ

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偏頭痛は、日常に起こる肩こり、腰痛、関節痛などと違い、いつ起こるか予想しにくく対処しにくい病気です。

偏頭痛の頻度が高い場合や、痛みが強く日常生活に支障をきたす場合などは、積極的に片頭痛予防薬を飲んだほうが、痛みが軽減される上に家計にもやさしいです。

偏頭痛薬トリプタンは非常に値段が高く、1錠あたり1000円程度します。
3割負担の方のトリプタン1回の使用コストが約300円です。

つまり、偏頭痛が起こるたびに約300円必要になり、経済的負担を強いられます。

一方、偏頭痛予防薬は比較的安く、偏頭痛の頻度や痛みの度合いの軽減効果が期待できます。

偏頭痛予防薬は、保険適応が通っている薬から、保険適応がないが経験的に使用されている薬まで、様々な薬があります。

その中でも偏頭痛の予防が高いと推奨されている5種類の偏頭痛予防薬を解説します。

  1. デパケン(セレニカ)
  2. トリプタノール
  3. インデラル
  4. ミグシス
  5. テラナス
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偏頭痛予防薬が必要なとき

偏頭痛の頻度が高い(月に2回以上)

頭痛薬や偏頭痛薬トリプタンを飲む頻度も高いと推測できます。

頭痛薬や偏頭痛薬トリプタンを連用すると、頭痛のスパイラル(薬物乱用頭痛)におちいる場合があり注意が必要で、偏頭痛予防薬を試す価値はあります。

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偏頭痛の痛みが重度で日常生活に支障を来たしている

少しでも偏頭痛を起こす頻度と、起こしても重度の痛みとならないようにするためです。

偏頭痛薬トリプタンが効かないとき

一定の頻度で、偏頭痛薬トリプタンが効かない方がいます。

偏頭痛予防薬のメリット

残念ながら偏頭痛予防薬は、偏頭痛を完全に抑える効果はありません。

しかし、偏頭痛予防薬は片頭痛の頻度を少なくし、痛みの強さと持続時間を減らす効果があります。

総合的に日常生活や社会生活への支障を軽減できます。
また、偏頭痛予防薬は安価で偏頭痛薬トリプタンと比較すると経済的です。

偏頭痛予防薬の効果

偏頭痛予防薬はなかなか効かない

偏頭痛薬トリプタンの効果発現時間は速く、2時間以内に期待できます。

しかし、偏頭痛予防薬は今日飲んだら明日から偏頭痛が起こらなくなるわけではなく、なかなか効いてきません
その間に「偏頭痛予防薬は効かない」と自己判断で中止しないように注意が必要です。

偏頭痛予防薬の効果が表れるのは、3ヵ月程度といわれています。

偏頭痛予防薬に期待する効果

偏頭痛予防薬の効果は個人差があります。
そして、偏頭痛予防薬に期待する効果にも個人差があると思います。

ほとんどの方が期待される効果は偏頭痛の消失ですが、なかなか思うように効きません。

一般的に期待される偏頭痛予防薬の効果は2種類です。

  1. 偏頭痛の程度の軽減
  2. 偏頭痛の頻度の減少

2~3カ月服用してみて効かないようであれば、他の偏頭痛予防薬を併用したり変更もあります。

予防効果が実感できれば、偏頭痛予防薬を数カ月継続服用します。

偏頭痛予防のゴール

偏頭痛のコントロールができるようになれば、少しずつ偏頭痛予防薬を減量していきます。最終的には中止も可能です。

偏頭痛の治療では、偏頭痛が起こった日や時間、痛みの程度、服用した薬の種類などを記録する頭痛日記ダイアリーを付けるようにいわれると思います。

特に、偏頭痛予防薬の効果の評価においては、偏頭痛の記録は重要です。

偏頭痛予防薬の種類

日本慢性頭痛学会のガイドラインでは、偏頭痛予防の第一選択として推奨されている薬が4種類あります。

  1. 抗けいれん薬のデパケン、セレニカ(バルプロ酸)
  2. 三環系抗うつ薬のトリプタノール(アミトリプチリン)
  3. 降圧薬のインデラル(プロプラノロール)
  4. 偏頭痛予防薬のミグシス、テラナス(ロメリジン)

