失敗しない不動産投資分析:安全性判断指標(DCR,LTV,BER,PB)

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不動産投資家としてやらなくてはならないことに、投資効率の最大化があります。

投資効率が高いということは、不動産投資の安全性が低いということです。リスクとリターンは相反するため、投資効率と安全性を両立させることは困難です。

ローリスク・ハイリターンを謳う商品で投資を誘う人もいますが、関わってはいけません。失敗するだけです。

  • 投資をしたことがなく、単に商品を売りたい人
  • 投資経験はあるが、分析力が低い人
  • 詐欺師

不動産投資をしていて、投資効率はいいんだけど、しっかりローン返せるかな?失敗しないかな?心配だな?と思ったときは、次の安全性投資分析指標の理解がきっと助けになるでしょう。

  1. DCR(債務返済比率)
  2. LTV(借入金比率)
  3. BER(損益分岐入居率)
  4. PB(自己資金回収期間)
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DCR<1
不動産投資の失敗が決定するとき

途中で意味がわからなくなった方は次の記事からどうぞ。

不動産投資で表面利回りは失敗の元!NOI利回り(ネット利回り)、キャップレート、収益還元法を使おう
表面利回りは空室率・経費等を全く考慮していないため、あてにならない指標です。表面利回り20%の物件でも、実際の手残りを計算した利回りは10%を切ることもあります。嘘?と思うかもしれませんが、それが現実です。

DCR(ディーシーアール)は、Debt Coverage Ratioの略です。不動産投資の場合は、債務返済比率ともいわれている安全性投資分析指標です。

DCR = NOI / ADS

NOI:ネット収入
ADS:年間ローン返済額

DCRは、ネット収入(NOI)が年間返済額(ADS)の何倍あるかを示しています。

収益力NOIが下がってくると、DCRも下がり、不動産投資の安全性が低くなっていきます。

DCRは1未満とは、不動産からの収益からローンが返済できない状態を示しています。つまり、CF(キャッシュフロー)がマイナスになっており、不動産投資の失敗が確定しています。

逆に、DCRが高ければ、よりリスクが低く安全で、安定して資産運用が可能です。

不動産投資の安全性を求めるのであれば、DCRは1.3以上が目安です。

DCRの計算例と安全性の判断

不動産A

年間賃料  72万円
稼働率 90%
固定資産税・都市計画税 年間4万円
管理委託料 賃料の5%
管理費・修繕積立金  年間12万円
不動産価格 700万円
諸費用総額 80万円
銀行借り入れ額 640万円
自己資金 140万円
返済年数 30年
元利均等払い

この条件でDCRを計算します

DCR = 455,600 / 323,784
   ≒ 1.41(安全性の目安以上)

マンションの経年劣化とともに賃料は下がり、NOIも下がります。ADSは繰り上げ返済をしない限り、下がることがありません。

不動産投資においては、DCRは年々下がり、安全性が低下して、失敗する確率が増えていくということです。

将来にわたって1.3以上を維持できるのか、最悪の場合1を切らないのかを考慮する必要があります。

NOI-ADS-DCRの関係を示す図

表の見方
NOIとADSは左軸の数字を、DCRは右軸の%を見ます。

NOIが下がっていき、ADSと同じ額になったときが、DCR=1です。

安全性の逆側。効率性投資分析指標について

失敗しない不動産投資家は効率性分析指標NOI,FCR,CCR,K%,CFを使う
表面利回りは忘れてしまいましょう。ネット利回り(NOI率)、真の利回り(FCR)、自己資本配当率(CCR)、ローン定数(K%)。これだけ覚えれば、不動産同士の優劣を数字で比較することができます。

LTVが高い
=ローンに頼った不動産投資
=金利上昇で失敗する

LTV(エルティーブイ)は、Loan To Value Ratioの略で、不動産投資の場合は借入金比率といわれています。

LTVは、不動産購入価格と借入金の割合を指す安全性投資分析指標です。

LTV = 借入額 / 不動産価格

LTVが小さい方がリスクが低く、不動産投資の安全性が高くなります。安全ということは、銀行から有利なローンを獲得しやすいということです。

LTV100%(ハイレバレッジ・ハイリスク)がフルローンです。
オーバーローンになるとLTVは100%を超え、金利の上昇でローンの支払うことが困難で投資失敗する可能性が高まります。

リスクをコントロールしやすい(安全性が高い)LTVの目安は、不動産購入スタート時点で80%以下です。

つまり、頭金が2割以上ということです。

新築マンションの頭金はいくら払う?価格の下落からフルローンOKか考えよう
頭金を入れる理由のひとつは、売却するときに住宅ローン残債が売却価格を上回るのを防ぐためです。しかし、頭金が多ければ、その分だけ現金を失うことになります。どのようにバランスをとればいいのでしょうか?

