新築分譲マンション販売価格(値段)の法則 原価はいくら?

不動産
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不動産価格の計算方法は主に3種類あり、今回は原価積上法を取り上げます。

  1. 取引事例比較法
    居住用の中古マンションから中古戸建てまで幅広く活用できる
  2. 収益還元法
    投資用マンションの価値(収益価格)を調べるときに活用する
  3. 原価積上法
    新築マンションや新築戸建ての価格を設定するときに活用する

 

原価積上法の基本的な考え方は、原価を足していき、最後に利益を乗せて終了です。

新築分譲マンションの販売価格(値段)は、中古マンションのように相場で作られていくわけではなく、原価や総元の利益で作られるのが特徴です。

原価の説明から始め、ヴァーチャル新築分譲マンションを建設し、販売価格を検討してみましょう。

原価積上法とは

本記事でいう原価とは、土地の取得費用建設費用広告費用を指します。

新築分譲マンション一棟販売価格(値段)
=原価+利益
=①新築分譲マンション土地代(原価)
+②新築分譲マンション建築費用(原価)
+③新築分譲マンション広告費用(原価)
+④総元の利益

「原価積み上げ」をイメージしたのピラミッド図

原価1 新築分譲マンション土地の取得費用

新築分譲用マンション用の土地の仕入れから、マンション完売までは長い年月を必要とします。

土地の仕入れ自体が、かなりリスクを取った仕事と言えます。

新築分譲用マンションの建設に適した良い土地を仕入れる。これにつきます。

中古ワンルームマンション投資で失敗する5つの理由(関西大阪版)

原価2 新築分譲マンション建築費用

現在、東京オリンピックや被災地復興のため、職人が足らず人件費相場が高騰中です。

また、3月に近づくほど、公共事業の仕事も多くなるため、人件費相場は上がります。

建設費用には、人件費、配管、電気、電話、インターネット回線、テレビ受信設備工事、室内設備、内装など、総元が専門業者に支払う費用が含まれています。

原価3 新築分譲マンションの販売広告費用

モデルルームの建築費用、賃料、営業マンの人件費などです。

総元の利益

一般的なファミリータイプの新築分譲マンションの利益率の相場は7〜15%でしょうか?

専有面積の大きいファミリータイプの利益率は低いですが、ワンルームマンションは専有面積あたりの販売価格(値段)が高いため、利益率は高いと考えられます。

分譲タイプ 専有面積 販売価格
ファミリー 約70㎡ 2500万円~7000万円?
ワンルーム 約20㎡ 1500万円~3000万円?

 

利益率だけをみるとマンション建設は儲かる事業ではないですが、新築分譲マンションは一棟の価格が大きいため、1戸あたりの利益が大きいです。

さらに、新築分譲マンションは、販売後も総元の関連会社や子会社がマンションの管理を引き受けます。

そのため、販売後も管理費というキャッシュが安定的に入ってくるため、原価に近い値段で売り切っても、長期的に利益が出る仕組みなのかもしれません。

不動産は儲かるとささやかれるのも、納得してしまいます。

新築分譲マンションの販売方法「青田売り」

新築分譲マンションの販売方法は独特です。

青田売り(あおたうり)と呼ばれ、完成前から販売が開始されます。

さらに、100戸あればそれを5期(5回)くらいに期分けする販売方法が採用されています。
(期分け分譲)

期分け分譲には、販売側に2つのメリットがあると言われています。

1.分割販売で完売させ、人気物件のイメージを定着させる

新築分譲マンションの第1期の販売は、事前アンケートで集めた情報をもとに必ず販売できる戸数をラインナップし、必ず完売させます。

そして、「第1期完売御礼」とうたいます。

第1期完売御礼

「各期完売」でしたら、注目度もあがりますね。

1期が好調な場合、2期目は強気の販売価格(値段)で勝負できます。

2.売れ残りを防ぐ。いつでも新発売

第二期スタート

限定品に弱いですよね。

「この部屋はこの時期だけにしかでません」
なんて言われようものなら、心が揺れてしまいます。

「最終期」とあおっておきながらも、「最終期2次」や「家具付き特別分譲」として売れなかった部屋、モデルルーム、住宅ローンに通らなかった部屋が出てくることもあります。

