住宅ローンの繰り上げ返済のメリットとコツ 効果も計算してみよう

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出典(一部改変):http://www.ntv.co.jp
記事と日本テレビの放送内容とは一切関係がありません

「住宅ローンは定年までに繰り上げ返済して、一生懸命返してしまうべきだ」
というのが一般的な考え方のようです。

しかし、繰り上げ返済にはコツがあり、メリットとデメリットがあります。

一般的に言われる次の2つは本当なのでしょうか?

  • 繰り上げ返済は「期間短縮型」の方が効果がある
  • 繰り上げ返済は早めの方が効果がある
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住宅ローンの繰り上げ返済のメリット

失敗しない不動産投資家は効率性分析指標NOI,FCR,CCR,K%,CFを使う
表面利回りは忘れてしまいましょう。ネット利回り(NOI率)、真の利回り(FCR)、自己資本配当率(CCR)、ローン定数(K%)。これだけ覚えれば、不動産同士の優劣を数字で比較することができます。

本記事には、不動産投資で使う特殊な用語が出てきます。こちらの記事を先によめば、スムーズに本記事が読めます。

繰り上げ返済はK%で考えのがコツ

繰り上げ返済は、シミュレーションサイトで効果を確認ができますが、
K%(ローンコンスタント)を使えば、繰り上げ返済で得られる効果を自分でも計算できます。

繰り上げ返済の効果はK%が握っています。K%で考えることがコツです。

繰り上げ返済で得られる効果」と「自分で投資して得られる予想利益」を天秤にかけます。

「繰り上げ返済をして得られる効果」の方が多いならば、繰り上げ返済はメリットがあります。

K%を使った繰り上げ返済の効果の計算

K%=年間返済総額 / 住宅ローン残高

K%とは、住宅ローンを借りるためのコストのことです。

借入1000万円、金利3%、返済期間35年、元利金等払いの条件で借りた住宅ローンのスタート時のK%を計算すると

K% =461,820 / 1,000万円
  =4.62%

繰り上げ返済(返済額軽減型)をすれば、
「K%×繰上げ返済額」分だけ返済が減ります。
その金額が、繰り上げ返済の効果です。

つまり、K%が高いほど繰り上げ返済はメリットがあります。

同じ条件で15年後100万円分を繰り上げ返済してK%を計算すると

K% = 461,820/7,023,192
    = 6.58%
100万円 × 6.58%=65,800円

繰り上げ返済をすると、65,800円分のだけ年間の返済額が減ります。

つまり、100万円繰り上げ返済した時の効果は年間65,800円です。
言い換えれば、6.58%の投資をしたということです。

今回の例では、6.58%より大きな投資手段があれば、そちらに投資する。
ないならば、繰上げ返済するのがコツです。

返済が進めば、繰り上げ返済の効果が高くなる

スタート時と15年後のK%の違いに気づいた方は、なかなか投資のセンスがあります。こんな記事はいかがでしょうか?

【収益還元法】NOIとキャップレートを使った不動産(マンション)の価格計算
不動産の価格の計算方法は、主に3種類あります。収益還元法、取引事例比較法、原価積上法。NOIとキャップレートから計算された収益還元法の価格こそが不動産の本当の価値です。

繰り上げ返済の時期別K%の計算結果

繰り上げ返済時期 K%
返済開始時 4.62%
15年経過時 6.58%

返済開始時から25年経過時までのK%の推移グラフ

K%は、住宅ローンの返済が進むほど大きくなっていきます

「住宅ローンの繰上げ返済は、早ければ早いほうがいい」という従来の考え方に反しますが、1年あたりの繰り上げ返済の効果を考えるならば、ある程度住宅ローンの返済が進んでから繰り上げ返済がコツです。

