ピロリ菌除菌薬ランサップで下痢(副作用)発生!成功と失敗のキーは?

今でしょ

胃潰瘍、十二指腸潰瘍の原因の多くがピロリ菌の感染です。
ピロリ菌の感染は、胃がんの原因のひとつでもあります。

一度ピロリ菌が感染すると、自然に除菌されることはほとんどなく、ピロリ菌除菌薬を使って除菌する必要があります。

ピロリ菌除菌薬

  • 1次除菌薬:ランサップ、ラベキュアパック、ボノサップパック
  • 2次除菌薬:ランピオンパック、ラベファインパック、ボノピオンパック

ピロリ菌除菌薬には特有の副作用があり、1週間+数日は少しつらい思いをするかもしれません。

今回は、ピロリ菌除に使用経験の多いランサップを例に挙げて、ピロリ菌除の成功と失敗について解説します。

ピロリ菌の正式名称は「ヘリコバクター・ピロリ」です。

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ピロリ菌除菌薬ランサップとは

左:ランサップ400、右:ランサップ800

ランサップは、タケプロン、アモリン、クラリスがワンパックになったピロリ菌の除菌専用薬です。

ランサップには、ランサップ400とランサップ800があります。

ランサップ400と800の違い

ランサップ400800の違いは、抗生物質クラリスの服用量です。
(上写真の赤で囲んでいるところ)

ランサップ400では、1回のクラリスの服用量が1錠で、1日400mgです。
一方、ランサップ800では、1回のクラリスの服用量が2錠で、1日800mgです。

もともと、ピロリ菌除はクラリスの1日量800mgで行っていましたが、クラリス1日400mgを服用した場合でも、ピロリ菌の除菌成功率はほとんど変わらないことがわかっています。

つまり、ランサップにはランサップ400とランサップ800がありますが、ピロリ菌の除菌成功率はほとんど変わりません。
(ただし、喫煙者の場合、ランサップ400では約10%失敗率が上昇する)

さらに、クラリスの服用量が多いランサップ800は、ランサップ400と比べると下痢の副作用発現率が高くなるため、最近ではランサップ400が主流になりつつあります。

※以下、本記事のランサップとはランサップ400を指します。

ランサップの構成薬の役割

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ランサップの構成薬1:
タケプロン(PPI)

ピロリ菌は高酸性下で活発に活動します。タケプロンは抗生物質クラリス、アモリンの除菌効果を高めるため使用されます。

タケプロンは、ピロリ菌除の成功失敗の影の立役者と考えられています。

胃は、空腹時でpH1~2の強酸、食中・食直後はpH4~5の状態です。

胃が強酸の状態では、抗生物質がピロリ菌に対して除菌効果を強く発揮できず、ピロリ菌の除菌に失敗する場合があります。

できるだけ胃酸の酸性度を弱めて、一時的に胃の環境を中性に近くする必要があります。

タケプロンとは
タケプロンは、ランソプラゾールを有効成分とするPPI(プロトンポンプ阻害剤)というカテゴリーの胃薬です。
PPIは、プロトンポンプ(胃酸が出る蛇口)を閉めて、強力に胃酸の分泌を抑制します。
pHとは
pHは0~14まであります。pH7=中性です。
pH7未満が酸性で、低いほど強い酸性。
逆に、pH7を超えるとアルカリ性。

ランサップの構成薬2:
アモリン

アモリンは、アモキシシリンを有効成分とする抗生物質です。

アモリンは、ピロリ菌を除菌するために使用します。

ランサップの構成薬3:
クラリス

クラリスは、クラリスロマイシンを有効成分とする抗生物質です。

クラリスは、ピロリ菌を除菌するために使用します。

クラリスを1日400mg、800mg服用するときの、ピロリ菌除に対する効果はあまりかわらないため、費用対効果はランサップ400のほうが優秀です。

ピロリ除菌薬ランサップの除菌成功率

ランサップを正しく服用すれば、80%以上の方がピロリ菌の除菌に成功します。

しかし、ランサップを含むピロリ菌除菌薬を服用した方の実際のピロリ菌除菌成功率は、70%程度と言われています。

ランサップの除菌成功率(臨床試験の結果)

