ブラック薬局 薬剤師が退職する理由No2「待遇の悪化」

内ポケットから退職願を出す男性 薬局
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労働環境や人間関係などが原因でうつ病、自律神経失調症、適応障害になり、退職する(半強制的に退職させられる)ケースが増えてきていると聞きます。

このような精神的・肉体的苦痛を強いる労働環境を放置している企業をまとめてブラック企業といいます。

厚生労働省では、ブラック企業撲滅のためさまざまな対策を講じていますが、労働環境は悪化するばかりです。

 

ブラック企業問題は、薬剤師にとっても他人事ではありません。

ブラック企業の薬局版「ブラック薬局」が世にはびこっているからです。

 

あなたはブラック薬局に勤めたことがありますか?私はあります。

その当時はブラック企業というワードすらありませんでしたが、あそこはブラック企業(ブラック薬局)だったんだなと切実に思います。

ブラック薬局の特徴

ブラック薬局は次のような特徴があります。

  • 残業することが当たり前の人員配置
    (ブラック薬局は営業時間内に仕事が終わらない)
  • 残業代を払わないサービス残業
    (ブラック薬局はみなし残業を悪用)
  • 新人が入ったが、気が付くと退職している
    (ブラック薬局は常に人材募集中)
  • 休憩が取れない。有給が取れない
    (人がいないので休まれるとブラック薬局は回らない)
  • 教育体制が整っていない
    (ブラック薬局は教育する余裕がない)
  • 一人薬剤師が複数店舗で慢性化
    (薬剤師を店舗に複数名雇う財力がない)
    (経営者が別事業で失敗している)

 

ただし、こちらの待遇はブラックだけど別の待遇はホワイトだからグレー。
だから、本人的にはOKという場合もあります。

例えば、休憩は少ないけど給料が高待遇だから割り切れる。などです。

結局のところ、ブラックと思うかどうかは本人次第で、ちょっとしたことをブラックと叫んでいるだけの場合もあります。
(キツく注意したらパワハラと騒がれるのと同じ)

時代の流れに乗れない薬局がブラック化する

企業は改革を止めた瞬間死にます。

薬局も同じはずですが、皆保険制度で社会的地位が保護され、剤師は高待遇職種としてかつては人気でした。

大学薬学部新設バブルが起こったくらいです。

 

しかし、団塊の世代が75歳以上になる2025年問題を乗り切るため、厚生労働省は医療改革を断行しています。

医療改革の余波は薬局にもおよび、薬剤師の待遇悪化につながっています。

 

例えば、後発医薬品調剤体制加算はジェネリック調剤率20%以上で算定可能でしたが(2010年)、
現在は65%以上でないと算定できません(2016年)。

2016年調剤報酬改定後の調剤基本料、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算
2016年調剤報酬改定によって、調剤基本料、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算の算定要件と点数が大きくかわり、薬局は大きな方向転換を迫られています。

 

後発医薬品調剤体制加算が新設された2008年、ジェネリックの推進は国策としてあげられていましたので、

先手を打ってジェネリックを推進してきた薬局は、大きな影響はないでしょう。

 

しかし、ボーダーが上がるたびに仕方なく対応してきた薬局は、薬剤師にその都度新たなノルマを課しストレスを与えます。

さらにジェネリックの調剤率を上げるためには、先発品とジェネリックの両方を在庫しなくてはならなくなりません。

デッドストック増加リスクを負い、ジェネリックの推進は薬局のキャッシュフローを悪化させます。

 

時代の流れについていけなかった薬局は、経営が悪化してきます。

当然、薬剤師の待遇にも厳しい対応を取らざるをえません。

 

個人薬局であれば、経営者のブラックな指示が直接管理薬剤師、一般薬剤師の待遇に影響を与えます。

会社組織であれば、薬局経営者がブラックな指示を役員にすれば、役員から部長、課長と降りていき、

薬局の店長である管理薬剤師がブラック化し、ブラック薬局が量産され退職を誘います。

ブラック薬局は人員配置が極少

先述の「ブラック薬局の特徴」の詳細を解説していきます。

 

ブラック薬局は拘束時間がとにかく長いです。

薬剤師の絶対数が足らないため、

勤務時間内外問わず9:00~20:00(開店から閉店まで)労働的・精神的に拘束されます。

明らかな労働基準法違反です。

 

使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分
8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。

労働基準法第34条より抜粋

 

残業代?