LTVの計算例と安全性の判断

不動産AでLTVを計算すると

LTV = 640万円 / 700万円
    = 91.4%

安全性が高いと判断される目安の「LTV=80%」でスタートするための自己資金を計算すると

借入額
= 0.8 × 不動産価格
= 0.8 × 700万円
=  560万円

自己資金
=(不動産価格+諸経費)-借入額
=(700万+80万)-560万円
= 220万円

LTV=80%でスタートするための自己資金は、220万円であることが分かります。

BER<入居率
その年は赤字=不動産投資失敗

BER(ビーイーアール)Break Even Rateの略です。不動産投資では、損益分岐入居率といわれています。

BERは、その年の収益が黒字になるため(安全性が高い)には、どれくらいの入居率が必要なのかを教えてくれる安全性投資分析指標です。

BER=(運営費+ADS) / 満室時賃料

運営費=固定資産税・都市計画税、管理委託料、管理費・修繕積立金など

BERは運営費等も考慮しているため、信ぴょう性の高い指標です。入居率がBER未満になると、その年は赤字になります。

BERの目安は70%以下です

【マンション売却】残債が相場価格以上のときは売れない?
不動産は帳簿上は資産ですが、事実上の負債となる場合もあります。負債不動産と判明した場合は、売却することもできません。そうならないために、バランスシートを使った考え方をマスターしましょう。

BERの計算例と安全性の判断

不動産AでBERを計算すると

BER=(40,000円+720,000円×5% 
    +120,000円 +323,784円) 
          / 720,000円
  = 72.2%

365日 × 72.2% ≒ 264日(1年間に264日以上の入居で黒字)

マンションの経年劣化により賃料の低下が起こりますので、年々BERは高くなっていく(安全性が低くなる)傾向にあります

家賃の低下が起こりにくい安全性の高いエリア

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中古ワンルームマンションは自分で工夫できる要素が少ないため、物件選定で成功失敗の8割が決まります。立地管理に対する考え方は、主要政令都市以上であれば共通です。

PB 【何年で資金が回収できるか】

PB(ピービー):Pay Backの略です。

不動産投資では、自己資金回収期間といわれています。

不動産投資に使った自己資金が、何年で回収できるのかを教えてくれる投資指標です。

PB = 自己資金 / 年間CF

PBが小さければ投資効率は良い(自己資金の回収が早い)が、安全性は劣ります。

PBの目安は5~10年くらいです

PBの計算例と安全性の判断

不動産AでPBを計算すると

PB= 1,400,000円 / 131,816円
  = 10.62年

10年と少しで、自己資金を回収できます。まずまずですね。

まとめ

不動産投資で失敗せず、安全な投資ができる条件

  1. DCR(債務回収期間)の目安は1.3以上。
  2. LTV(借入金比率)の目安は80%以上
  3. BER(損益分岐入居率)の目安は70%以下
  4. PB(自己資金回収期間)の目安は5年~10年

不動産Aで自己資金を変化させると、どのように指標が変化するのかを確認した表です。

自己資金と安全性判断指標のまとめの表1

自己資金 ¥700,000 ¥1,400,000 ¥2,800,000
NOI ¥455,600 ¥455,600 ¥455,600
FCR 5.84% 5.84% 5.84%
K% 5.06% 5.06% 5.06%

自己資金を多く使っても、不動産そのものの力を示す指標であるFCRや、ローンの優越を示す指標であるK%は変化しないことがわかります。

自己資金と安全性判断指標のまとめの表2

自己資金 ¥700,000 ¥1,400,000 ¥2,800,000
CF ¥96,393 ¥131,808 ¥202,638
DCR 1.27 1.41 1.8
PB 7.26 10.62 13.82

自己資金を多く使えば、

  1. 年間の利益CFが増えるので、
  2. DCRが大きくなり、安全性が高まる。
  3. その結果、投資資金の回収期間が長くなります。

自己資金と安全性判断指標のまとめの表3

自己資金 ¥700,000 ¥1,400,000 ¥2,800,000
CCR 13.77% 9.41% 7.24%
LTV 101% 91% 71%
BER 77% 72% 62%

自己資金を多く使えば、

  1. 投資効率が悪くなる(CCR↓)
  2. 将来、入居率が低くなっても、安全(BER↓)