【偏頭痛薬】5種類のトリプタン製剤の副作用、効果、持続時間、強さの比較

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偏頭痛の痛みの治療には、4種類の頭痛薬が使われることが多いです。

  1. アセトアミノフェン
  2. 非ステロイド性抗炎症薬
  3. エルゴタミン製剤
  4. トリプタン製剤

偏頭痛は吐き気をともなう事が多いため、4種類の頭痛薬に吐き気止めをプラスして5種類が偏頭痛薬という数え方もあります。

そのなかでもトリプタン製剤が、偏頭痛への効果が高いことがわかっています。
さらに、慢性頭痛のガイドラインでは、中等度以上の偏頭痛にはトリプタン製剤が推奨されています。

トリプタン製剤は、現在5種類の薬と4種類の製剤が販売されていて、用法用量、効果、副作用、作用発現時間、持続時間、禁忌、剤形、強さなどの違いがあります。

偏頭痛薬 有効成分 世代 発売年
イミグラン スマトリプタン 第一世代 2001年
ゾーミッグ ゾルミトリプタン 第二世代 2001年
レルパックス エレトリプタン 2002年
マクサルト リザトリプタン 2003年
アマージ ナラトリプタン 第三世代? 2004年

トリプタン製剤は偏頭痛への効果に個人差が大きく、相性の良い偏頭痛薬を求めて何種類か試すことも少なくありません。

さらに偏頭痛薬に求める内容(効果、効果発現時間、持続時間、副作用等)によって、優越が異なります。

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偏頭痛の原因

偏頭痛の原因は、まだ解明されてはいません。

3種類くらいの仮説がありますが、現在では「三叉神経血管説」が最も有力な仮説とされています。

  1. 何らかの原因で頭の中の太い血管が拡張すると、頭の中で一番大きな神経である三叉神経が圧迫されます。
  2. 圧迫刺激を受けた三叉神経からは、痛みの原因物質が放出され、血管の周りに炎症を起こしさまざまな偏頭痛の症状が出てきます。

偏頭痛の原因

これが偏頭痛の症状が起こるメカニズム(原因)です。

何らかの原因で」ということですが、
血管を拡張させる原因のひとつに「セロトニンの過剰な放出」が考えられています。

偏頭痛薬トリプタン製剤の作用

トリプタン製剤の炎症や痛みを取る作用は、他の頭痛薬と共通するところが多いです。
しかし、トリプタン製剤にはその他に2種類の作用が認められています。

  1. 脳にあるセロトニン受容体に働いて、拡張した血管を収縮させる作用
  2. 拡張した脳の血管周辺の炎症を取る作用

トリプタン製剤の服用(使用)のタイミング

トリプタン製剤は、偏頭痛が起こってから速やかに服用すれば速く効果を示し、偏頭痛を取り除きます。(ただしアマージは効果発現がやや遅い)

偏頭痛が起こる前に前兆、予兆を感じる方もいますが、
トリプタン製剤は、偏頭痛の起こる前(前兆、予兆)に飲んでも予防効果はありません。

その頭痛は偏頭痛かもしれませんよ 原因、症状、前兆、予兆まとめて解説
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なぜならば、トリプタン製剤は最高血中濃度到達時間(効果が出る時間の指標のひとつ)と消失半減期(効果の持続時間の指標のひとつ)が短く、速く効く代わりに速く効果がなくなる特徴があるからです。

トリプタン製剤を偏頭痛予防に使用しても、偏頭痛が起こったころには薬の効果がなくなっているのです。

また、トリプタン製剤の連用は薬物乱用頭痛の原因となるため、次のトリプタン製剤を飲む間隔を空ける必要があります。

  • イミグラン注射の使用後は、1時間以上間隔をあける
  • イミグラン、マクサルト、レルパックス、ゾーミッグを飲んだ後は、2時間以上間隔をあける
  • アマージは4時間以上間隔をあける
頭痛の原因は頭痛薬!飲みすぎは薬物乱用頭痛を起こすから危険
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偏頭痛の再発:
レルパックス、アマージの2種類が有効

