新築マンションの頭金はいくら払う?価格の下落からフルローンOKか考えよう

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住宅の購入には、頭金2割が必要と言われてきましたが、今はフルローンを検討してくれる銀行は意外とたくさんあります。

頭金が多ければ、住宅ローンの月々の返済は楽になりますが、超低金利のメリットを生かすことができません。

居住用の新築マンションの購入も立派な不動産投資です。
投資家目線で物事を見られるようになれば、頭金の考え方が180度変わります。

都心エリア、中堅都市、郊外エリアに立地する新築マンションの価格を元に、必要となる頭金の割合を考えてみます。

居住用の新築マンション、投資用マンション、アパートの頭金の金額の算出に役立ててください。

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住宅ローンの頭金2割に根拠はあるのか

昔は住宅ローンに頭金2割が必須だった?

都市銀行の住宅ローン金利(1980年から2003年)

統計局データを参考に作成

グラフは1981~2003年までの都市銀行の基準金利です。(この金利から優遇を受けられるため、実質金利はさらに低くなります)

昔は今より住宅ローンの金利が高く5%以上でした。
金利負担を考えると、頭金を多く積まないとデフォルト(債務が払えなくなること。破産を意味する)する確率が高かったのです

実際、1000万円を返済期間30年、金利5%、元利金等返済で計算すると、

スタート時の毎月返済額は
53,682円(元金支払12,066円・利息支払41,616円)。
総支払額は、19,327,274円。

1000万円を金利5%・返済期間30年・元利金等払いで支払ったときの残債のグラフ

金利5%の住宅ローン残債の減り方

金利が高いため前半は利息の返済がほとんどで、元金がなかなか減っていきません。これでは、住宅ローンを組む側も貸す側も、頭金を多く積まないと危なくて仕方ありません。

安全な頭金の基準が、2割以上だったということです。

新築マンションは、購入後価格が2割下がる?

新築分譲マンション売り出し価格(値段)決定の法則 原価はいくら?
新築分譲マンションの分譲価格(売り出し価格)の決まり方と、マンションの原価について考えてみたいと思います。

中古マンションの流通が良くなっても、相変わらず新築マンション至上主義の方が多いようです。

都心部人気エリアでは、中古マンションが新築マンションの価格を凌駕することもあります。しかし、それは限られたエリアの話です。

新築マンションは、買って住んだ瞬間に中古マンションになります。価格の下落がほとんどの新築マンションで起こり、それが2割程度だと考えられてきました。

その価格の下落分の2割を、頭金として先払いしておくということです。

新築マンションの価格の下落はいくら?

エリアによって新築マンションの価格の減り方は異なります。

新築物件の都心・中核都市・郊外の価値の減り方を示した図

地域別マンションの価格の下落イメージ

  1. 築10年にかけて、マンションの価格は下落してきます
  2. その後、緩やかにマンション価格は下落していき
  3. 30年を超えるとマンションの価格の下落が落ち着きます

都心部より郊外の方がマンションの価格の下落率が高くなります。
人口が少ないため、中古市場の流通数が少なく、相場が安定しないからです。

人気のあるエリアでは、高く速く売買されます。人気のないエリアでは、安く遅く売買されます。

中古不動産の価格について

中古マンションや不動産の成約価格と相場の調べ方【土地総合情報システム】
成約価格はレインズに掲載されています。しかし、私たちはそれを見ることはできません。そのかわり国土交通省「土地総合情報システム」で、成約価格をある程度予想できます。