ランサップ400 ランサップ800
ピロリ菌除菌成功率
(胃潰瘍)
87.5% 89.2%
ピロリ菌除菌成功率
(十二指腸潰瘍)
91.1% 83.7%

ピロリ菌除菌失敗 4つの原因

ピロリ菌除菌(1次除菌)に失敗する主な原因は4つです。

失敗原因1:
ピロリ菌除菌薬の中止

ランサップを飲むと、下痢味覚異常などの副作用が意外と多く発生します。それが原因でランサップを続けるのを止めてしまう方がいます。

ランサップの中止は、ピロリ菌の除菌に失敗する大きな要因です。

失敗原因2:
クラリスロマイシン耐性のピロリ菌

クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)は、子供から大人まで咳、痰などの呼吸器系、耳鼻科系の症状に使用されることが多く、最近の耐性化率は上がってきていると考えられています。

クラリスロマイシン耐性のピロリ菌が多い場合、クラリスではの十分な除菌効果を得られません。

クラリスロマイシン耐性のピロリ菌が多く存在したとき、除菌に失敗する可能性があります。

失敗原因3:
タケプロン(PPI)の胃酸分泌抑制効果が不十分

タケプロン(PPI)の胃酸分泌抑制効果が不十分だった場合、ピロリ菌除菌の主役となるクラリスとアモリンの効果が減弱し、除菌に失敗する場合があります。

タケプロン(PPI)は、昼間(日中)の胃酸分泌抑制効果は優れていますが、夜間の胃酸分泌抑制効果はH2ブロッカー(ガスター、プロテカジンなど)に劣ります。

さらに、十分な胃酸分泌抑制効果が表れるまでに1日程度かかるため、除菌作用を増強する相乗効果にタイムラグが発生する場合があります。

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失敗原因4:
喫煙

喫煙者の場合、ランサップは約10%失敗率が上昇するという報告があります。

ランサップの副作用

ランサップは、下痢軟便苦味(味覚異常)の副作用が比較的多く発生します。

下痢、苦みなどの副作用は、ランサップなどのピロリ菌除菌薬の中止で改善しますが、ピロリ菌除菌薬の中止は、ピロリ菌の除菌を失敗させる直接原因です。

下痢・軟便の副作用防止には、ビオフェルミンR、ラックビーRなどの整腸剤の併用が有効です。

ランサップの副作用

副作用 副作用率
軟便 13.7%
下痢 9.1%
味覚異常 1~5%
発疹
腹部膨満感

軟便、下痢、味覚異常が軽度の場合は、最後までランサップを飲みきってください。

どうしてもつらいときは一度医師にご相談ください。

ただし、腹痛をともなう下痢、血便が発生、ひどい湿疹、発熱などが発生した場合は、速やかに医師にご連絡ください。
重大な副作用が発生している可能性があります。

ピロリ菌除菌に失敗 次の手は

1回目のピロリ菌除菌薬(1次除菌薬)は、ランサップ、ラベキュアパック、ボノサップパックです。

ランサップで失敗したら、ラベキュアパック、ボノサップパックを試してみたいところですが、1次除菌薬に使用できるのは、ランサップ、ラベキュアパック、ボノサップパックのどれか1種類です。

2回目のピロリ菌除菌(2次除菌)は、別のピロリ菌除菌薬を使用します。

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まとめ

  1. 初めてのピロリ菌の除菌(1次除菌)は、ランサップなどのピロリ菌除菌薬が使われる
  2. ランサップの構成薬は、タケプロン、アモリン、クラリス
  3. ピロリ菌の1次除菌の成功率は70%程度
  4. ピロリ菌除菌薬は、下痢・軟便、苦味(味覚異常)の副作用が比較的多く発生する
  5. そのため、ピロリ菌除菌薬を自己判断で中止する場合がある
  6. ピロリ菌除の失敗の原因の多くは、ピロリ菌除菌薬の中止とクラリスロマイシン耐性菌