ただし、新築分譲マンションを勢いだけで買ってしまうと、価格の暴落という厳しい現実にさらされることになります。

【収益還元法】NOIとキャップレートを使ったマンションの価格計算

特に、節税目的で新築ワンルームマンションを買うことだけはおすすめできません。

新築分譲マンションの分譲価格(販売価格)

マーケティングを行い、エリア特性(需要のある部屋の大きさ、設備、価格帯など)を調べます。

原価を積み上げていき、事業として成り立つ条件で新築分譲マンション一棟建てられるのかを計算します。

試しに新築分譲マンションを建てて、分譲価格(販売価格)を決めてみましょう。

新築分譲マンションを創造

マーケティングの結果、次の条件の新築分譲マンションを建築予定です

総戸数 100戸
基準部屋の大きさと階数 8階・70㎡
基準部屋の販売価格(値段) 3,000万円
㎡単価:3,000万円/70㎡=42.86万円

各部屋の分譲価格の比率

マンションは同じ専有面積であっても、中部屋、角部屋、階数などによって、価格差があります。

次に、基準となった部屋に、次の条件で価格の補正を行います。

<部屋の条件で価格補正>

中部屋 100%(基準)
角部屋 +5%
階数補正 ±1%
最上階 +2%
最上階角部屋 プレミアム補正

 

新築分譲マンションの専有面積を考慮しない分譲価格(販売価格)の比率表

新築分譲マンションの専有面積を考慮しない分譲価格

 

これは、基準部屋(8F中部屋を100%)と、他の部屋との位置関係のみを反映させた分譲価格(販売価格)の比率表です。

専有面積を価格に反映させ、分譲価格(販売価格)を出してみましょう

専有面積を反映後の新築分譲マンション分譲価格(販売価格)

新築分譲マンション販売価格(単位は万円)

新築分譲マンション価格表

端数があるため値段がきれいではありませんが、新築分譲マンションを検討された方には、なじみのある価格表ですね。

専有面積と部屋の位置関係で、価格差がはっきりと出てきました。

 

最近は、新築分譲マンション価格表をあまりみることはなくなりましたね。

新築分譲マンションが価格表を出さない理由

「販売価格(値段)はまだ未定です」などの理由で、価格の入っていない表を渡されることもあります。

あくまで想像ですが、新築分譲マンション分譲価格表を渡してしまうと、次のような不都合があるのかもしれません。

  1. 新築分譲マンションの売れ行きを見て、販売価格(値段)の調整ができない
  2. 新築分譲マンションの売れ行きを、お客や世間に知られたくない
  3. お客によって分譲販売価格(値段)を調整できない

新築分譲マンションの販売価格合計

ヴァーチャル新築分譲マンションができあがりました。

分譲価格最安値 2,820万円
分譲価格最高値 4,200万円
平均分譲価格 3,157万円

 

この新築分譲マンションの販売価格の合計は35.57億円です。

 

販売価格合計にそれぞれの減価率と利益率をかけ合わせます

減価と利益 減価率
利益率
経費と利益
新築分譲マンション土地代 30% 9.47億円
新築分譲マンション建設費用 57% 17.99億円
新築分譲マンション販売広告費用 3% 0.95億円
利益 10% 3.16億円

新築分譲マンションの減価率と利益率

 

これくらいの原価と利益になるでしょうか?

まとめ

新築分譲マンション 中古マンション
販売価格決定権 総元 売主/買主
販売価格決定要因 土地値
建築費用
広告費 他
周辺相場
販売価格 割高 バランスが良い

 

マンションを建てれば売れる。利益が出る時代は終わりました。

原価の高騰。そして、新築分譲マンションの需要も都心を除いて低下しつつあるからです。

都心を除いて人口は減り続けていますが、分譲会社はマンションを建てないと利益がでません。建設をやめることはないでしょう。

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