住宅ローンの頭金の決定方法

不動産投資の世界で使う収益還元法を応用します。収益還元法の考え方は、投資用の住宅でも、居住用の住宅でも応用することができます。

不動産の価格は、その不動産が持つ収益性(家賃)で評価します。家賃が高く設定できるエリアにある不動産の価格は、絶対的に高い。ということを覚えておいてください。

意味がわからない方は、こちらの記事を参考にしてから読み進めてください。

【収益還元法】NOIとキャップレートを使った不動産(マンション)の価格計算
不動産の価格の計算方法は、主に3種類あります。収益還元法、取引事例比較法、原価積上法。NOIとキャップレートから計算された収益還元法の価格こそが不動産の本当の価値です。
失敗しない不動産投資家は効率性分析指標NOI,FCR,CCR,K%,CFを使う
表面利回りは忘れてしまいましょう。ネット利回り(NOI率)、真の利回り(FCR)、自己資本配当率(CCR)、ローン定数(K%)。これだけ覚えれば、不動産同士の優劣を数字で比較することができます。
失敗しない不動産投資分析:安全性判断指標(DCR,LTV,BER,PB)
リスクとリターンは相反するため、投資効率と安全性の両立は困難です。DCR(債権回収比率)、LTV(借入金比率)、BER(損益分岐率)、PB(自己資金回収期間)。4つの指標を使って安全性を判断します。

都心エリア新築マンションは、フルローン可能

都心(東京都心5区等)は家賃を高く設定できます。

新築家賃が30万円設定できるエリアの新築マンションを、5,000万円で購入した例で頭金を考えてみます。

マンションの家賃から純収益(NOI)を計算

30万円は、新築の初回のみの設定できる家賃です。

未来の家賃下落を考慮して、控えめに85%を掛けた家賃25.5万円で計算します。空室率は5%を想定します。

収入の計算

家賃    = 255,000円
空室損(5%)=-  12,750円
       =242,250円

主な運営費(経費)の計算

管理委託費(5%)= 12,113円
管理費・積立金  = 20,000円
固定資産税等     = 16,000円
     合計  = 48,113円

純収益
= 収入 - 運営費
= 194,138円

管理委託費とは、マンション運営を管理する会社に支払う費用のことです。相場は3%~7%です。管理費・積立金は、将来の積立金の増額を考慮して設定します。

住宅ローンの返済計算

フラット35のメリット・デメリット フラット35がおすすめの人とは
団信の加入が任意であるフラット35は、健康上の理由で住宅ローンを借りることができなかった方にもチャンスがあります。フラット35と銀行の住宅ローンとの手数料、保証料と金利決定の違い。

変動金利は月々の返済が安定しないため、フラット35の固定金利を参考にします。

2015年10月のフラット35の固定金利は1.7%程度ですが、今回は安全を考慮して2%で計算します

住宅ローン5000万円、金利2%、返済年数35年、元利金等払いの条件で
月々の住宅ローンの返済
        = 165,631円

純収益と住宅ローン返済の比較

194,138円(純収益)
 >165,631円(住宅ローンの返済)

純収益の方が住宅ローンの返済額より高いため、マンションを賃貸に回すことで住宅ローンの返済の滞りはないことがわかります。

どこかでよく聞くフレーズですが、「借りるより買ったほうが得」というのは、このようなマンションのことをいいます。

住宅ローンが通るのであればフルローン(諸経費のみ自己負担)も可能
と判断できます。頭金の必要額は0円です。

※家賃は建物の劣化とともに下落しますので、家賃が後3万円程度下がると持ち出しになります。

中核都市圏新築マンションは、フルローンは厳しい

中核都市圏とは、その地方の中心地(近畿圏であれば大阪市・京都市・神戸市中心部、中京圏であれば名古屋市中心部)のことです。

家賃が22万円設定できるエリアの新築マンションを、4,000万円で購入した例で頭金を考えてみます。

マンションの家賃から純収益(NOI)を計算

家賃は、都心エリアと同様に控えめ家賃(85%)18.7万円で計算します。ただし、賃貸需要が都心エリアと同じではありませんので、空室率は8%で計算します。

収入の計算

家賃    = 187,000円
空室損(8%)= - 14,960円
      = 172,040円

主な運営費(経費)の計算

管理委託費(5%) =  8,602円
管理費・積立金  = 20,000円
固定資産税等     = 13,000円
     合計  = 41,602

※固定資産税等は都心エリアより3,000円下げています。

純収益 = 130,438円

固定金利から住宅ローンの返済計算

住宅ローン4,000万円、金利2%、返済年数35年、元利金等払いの条件で、
月々の住宅ローンの返済は、132,505円です。

純収益と住宅ローン返済の比較

130,438円(純収益)
 <132,505円(住宅ローンの返済)