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レルパックス

レルパックス

アマージ

アマージ

5種類のトリプタン製剤は、速く効く代わりに速く効果がなくなる特徴がありました。

しかし、レルパックスとアマージの2種類は、他の3種類の偏頭痛薬とは違う特徴を持っています。

レルパックスアマージは、イミグラン、ゾーミッグ、マクサルトと比較すると、消失半減期が長く効果が持続します。偏頭痛の再発予防も期待できます。

トリプタン製剤を飲んでも全く効かないという方も、一定の割合で発生します。効かなかった場合は、追加で飲んではいけません。

頭痛が起こる原因が別にあり、偏頭痛ではない可能性があるからです。

例えば、緊張型頭痛の場合は、トリプタン製剤は無効です。

偏頭痛に速く強い効果:
ゾーミッグ、マクサルト

偏頭痛薬マクサルト、ゾーミッグ(ゾーミック)は最強?副作用と飲み合わせ
トリプタンで薬で最強の効果を持つ偏頭痛薬の飲み薬は?と問われるとマクサルトとゾーミッグの名前が挙がることが多いです。最強と名高い2種類の薬の特徴を解説します。

ゾーミッグ錠とゾーミッグRM錠

左:ゾーミッグ錠
右:ゾーミッグRM錠

マクサルト錠とマクサルトRPM錠

  • 左:マクサルト錠
  • 中:専用ケース
  • 右:マクサルトRPM錠

どのトリプタン製剤も偏頭痛に対して素早い効果が期待できます。

5種類のトリプタン製剤の中でも特に速く強い効果が期待できるのは、ゾーミッグマクサルトです。
(ゾーミッグは血中濃度の立ち上がりがやや遅いですが、効果は満足という方が多いようです)

ゾーミッグは、イミグランの吸収率の低さをカバーするために、脳血管への末梢性作用にプラスして中枢性作用も持たせた偏頭痛薬です。

そのため、副作用も強くでる可能性があります。

また、ゾーミッグ(マクサルト)には、普通の錠剤とRM錠(RPM錠)と呼ばれる崩壊錠があります。この2種類の剤形の効果は同等です。

ゾーミッグ錠(マクサルト錠)とゾーミッグRM錠(マクサルトRPM錠)は、吸湿性があるため使用直前に薬を取り出します。

錠剤、点鼻薬、注射薬の3種類から選べるイミグラン

【偏頭痛薬スマトリプタン】イミグラン錠、点鼻薬、注射薬の副作用と効果の違い
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左からイミグラン錠、イミグラン点鼻薬、イミグラン注射、専用ペン型注射器

イミグラン以外のトリプタン製剤は内服薬しかありませんが、イミグランには3種類の製剤(錠剤、点鼻薬、注射薬)が発売されています。

有効成分を変更することなく、患者さんのニーズに合わせて変えられます。

製剤により効果(頭痛改善度)、副作用は違うのはいうまでもありませんが、製剤による決定的な違いは有効成分スマトリプタンが血中に入るスピードです。

スマトリプタンが血中に入るスピード

  1. 注射薬
  2. 点鼻薬
  3. 錠剤

有効成分が血中に入るスピードが速いほど、偏頭痛は速く改善します。

トリプタン製剤の副作用

トリプタン製剤の効果と同じで、副作用が起こる頻度にも個人差があります。

よく起こる副作用は次のような症状です。

  • 圧迫感、息苦しさ
  • 吐き気
  • 眠気
  • めまい

圧迫感・息苦しさの副作用は、服用後30分以内に胸、のど、首などで起こることが多く、「痛い」「気分が悪い」と表現される場合と多いです。

これら症状は、トリプタン製剤による血管収縮作用が筋肉にもおよんだためと考えられています。

狭心症のような胸の圧迫感を感じますが、狭心症とは関係ないことがわかっています。

圧迫感・息苦しさが、トリプタン製剤による副作用であれば、しばらくすると楽になります。
楽にならい場合は、狭心症が疑われます。

  イミグラン ゾーミッグ
(RM錠)
レルパックス マクサルト アマージ
副作用の頻度 31.6% 23.4% 28.4% 18.6% 14.6%

(添付文書、インタビューフォームを参考に作成)

副作用の種類 イミグラン ゾーミッグ
(RM錠)
レルパックス マクサルト アマージ
痛み、圧迫感など 6.6% 6.1% 1.8% 1.9%
悪心・嘔吐など 6.6% 1.7% 4.5% 5.1%
動悸 4.6%
めまい 2.6% 4.1% 2.2% 0.9%
眠気、傾眠など 3.0% 4.1% 7.7% 0.9%
倦怠感、脱力感
疲労感など
4.6% 3.5% 2.5% 2.9% 0.9%