みなし残業を使って巧みにかわします。

詳細「ブラック薬局はみなし残業を悪用」

ブラック薬局は一人薬剤師が慢性化

一人薬剤師は、待遇の悪さから退職者が続出する人員配置極少化の究極体型です。

一人薬剤師とは、薬剤師として行うべき仕事(調剤、監査、投薬、薬歴管理など)を一人の薬剤師が担当している勤務形態を指します。

 

一人薬剤師の仕事量は膨大になるため、一人薬剤師薬局は次のような問題を抱えています。

  • 待ち時間が長い
  • 調剤過誤のリスク
  • 休み、有給が取れない
  • 休憩が取れない
  • 相談する薬剤師がいない
  • 薬剤師の顔色が悪い、機嫌が悪い

一人薬剤師は退職率の高い勤務形態です。

一人薬剤師を辞めたい!辛いしクレームだらけと思ったとき
薬局に事務職員もいない一人っきり薬剤師(一人ぼっち薬剤師)を経験しました。一人薬剤師は修行のような毎日ですが、私はクレームが殺到したり、耐えられないというレベルまで発展したことはありません。

ブラック薬局はみなし残業を悪用

薬局は連休・盆・正月・GW前後は忙しいです。残業もあると思います。

しかし、ブラック薬局では人員配置極少主義のため、一人の薬剤師がこなす仕事量が通年膨大です。

【調剤報酬(薬代)】一包化加算、内服薬、外用薬の調剤料の計算
薬代(調剤報酬)はどこの薬局でもらっても同じ値段ではありません。薬局の薬代には、調剤するときや、患者さまに薬の説明するときに技術料や指導料がかかるためです。【一包化動画有】

 

休憩時間を削って薬歴を書いてもいつになったら終わることやら…。

(薬歴は薬剤師の義務だから残業にはあたらない。というトンデモ経営者がいました)

 

そのようなブラック薬局には、みなし残業が組み込まれています。

そして、残業代は込みの給与だから残業代は一切出ないというブラックな説明を平気でします。

みなし残業とは
みなし残業とは、給与の中にあらかじめ一定時間分の残業代を加算しておく制度です。

例えば「月10時間の残業を含む」と雇用契約書に記載があれば、月10時間までの残業代は支払われないということです。

月10時間を超えた残業があれば、超過分の残業代を支払わなくてはいけません。

ブラック薬局は有給が取れない

一人薬剤師体質のブラック薬局は、一人薬剤師主義で薬局を展開します。

 

ホワイト薬局ならば、緊急時に対応できるヘルプ薬剤師が複数名いますが、

ブラック薬局ではヘルプ薬剤師も極少人数で、退職ラッシュが起こると時期によってはゼロのときもあります。
(見切りをつけた薬剤師は退職するから、自然に人がいなくなる)

そのようなブラック薬局では、一人薬剤師は体調を崩しても、有給を取りたくてもそう簡単に休めません。

 

組織のブラック化が浸透して、ブラック社員が増えると次のように居直られます。

  • 有給はその日になってみないと取れるかわからない
  • (体調が悪くて当日連絡すると)
    休むときはあらかじめ言ってもらわないと困る。今日は人手不足だから休めない
ブラック社員
疑問を持ちながらも上司の指示には従順なため、上司のブラック指示を受け入れ部下に指示を降ろすだけの社員。
(ブラック薬局の被害者でもあり加害者である)
ブラック社員はブラック経営者にとって都合のいい存在だから退職させてもらえない

ブラック薬局は教育に興味なし

新人社員はある程度の集合研修を受けて薬局に配属されるのが通常ですが、ブラック薬局は薬剤師を集めて教育する余裕がありません。

(時間を奪うだけの教育制度があるハイレベルブラック薬局も。もちろん教育は労働時間ではありません)