ミグシス、テラナス(ロメリジン)は生粋の偏頭痛予防薬です

ミグシス、テラナス(ロメリジン)を除くと、もともとは血圧の薬だったり、抗けいれん薬だったりする薬が偏頭痛予防薬として使用されています。

既往歴や治療中の病気があれば、その病気に近い偏頭痛予防薬を少量からスタートすることが多いです。

偏頭痛予防薬:デパケン、セレニカ

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デパケン、セレニカとは

デパケンとセロケン

左からデパケン200錠、デパケンR200錠、セレニカR200mg

デパケンとセレニカは、バルプロ酸を有効成分とする日本頭痛学会推奨グレードAの薬です。

デパケンとセレニカの違いは、デパケンは普通錠とR錠(ゆっくり溶けて長く効く錠剤)がありますが、セレニカにはR錠しかありません。

デパケンとセレニカは、もともとは抗けいれん薬です。

デパケンとセレニカは、経験的に偏頭痛予防薬として使用されてきましたが、2011年に健康保険上の「偏頭痛発作の発症抑制」の適応を取得しました。

しかし、なぜデパケンとセレニカに偏頭痛予防効果があるかは、はっきりわかっていません。

デパケンとセレニカなどの抗けいれん薬には、脳神経の興奮を抑える作用があるため、偏頭痛を予防するのではないかと考えられています。

偏頭痛予防で使うデパケンとセレニカの用法用量

偏頭痛予防薬としてデパケンとセレニカを使う場合、400~800mgを1日2~3回(R錠:1日1~2回)に分けて飲むことが多いです。効果の出る量は人それぞれです。

デパケンとセレニカの副作用

もともとデパケンとセレニカはけいれん発作を予防する薬ですので、吐き気、めまい、眠気の副作用が起こりやすいです。

デパケンとセレニカは、奇形発生率を上げるという報告があるため、妊娠中の方は原則禁忌です。

偏頭痛の予防が期待できる抗けいれん薬

薬の名前 有効成分 推奨グレード 保険の適応
デパケン
セレニカ
バルプロ酸ナトリウム A
トピナ トピラマート A ×
ガバペン ガバペンチン ×

偏頭痛予防薬:トリプタノール

トリプタノールとは

トリプタノール

トリプタノールは、アミトリプチリンを有効成分とする、日本頭痛学会推奨グレードAの薬です。

トリプタノールは、もともとは三環系抗うつ剤ですが、抗うつ薬の一部も偏頭痛の予防に効果があることが分かっています。

そのなかでも、トリプタノールが偏頭痛予防薬として推奨されています。

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ただし、トリプタノールには偏頭痛予防の保険適応はありません。

トリプタノールは、特に緊張型頭痛も併発している偏頭痛への予防効果が高いといわれています。

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三環系抗うつ薬は、喉の渇きや便秘などの副作用が起こりやすいため、SSRIやSNRIと呼ばれる、比較的副作用の少ないタイプの抗うつ薬が、偏頭痛の予防に使用される場合もあります。

しかし、SSRIやSSRIの偏頭痛に対する予防効果のデータはまだ少なく、効果も三環系抗うつ薬ほど期待できないようです。

トリプタノールもデパケンとセレニカと同じで、なぜトリプタノールが偏頭痛に対して予防効果があるのかは、はっきりわかっていません。

トリプタノールのノルアドレナリンの濃度を増やしたり、痛みを抑える神経を強化する作用のためではないかと考えられています。

偏頭痛予防で使うトリプタノールの用法用量

トリプタノールを低用量から用いることにより副作用を軽減できます。効果も個人差があり、この量が効くという決まりもないようです。

トリプタノールの副作用

喉の渇き、便秘、眠気、胃の不快感の副作用が起こる場合があります。

偏頭痛の予防が期待できる抗うつ薬

分類 薬の名前 有効成分 推奨グレード 保険の適応
三環系
抗うつ薬
トリプタノール アミトリプチリン A ×
トフラニール イミプラミン ×
ノリトレン ノルトリプチン ×
SSRI パキシル パロキセチン ×
SNRI サインバルタ デュロキセチン ×
トレドミン ミルナシプラン ×