(添付文書、インタビューフォームを参考に作成)

※各トリプタン製剤の副作用頻度の比較するのではなく、これくらいの副作用が起こる可能性があるとご理解ください。

トリプタン製剤同士の併用

トリプタン製剤の併用は認められていません。

また、偏頭痛ではエルゴタミン製剤を使う場合もありますが、トリプタン製剤(5種類)とエルゴタミン(3種類)の併用も認められていません。

トリプタン製剤の効果を比較するために、別のトリプタン製剤に切り替える場合は、24時間以上間隔をあけてから切り替えます。

イミグラン、ゾーミッグ、レルパックス、マクサルト、アマージの比較

添付文書、インタビューフォームを参考に作成

薬剤名 イミグラン錠50 イミグラン点鼻20 イミグランキット皮下注3mg
有効成分 スマトリプタン
偏頭痛改善率 4時間後:71% 2時間後:63% 1時間後:94%
群発頭痛改善率 0.5時間後:94%
効果 偏頭痛 偏頭痛 偏頭痛
群発頭痛
1回用量 1~2錠 1本 1キット
1日最高用量 4錠 2本 2キット
服用間隔 2時間以上 1時間以上
主な副作用 吐き気
眠気
鼻から喉の違和感 注射の痛み
最高血中濃度到達時間 1.8~2時間 1.3時間 0.18時間
消失半減期 2.2~2.4時間 1.9時間 1.8時間
禁忌 クリアミン
ジヒデルゴット
メテルギン

薬剤名 イミグラン ゾーミッグ レルパックス マクサルト アマージ2.5
有効成分 スマトリプタン ゾルミトリプタン エレトリプタン リザトリプタン ナラトリプタン
効果 偏頭痛
偏頭痛改善率 2時間後
71%
2時間後
56%
2時間後
64%
2時間後
59%
4時間後
77%
1回用量 1~2錠 1錠
1日最高用量 4錠 2錠
服用間隔 2時間以上 4時間以上
主な副作用 吐き気 吐き気 めまい 喉の渇き 吐き気
眠気 めまい 眠気 眠気 眠気
吐き気 吐き気
最高血中濃度到達時間 1.8~2時間 3時間 1時間 1~1.3時間 2.4~2.7時間
消失半減期 2.2~2.4時間 2.4時間 3.2時間 1.6~1.7時間 5.1~5.4時間
禁忌 クリアミン
ジヒデルゴット
メテルギン
リトナビル インデラル
クリキシバン
ビラセプト

まとめ

  1. トリプタンは偏頭痛への効果に個人差が大きく、相性の良い偏頭痛薬を求めて何種類か試すことも少なくない
  2. 偏頭痛の原因のひとつは「セロトニンの過剰な放出」
  3. トリプタン製剤は、脳にあるセロトニン受容体に働いて、拡張した血管を収縮させ、炎症を取る作用がある
  4. トリプタン製剤は、偏頭痛が起こったときに速やかに飲む
  5. イミグラン以外のトリプタン製剤は内服薬のみであるが、イミグランには3種類の製剤(錠剤、点鼻薬、注射薬)がある
  6. ゾーミッグ、マクサルトは、偏頭痛に速く強い効果を期待できる
  7. レルパックス、アマージには、偏頭痛の再発を抑制する効果がある

トリプタン製剤の比較表

薬剤名 イミグラン ゾーミッグ レルパックス マクサルト アマージ
製剤と剤形 錠剤 点鼻薬 注射薬 錠剤、RM錠 錠剤 錠剤、PM錠 錠剤
有効成分 スマトリプタン ゾルミトリプタン エレトリプタン リザトリプタン ナラトリプタン
群発頭痛 × ×
偏頭痛再発予防 × ×
副作用 普通 普通 強い 強い 弱い 普通 弱い
効果発現速度 速い 速い 最速 普通 速い 速い 普通
持続時間 普通 短い 短い 普通 長い 短い 長い

偏頭痛薬の効く、効かないは、かなり個人差があります。
また、今まで普通に効いていたのに急に効かなくなる例もあり、選択が難しいです。
副作用も比較的強く現れるため、自己判断での増量等はお控えください。