ブラック薬局の教育方針

ブラック薬局はOJT(現場主義研修)が基本です。

OJTとは聞こえがいいですが、ブラック薬局のOJTは現場まるなげ教育です。

教育の進行度合いの確認など皆無です。

 

たとえ教育したとしても、それ以外の待遇が悪化しているため退職に歯止めがききません

そして、教育や福利厚生には無関心になっていきます。

常に即戦力募集中です。

ブラック薬局の面接と現実

面接で言っていた待遇と、現場の待遇があからさまに違うのもブラック薬局の特徴です。

ブラック薬局は、募集要項や面接では少数精鋭など聞こえのいい言葉を使います。

ブラック薬局の少数精鋭とは、退職率が高いため自然に少数の薬剤師しか残らず、耐えている間に精鋭になると解釈すべきかもしれません。

ブラック薬局は人材確保が困難

小規模薬局の場合、

ブラック化が進むと、さすがに経営者も薬剤師も自分の会社はブラックであることを認識します。

まともな薬剤師は見切りをつけて退職します。

 

薬剤師紹介会社にブラック薬局認定されると、薬剤師の確保自体が困難になります。

なぜなら、ブラック薬局にまともな薬剤師を紹介できないからです。
(ブラック薬局を紹介してクレームが増えれば、ブラック薬剤師紹介会社の烙印を押されかねない)

競争力のない薬剤師がブラック薬局には紹介されるでしょう。

薬剤師転職理由No1は人間関係 3年に1回おとずれる薬局イヤイヤ病
転職薬剤師は希望の条件で転職できる可能性もありますが、3年たったらまた転職するでしょう。なぜならば、3年以内に新たな転職理由を発見してしまうからです。

ブラック薬局から逃れる方法

ブラック薬局から逃れる手段は2つあります。

  1. ブラック社員と化す
  2. 見切りをつけて退職する

ブラック社員と化す

経営者の言うことをそのまま下へ流していけば、極少の被害で済みます。

経営者→役員→部長課長係長
→管理薬剤師→薬剤師

 

しかし、恨みのリスクはブラック社員が負わねばなりません。

YESマン好きのブラック経営者はブラック社員を量産して批判の弾よけに使っているのかもしれません。

見切りをつけて退職する

ある程度の年齢になると守らなくてはならない家族ができます。

40歳を超えると、住宅ローンや教育費で生活もいっぱいいっぱいです。

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夫の収入のみで住宅ローンが希望額に届かないとき、ペアローン+共有名義というローン対策があります。しかし、妻の収入を当てにした借入は失敗に終わる可能性があります。

 

家族をまもるため、生活を守るため、会社組織で生き残るためには上司に刃を向けられません。

その矛先が若い薬剤師です。

  • ブラック社員は若い薬剤師を飼殺します。
  • ブラック社員は部下の悩みには耳を傾けません。
    気になるのは上司の評価と会社での立ち位置です。
  • ブラック社員は社内政治で情報を操ります
  • ブラック薬局は完全放置です。ブラック経営者は見て見ぬふりをします

 

そんなブラック薬局から逃れる究極の手段が退職です。

しかし、ブラック薬局では、退職希望薬剤師が複数名います。
(退職を口に出すと、すごい勢いで担当者がかけつけるので内に秘めている)

新人が入ってきたので退職のタイミングをはかっていると、新人が先をこして退職したりもします。

無事に退職できるまで、ブラック薬局との闘いは続きます。

うつ病、適応障害で働けない 傷病手当金の条件、支給日、支給期間 退職後は?
サラリーマンには、うつ病・自律神経失調症・適応障害等の精神疾患などが原因で仕事ができなくなったときや、入院等で十分な収入をえられないときに受けられる生活保障(傷病手当金)があります。

まとめ

  1. ブラック薬局は営業時間内に仕事が終わらない
  2. ブラック薬局はみなし残業を悪用する
  3. ブラック薬局は常に薬剤師募集中
  4. 薬剤師がいないのでブラック薬局は休めない
  5. ブラック薬局は教育に無関心
  6. ブラック薬局は薬剤師紹介業者に支払う紹介料率が高い

変な記事を書くと私の心が毒されてきました。

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