2016年1月、ニュータイプの湿布薬ロコアテープが発売されました。
今までの湿布とロコアテープの大きな違いは、「ロコアテープは1日に使える最大枚数が2枚」という決まりがあり、飲み薬との併用や副作用にも注意が必要であることです。
1日1回と決まっている飲み薬を、勝手に1日2回に増量できないのと同じように、ロコアテープもそれができません。厳格に1日2枚までです。
つまり、ロコアテープは今までの湿布と同じ感覚で、腰痛で1枚、膝も痛いから2枚…(肩こりで2枚)というような使い方ができません。
※ロコアテープを使った感想は記事後半です。
ロコアテープの主成分
ロコアテープは2種類の成分を含む湿布薬です。
- エスフルルビプロフェン40mg(主成分)
- ハッカ油36.2mg
ロコアテープの主成分エスフルルビプロフェンは、フルルビプロフェンから鎮痛効果に優れる成分を抽出したモノです。
ロコアテープはアドフィード、ゼポラス、ヤクバンより強力な鎮痛効果があり、フルルビプロフェン関係の湿布では、最強の鎮痛効果が期待できます。
ハッカ油は、エスフルルビプロフェンを湿布中にまんべんなく高濃度に溶かし込み、皮膚の吸収をよくするため使われています。
ロコアテープの使い方
ロコアテープは「皮膚への吸収を良くし、より深い場所へ効く湿布薬。鎮痛剤に匹敵する湿布」を目標として開発されたため、今までの湿布とは性質的に違います。
そのため、使い方にはいろいろと制約があります。
使っていい場所
ロコアテープは膝、肘などの痛むところへ1日1回ピタッと貼ります。
ただし、腰痛、肩こりでツライからという理由で安易にペタッと貼ってはいけません。
ロコアテープは「関節があるところにしか使えない」というルールがあるからです。
くわしくはこちらで解説しています。
『ロコアテープが腰痛、肩こりに使えない残念な理由』
湿布を家族で共用する人もいると聞きますが、ロコアテープに限らず湿布の共用はやめましょう。
モーラステープの共用とか。けっこう危ないですよ。
『警告 モーラステープに紫外線をあてるな!光線過敏症になるぞ』
使っていい枚数
パッケージと湿布本体に大きく書かれているとおり、同時に使える最大枚数は2枚までです。
2016年の診療報酬改定で、湿布は原則1回70枚までの処方になりましたが、ロコアテープは新薬のため、2016年11月までは、1回28枚(2枚×14日分)までという処方枚数制限があります。
<追記>
2016年12月1日、新薬の処方枚数制限は解除されました
『湿布貼りすぎ!?ボルタレンテープ市販と病院用は1日何枚まで?』
ロコアテープの副作用
2つの湿布薬と1つの飲み薬の副作用を比較してみましょう。
- ロコアテープ(エスフルルビプロフェン)
- アドフィードパップ(フルルビプロフェン)
- ロキソニン(ロキソプロフェン)
臨床試験の副作用情報上位(副作用頻度)
– | ロコアテープ | アドフィードパップ | ロキソニン |
---|---|---|---|
副作用1 | 皮膚炎 8.0% | そう痒 1.16% | 消化器障害 5.12% |
副作用2 | 紅斑 3.2% | 発赤 1.12% | 皮膚症状 1.18% |
副作用3 | 胃腸障害 1.4% | 発疹 0.54% | – |
湿布特有の副作用である皮膚炎やかゆみ・赤みは仕方のないことですが、ハッカ油のせいか刺激感を感じるかもしれません。
(くわしくは後の「ロコアテープを使ってみた」をチェック!)
臨床試験の条件が違うため、単純に副作用の頻度は比較できませんが、ロキソニンと比較すると、ロコアテープは優位に胃腸系副作用が少ないことがわかります。
ただ、「湿布で胃の副作用が出る」というのが、ピンと来ないのではないでしょうか?
