うつ病、自律神経失調症、適応障害などの精神疾患が原因で働けなくなったり退職するケースが増えてきていると聞きます。
健康保険(協会けんぽ、健康保険組合)に加入するサラリーマンには、うつ病、自律神経失調症、適応障害などの病気で働けないときや、
入院などで十分な収入を得られないときに受けられる手当があります。
それは、傷病手当金です。
傷病手当金は、一定条件で再発時、退職後も健康保険(協会けんぽ、健康保険組合)からもらえます。
支給期間も最大で1年6カ月と長いです。
サラリーマンが加入する健康保険の中でも、加入者の多い協会けんぽの傷病手当金はいくらもらえるのでしょうか?
計算方法を解説します。
傷病手当金の計算方法
傷病手当金の詳細はこちらの記事で解説しています。
傷病手当金の金額の計算方法 (2016年3月31日まで)
2016年3月31日までは、次の計算式が傷病手当金の金額の計算に使用されていました。
標準報酬月額とは、社会保険料などの決定の際に使われる給与の平均額で、何段階かの区分があります。
標準報酬月額の決定方法
- 4月.5月.6月の月給(残業代・交通費などを含む)の平均額を計算する
- その額を各都道府県の保険料額表にあてはめる
標準報酬月額表(保険額料表)
傷病手当金の金額の計算方法 (2016年4月~)
2016年4月からは、次の式で傷病手当金を計算します。
支給開始日以前の期間が12カ月間に満たない場合はどうなるなのでしょうか?
協会けんぽでは傷病手当金はもらえないのでしょうか?
そんなことはありません。傷病手当金はもらえます。
ただし、協会けんぽでは1日あたりの傷病手当金の金額に上限があります。
傷病手当金の計算方法の例外
支給開始日以前の期間が12カ月間に満たない場合、
1.2のどちらか少ない金額の標準報酬月額を、傷病手当金の計算に使います。
- 支給開始日の属する月より前の継続(連続)した各月の標準報酬月額の平均
- 標準報酬月額28万円
傷病手当金の金額はいくら? 計算例1
出典:厚生労働省HP
この例では、傷病手当金の支給開始日以前の期間は5+10カ月で、12カ月間以上です。
支給開始日以前の期間12カ月間(平成27年7月~平成28年6月)を合算して12カ月で割り、標準報酬月額の平均を計算します。
標準報酬月額の平均【A】
【A】/ 30 ≒ 9,780円
(1の位を四捨五入)
1日あたりの傷病手当金の金額
=9,780円 × 2/3
=6,520円
傷病手当金の金額はいくら? 計算例2
支給開始日以前の期間が12カ月間を満たさない場合、傷病手当金はいくらもらえるのかを計算します。
出典:厚生労働省HP(一部改編)
標準報酬月額は30万円で、標準報酬月額28万円を超えています。
そのため、1日あたりの傷病手当金の金額は、標準報酬月額28万円で計算します。
1日あたりの傷病手当金の金額
=28万円 / 30日 × 2/3
=6,220円
協会けんぽの傷病手当金の調整
- 同一の病状が原因で、障害厚生年金・障害手当金を受け取った
- 給与の支払いがあった
- 資格喪失後(退職後)に老齢年金を受け取った
- 出産手当金を受ける期間に入った(出産手当金優先支給)
- 労災保険の休業給付を受け取った
以上の条件に当てはまるときは、傷病手当金の金額が調整もしくは無支給になることがあります。
まとめ
- 協会けんぽの傷病手当金の計算方法は簡単
- 協会けんぽの傷病手当金の計算式は、2016年4月に変更があった
- 協会けんぽの傷病手当金の金額は、標準報酬月額の2/3(収入の60%~70%)
- ただし、支給開始日以前の期間が12カ月間に満たない場合は、
1日あたりの傷病手当金6220円が上限
コメント