偏頭痛予防薬:インデラル

インデラルとは

インデラル

インデラルは、プロプラノロールを有効成分とする、日本頭痛学会推奨グレードAの薬です。

β遮断薬というカテゴリーに含まれる高圧薬の一部の薬は、偏頭痛に対して予防効果があることが分かっています。

代表とする薬が、インデラルです。

インデラルもデパケンとセレニカと同様、経験的に偏頭痛予防薬として使用されてきました。2013年に健康保険上の「偏頭痛発作の発症抑制」の適応を取得しました。

β遮断薬とは
アドレナリンβ受容体をブロックして、血圧を下げたり脈の乱れをコントロールしたりする目的で使われることが多い

ただし、β遮断薬は、病気によっては使えない(気管支喘息、うっ血性心不全、低血圧)ため、注意し使用しなくてはなりません。

偏頭痛予防で使うインデラルの用法用量

インデラルを1日20~30mgを1日2~3回にわけて開始します。効果が不十分な場合は60mgまで漸増可能です。

インデラルの副作用

インデラルは、もともと高血圧症、不整脈、狭心症などで使用される薬ですので、低血圧や脈の乱れに注意する必要があります。

高血圧や不整脈などの合併症をもつ偏頭痛持ちの方には、インデラルはちょうどいい偏頭痛予防薬かもしれません。

インデラルの禁忌薬

偏頭痛の痛みを抑える薬であるマクサルト(リザトリプタン)との併用ができません。

リザトリプタンの消失半減期が延長、AUCが増加し、作用が増強する可能性がある。
本剤投与中あるいは本剤投与中止から24時間以内の患者にはリザトリプタンを投与しない。

インデラル添付文書より

偏頭痛の予防が期待できる降圧薬

分類 薬の名前 有効成分 推奨グレード 保険の適応
β遮断薬 インデラル プロプラノロール A
セロケン メトプロロール A ×
ロプレソール A ×
テノーミン アテノロール ×
ナディック ナドロール ×
Ca拮抗薬 ワソラン ベラパミル B ×
ACE阻害薬 ゼストリル リシノプリル B ×
ロンゲス
レニベース エナラプリル ×
ARB ブロプレス カンデサルタン B ×

偏頭痛予防薬:
ミグシス、テラナス

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ミグシス、テラナスとは

テラナス

テラナス

ミグシス、テラナスは、ロメリジンを有効成分とする生粋の偏頭痛予防薬で、日本頭痛学会推奨グレードBの薬です。

ミグシス、テラナスは名前とメーカーが異なるだけで、全く同じ成分の薬です。

ミグシス、テラナスには、次のような作用が認められています。

  1. 偏頭痛のきっかけとなる、血管収縮を抑制する作用
  2. 偏頭痛の前兆の原因の発生を防止する作用

ミグシス、テラナスの用法用量

ミグシス、テラナスを1日2回(朝食後と夕食後or就寝前)に1回1錠服用します。
効果が不十分なときは、1回2錠まで増量可能です。

ミグシス、テラナスの副作用

高頻度で起こる副作用はありませんが、眠気、めまい、吐き気を起こす場合があります。

デパケン(セレニカ)トリプタノール、インデラル、ミグシス、テラナスの比較

分類 薬の名前 有効成分 推奨
グレード
保険の
適応
抗けいれん薬 デパケン
セレニカ
バルプロ酸ナトリウム A
トピナ トピラマート A ×
ガバペン ガバペンチン ×
三環系抗うつ薬 トリプタノール アミトリプチリン A ×
トフラニール イミプラミン ×
ノリトレン ノルトリプチン ×
SSRI パキシル パロキセチン ×
SNRI サインバルタ デュロキセチン ×
トレドミン ミルナシプラン ×
β遮断薬 インデラル プロプラノロール A
セロケン メトプロロール A ×
ロプレソール メトプロロール A ×
テノーミン アテノロール ×
ナディック ナドロール ×
Ca拮抗薬 ミグシス
テラナス
ロメリジン B
ワソラン ベラパミル B ×
ACE阻害薬 ゼストリル
ロンゲス
リシノプリル B ×
レニベース エナラプリル ×
ARB ブロプレス カンデサルタン B ×
ビタミンB2 ハイボン リボフラビン酪酸エステル B ×

まとめ

  1. 偏頭痛の頻度が高い場合や、痛みが強く日常生活に支障をきたす場合などは、積極的に片頭痛予防薬を飲んだほうが、痛みが軽減される上に家計にもやさしい
  2. 偏頭痛予防薬は、片頭痛の頻度を少なくし、痛みの強さと持続時間を減らす効果がある
  3. ただし、偏頭痛予防薬はなかなか効かない。約3カ月は必要とされている
  4. 偏頭痛の頻度が減れば、少しずつ偏頭痛予防薬を減量して、最終的には中止も可能。
  5. 生粋の偏頭痛予防薬はミグシス、テラナスのみで、もともとは血圧の薬(インデラル)、抗けいれん薬(デパケン、セレニカ)、抗うつ薬(トリプタノール)だったりする薬が偏頭痛予防薬として使用されている