ロコアテープで胃痛の副作用が出る理由
ロキソニンなどの非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAID)は、プラスタグランジンと呼ばれる炎症物質が作られないようにして鎮痛効果を発揮します。
しかし、プラスタグランジンは胃にもあります。
胃のプロスタグランジンは胃の血流を良くしたり、傷ついた胃の粘膜を修復したりする働きもあります。
胃のプロスタグランジンが減ると、胃酸などからの攻撃を受けやすくなり、その結果、胃痛の副作用が出てしまうのです。
くわしくはこちらで解説しています。
湿布は貼った場所で効果を表します。
もちろん、ロコアテープも貼った場所の効果が最強です。
ただし、ロコアテープは皮膚への吸収を良くし、より深い場所へ効く湿布薬として開発されたため、吸収力が他の湿布とは違います。
そのため、深く吸収されて胃の副作用として表れるのです。
ロコアテープで胃の副作用が出てしまったときは、はがしさえすれば副作用の回復が期待できます。
ロコアテープは変形性関節症の救世主になるか
変形性関節症の痛みや炎症を抑える薬は、非ステロイド性消炎鎮痛薬(ロキソニンなど)と呼ばれる飲み薬が中心でした。
しかし、先に解説したとおり、ロキソニンは長い間飲み続けると、ほとんどの方が胃腸の副作用を起こします。
その副作用を予防するため、胃薬を併用するのが主流です。
そこで、飲み薬に匹敵する効果のある湿布薬が待ち望まれていました。
ロコアテープは皮膚への吸収を良くし、より深い場所へ効く湿布薬として開発されたため、その待ち望まれていたポジションを獲得できるかもしれません。
ロコアテープを使ってみた
ロコアテープの製剤見本(サンプル)をもらいましたので、効果、貼り心地、臭い、副作用などを調べるために肩に貼ります。
ロコアテープの臭い
ロコアテープの湿布袋を開けて鼻を近づけてみると、強いハッカ臭がします。ハッカのあめのような香しい臭いです。つまった鼻もスッキリしそうです。
ただし、ハッカが嫌いな方にはキツイ臭いかもしれません。
ロコアテープを切って両肩へ0.5枚貼付
私は変形性関節症を患っているわけではありませんので保険適用外です。
自己責任で自らを人体実験します。
さすがに2枚貼る勇気はありません。半分に切って両肩に半分ずつ貼ってみました。
切り心地は、ボルタレンテープ、ロキソニンテープ、モーラステープなどのうすい湿布と同じ感じです。
ハサミで半分に切ることは問題なさそうです。
ロコアテープの粘着性
粘着力もボルタレンテープ、ロキソニンテープ、モーラステープなどと同じです。
『あのロキソニン湿布の市販 ロキソニンテープとパップはこう使い分ける』
貼って5分後くらいから、温湿布を貼ったような温かみを感じて気持ちいいです。
(ただ、この温感が合わない方は、皮膚炎やかゆみ・赤みの副作用を起こすでしょうね)
『肩こりに効く湿布はどの種類?温湿布、冷湿布、テープ、パップの違い』
おそらくハッカ油の作用です。
今晩はロコアテープを貼って寝ます。
ロコアテープ体験追記
<2016.2.3追記>
ロコアテープを貼ってから寝るまで、2時間はハッカ臭と温感があったのを覚えています。
次の朝(約8時間後)、ハッカ臭と温感は気にならないレベルまでになりました。ロコアテープを貼った場所のかゆみも、胃の不快感などの副作用もありませんでした。
<2016.3.6追記>
昨日首を痛めたため、今度は首に1枚ロコアテープを貼って寝ました(保険適用外使用)。
寝る前に貼るのは、やはり臭いが気になるからです。(個人的には好きな臭いです)
ハッカ臭や温感は前回と同じです。
次の朝(約7時間後)、ハッカ臭と温感は気にならないレベルまでになりました。ロコアテープを貼った場所のかゆみも、胃の不快感などの副作用もありませんでした。
他の湿布との効果の比較はできませんが、首の痛みは次の日にはなくなっていました。
ロコアテープの薬価(値段)
ロコアテープと同じ10cm×14cmサイズの湿布の値段を比較してみましょう。
湿布名 | 薬価 | 1日貼付回数 | 1日あたりの値段 |
---|---|---|---|
ロコアテープ | 43.3 | 1 | ¥44 |
モーラステープL | 36.9 | 1 | ¥37 |
ロキソニンテープ | 34.6 | 1 | ¥35 |
アドフィードパップ | 16.8 | 2 | ¥34 |
ゼポラステープ | 15.9 | 2 | ¥32 |
ボルタレンテープ | 24.2 | 1 | ¥25 |
(2018年薬価に更新しました)
値段も最強のようですね。
ロコアテープの市販薬はない
フルルビプロフェン(ゼポラス、アドフィード、ヤクバン)の市販は、いまだに発売されていません。(2018年現在)
ですので、もちろんロコアテープの市販薬もありません。
市販薬がある湿布リスト
商品名 | 成分 | 市販薬例 |
---|---|---|
モーラステープ | ケトプロフェン | オムニードケトプロフェンパップ![]() |
ロキソニンテープ | ロキソプロフェン | ロキソニンSテープ |
ボルタレンテープ | ジクロフェナク | ボルタレンEXテープ![]() |
セルタッチ | フェルビナク | フェイタス5.0![]() |
イドメシン | インドメタシン | バンテリンコーワパップS![]() |
『モーラス・ロキソニン・ボルタレン・ミルタックス一番効く湿布はどれ?』
まとめ
- ロコアテープはエスフルルビプロフェンとハッカ油の2種類の成分を含む湿布薬
- ロコアテープは皮膚への吸収を良くし、より深い場所へ効く湿布薬として開発された
- ロコアテープは最強の湿布と言われるが、使い方に制約が多い
- 腰痛・肩こりには使えない
- 同時に使える枚数は2枚まで
- 子供、妊娠後期の妊婦は使えない
- 鎮痛剤との併用は消極的
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