都心エリアと違い、住宅ローンの月々の返済の方が純収益より高くなりました。頭金0円のフルローンを組むと将来が心配になります。

ここで初めて頭金の投入を考えます。

マンション頭金の決定方法

頭金を2割入れて、借入金を3,200万円にすると、

130,438円(純収益)
 >106,004円(住宅ローンの返済)

都心エリアほどではありませんが、余裕がでてきました。

住宅ローンを組むにあたりの安全性を優先すると、
中核都市圏の新築マンションの頭金は約2割です。

郊外エリアの新築マンションは、フルローン不可

郊外エリアは、その地方の中心地への通勤に適したところのことです。

今回は、家賃が16万円設定できるエリアの新築マンションを3,000万円で購入した例の頭金を考えてみます。

控えめ家賃(85%)13.6万円、空室率は12%で計算します。

マンションの家賃から純収益(NOI)を計算

収入の計算

家賃     = 136,000円
空室損(12%) =-  16,320円
       =   119,680円

主な運営費(経費)の計算

管理委託費(5%) =  5,984円
管理費・積立金  = 20,000円
固定資産税等     = 12,000円
     合計  = 37,984円

純収益 = 81,696円

固定金利から住宅ローンの返済計算

借入3,000万円、金利2%、返済年数35年、元利金等払いの条件で、
月々の住宅ローンの返済は、99,378円です。

純収益と住宅ローン返済の比較

81,696円(純収益)
 <99,378円(住宅ローンの返済)

フルローンはかなり危険ですね。
頭金を2割入れて、住宅ローンを2,400万円にしてみましょう。

81,696円(純収益)
 >79,503円(住宅ローンの返済)

まだ心配です。

頭金を3割入れて、住宅ローンを2,100万円にしてみましょう。

81,696円(純収益)
 >66,252円(住宅ローンの返済)

少し安心できるようになりました。

住宅ローンを組むにあたりの安全性を優先すると、郊外エリアの新築マンションの頭金必要額は3割以上です。

まとめ

新築マンションの購入も立派な不動産投資であることが分かっていただけたでしょうか?

  都心 中核都市 郊外
家賃 30万 22万 16万
収入 ¥242,250 ¥172,040 ¥119,680
経費 ¥48,113 ¥41,602 ¥37,984
純収益 ¥194,138 ¥130,438 ¥81,696
フルローン返済 ¥165,631 ¥132,505 ¥99,378
頭金20%住宅ローン返済 ¥106,004 ¥79,503
頭金30%住宅ローン返済 ¥66,252
頭金必要額の目安 0円 2割 3割

  1. 家賃が高く設定できるエリアは、マンション自体の持つ価格(価値)が高いため、頭金は少なく購入しても問題はない(フルローン可能)
  2. 家賃が期待できないエリアや、賃貸の需要自体が少ないエリアでは、多めの頭金が必要(フルローン危険)

冒頭でもお伝えしましたが、フルローンを希望すれば、出してくれる銀行は意外とたくさんあります。

しかし、銀行がフルローンを出すのは、多く貸した方が利益が上がるからで、新築マンションの価値とバランスがとれているわけではありません。

新築マンションを購入する際に考えなければならないことは、転勤、介護、住宅ローンの返済等で、購入したマンションに住み続けることができなくなったとき、どの手が打てるかです。

そのときの選択肢は

  1. 売る
  2. 貸す
  3. 放棄する

以外にはありません。

【マンション売却】残債が相場価格以上のときは売れない?
不動産は帳簿上は資産ですが、事実上の負債となる場合もあります。負債不動産と判明した場合は、売却することもできません。そうならないために、バランスシートを使った考え方をマスターしましょう。

人の流動がないエリアの新築マンションを購入するときは、売るにも時間がかかり、貸すにも家賃が弱いことを覚悟しなくてはなりません。

つまり次のような新築マンションの取得がベターなのです。

  1. 売りたいときに、売主希望価格で売れるエリアの新築マンション
  2. 貸したいときに貸せるエリアの新築マンション