投資家目線で住宅ローンの繰り上げ返済のメリットを語るならば、従来の考え方が間違っているのです。

返済期間が短い住宅ローンは繰り上げ返済する効果は高い

同じ金額を借りた場合であっても、住宅ローンの返済期間が短いほど年間返済額は多くなります。K%は、住宅ローンの年間返済額が増えれば、比例して上がります。

金利2%、元利金等払いで1000万円借りた場合

返済期間 年間返済額 K%
20年 ¥607,056 6.07%
30年 ¥443,532 4.44%
35年 ¥397,512 3.98%

短い期間で住宅ローンを借りてしまった人ほど、繰り上げ返済は効果が高く、メリットがります。

繰り上げ返済は「返済額軽減型」を選ぶのがコツ

「変動金利と固定金利どちらが得か」に決着!住宅ローンの返済額を計算して比較
金利上昇時は固定金利を選び、金利下降時は変動金利を選ぶのがセオリーです。現在は、超低金利のため固定金利を選んだほうが無難というのが一般的な考え方でしょう。しかし、考え方ひとつでは…

住宅ローンの繰り上げ返済は「返済額軽減型」を選びましたが、住宅ローンの繰り上げ返済は「期間短縮型」を選ぶこともできます。

定年までに住宅ローンを返済するならば、「期間短縮型」の方がメリットがあるように見えます。

しかし、返済期間の圧縮は、自ら勝ち取った「返済期限の利益」を放棄することになり、デメリットでしかありません。

繰り上げ返済は「返済額軽減型」を選ぶのがコツです。

「期間短縮型」のほうが「総支払額の軽減効果が高いのでメリットがある」と反論されるかもしれません。

しかし、「繰り上げ返済をして軽減された金額」を毎月繰り上げ返済すれば、理論上は総支払額の軽減効果は同じになります。

「返済額軽減型」は期限の利益を放棄することなく、返済額を減らすことができるため、毎月の返済に余裕がでてきます。それを別の資金へ回すという選択肢が増えます。

  • 教育資金
  • 投資資金
  • 生活資金
  • (繰り上げ返済の資金)

住宅ローンの繰り上げ返済のデメリット

デメリットになる例1
低金利で住宅ローンを長期間借りられた人

優遇金利を使えば、都市銀行でも0.775%、返済期間35年、変動金利という超低金利で住宅ローンを借りられます(出稿当時)。

返済スタート時のK%は3.28%です。100万円繰り上げ返済して得られる効果は、たったの32,800円です。

100万円の手持ち現金を失うメリットはありません。

K%は10年後でやっと4.40%です。これだけ低コストで住宅ローンを勝ち取ることができたのに、それを放棄するメリットがあるのでしょうか。

低金利で住宅ローンを長期間借りられた人には、繰り上げ返済のコツもありません。

デメリットになる例2
年間の収支に余裕が少ない人

「繰り上げ返済貧乏」と言う言葉をご存じでしょうか?

繰り上げ返済に精を出しすぎて、手持ち現金を枯渇させてしまった人。急な出費をしのげなくなった人たちのことです。

住宅ローンと教育費で失敗する高所得者 返済困難になる典型例
居住費と教育費は、重なる期間が長いです。そのときに、生活費・住宅ローン・教育費のコントロールを失うと、最悪の場合家を失います。優雅に見える高所得者。しかし中を覗いてみると炎上寸前かもしれません。

こちらの記事にもあるとおり、教育費と住宅ローンが重なるときがやってきます。老後を除けば、そのときが人生で最も収支が厳しくなるときです。

繰り上げ返済できる現金を持っていたとしても、将来のリスクに備えるために、現金は温存しておくべきです

まとめ

住宅ローンの繰り上げ返済がメリットになる人(効果が高い)

  1. 住宅ローンの金利が高い人
  2. 住宅ローンの返済期間が短い人
  3. 完済間近(投資家向け)

住宅ローンの繰り上げ返済がデメリットになる人(効果が低い)

  1. 住宅ローンを低金利で長期間借りられた人
  2. 年間収支に余裕がない人
  3. 教育費が高くなりそうな人

繰り上げ返済は「返済期間短縮型」ではなく「返済額軽減型」を選ぶのがコツ。