インフルエンザ薬 タミフルと吸入薬イナビルの効果と副作用

タミフル
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インフルエンザ薬は5種類(6種類)あります。

  • 飲み薬:タミフル、シンメトレル
  • 吸入薬:イナビル、リレンザ
  • 点滴薬:ラピアクタ
  • (特殊:※アビガン)

 

軽度から重度のインフルエンザの治療に使用される薬は、飲み薬タミフルと点滴薬ラピアクタで、
軽度のインフルエンザの治療に使用される薬のほとんどは、飲み薬タミフルと吸入薬イナビルです。

タミフル、イナビルの効果・副作用を比較しながら解説します。

※アビガンは製造・承認に特別な国の許可がいるため、流通していません。

インフルエンザの飲み薬タミフルとは

タミフル発売前のインフルエンザ薬シンメトレル

シンメトレル錠50mgと100mg

もはや説明不要かもしれませんが、タミフルはインフルエンザの治療や予防に使う飲み薬です。

タミフルが発売されるまでは、シンメトレル(アマンタジン)という薬がインフルエンザに使用されていましたが、A型インフルエンザのみの効果でした。

もともとシンメトレルはパーキンソン病などで使用される薬のため、神経や胃腸に対する副作用が比較的現れやすく、インフルエンザに使いにくい薬でした。

タミフル耐性インフルエンザが注目を浴びたときに、一時的にシンメトレルを使うことがありましたが、
現在は、インフルエンザ薬としてのシンメトレルを使うことはほとんどありません。

タミフルはA型B型インフルエンザに有効

タミフルカプセル75mg

タミフルは、A型とB型のインフルエンザの治療と予防に使われます。
(C型インフルエンザもありますが、C型の診断キットや薬はありません)

タミフルは、インフルエンザウイルスのノイラミダーゼという酵素を阻害することで、効果を発揮します。

 

タミフル(イナビル)の効果のイメージ

タミフル、イナビルの作用機序

インフルエンザウイルスは、細胞内に入り子ウイルスを作り細胞外へ出ていきます。

タミフル、イナビルなどのインフルエンザの薬は、細胞外へ出ていく過程をブロックして、ウイルスの増殖を抑えます
(インフルエンザ薬には、殺ウイルス効果はありません

インフルエンザ薬タミフル、リレンザ、イナビルの違いと耐性ウイルス

タミフルの使い方(飲み方)

インフルエンザウイルスは短時間で爆発的に増殖します。

そのため、タミフルは、インフルエンザの発熱などの症状が発現してから2日(48時間)以内に飲み始めないと十分な効果がえられません。

タミフルを治療に使う場合、
体重37.5kg以上の子供と15歳以上の大人は、1回1カプセル1日2回朝夕食後、5日間飲むのが標準的な使い方です。

体重37.5kg未満の子供は、タミフルドライシロップを使います。

2016年11月24日から、医師の判断で0歳児もタミフルドライシロップを使えるようになりました。

0歳児の用法用量
約0.1g/体重1kg、1日2回、5日間服用

タミフルドライシロップ3%

タミフルドライシロップとイナビルは子供に効かない?苦い味VS吸入

 

透析などを行っていて腎臓の機能が弱っている場合は、1日1回1カプセル、2日に1回1カプセル服用という飲み方もあります。

タミフルの効果

タミフル(イナビル)を飲む(吸入する)と、すぐに効きますか?熱は下がりますか?とよく効かれますが、残念ながらタミフル(イナビル)は期待以上にすぐには効果がでてきません。

タミフルのインフルエンザ治療効果

国内で実施された、タミフルカプセルを1日2回朝夕食後、1回1カプセル、5日間服用する第Ⅲ相臨床試験の結果によると、

タミフルはインフルエンザの罹病期間(全ての症状が改善するまでの時間)を23.3時間短縮する効果があります。
(対象は大人)

タミフルとプラセボを服用した時のインフルエンザ症状の継続時間
(単位:時間)

インフルエンザ症状 プラセボ タミフル
発熱 23 10
だるさ 41 24
筋肉痛 28 16
55 31
喉の痛み 21 10
頭痛 14 8
鼻づまり 43 33

 

タミフルとプラセボと比較すると、インフルエンザ症状の継続時間を短縮する効果があることがわかります。

インフルエンザ症状の短縮時間(効果=プラセボ-タミフル)をグラフで示すと次の通りです。

タミフルのインフルエンザ症状短縮時間(効果)

タミフルのインフルエンザの重症化抑制効果

次のグループは、インフルエンザに感染して発症した場合、重症化したり肺炎などの合併症を引き起こす可能性が高いことが分かっています。
(これがインフルエンザは怖いといわれる原因のひとつです)

  • 慢性呼吸器疾患
  • 慢性心疾患
  • 糖尿病などの代謝性疾患
  • 腎機能障害
  • ステロイド内服などによる免疫機能不全
  • 乳幼児
  • 65歳以上の高齢者
  • 妊婦

【妊婦のインフルエンザ】タミフル、イナビル、リレンザは赤ちゃんに大丈夫?

 

タミフルには、肺炎などを起こさせないインフルエンザの重症化抑制効果があります。

タミフル服用後3日目以降に、抗生物質(抗菌剤)による治療を必要とした、インフルエンザ重症化症状の発現率

重症化の症状 プラセボ タミフル 重症化抑制率
(効果)
肺炎 1.7% 1.4% 123%
気管支炎 2.6% 0.9% 277%
中耳炎 21.3% 12.0% 178%
副鼻腔炎 3.8% 3.2% 119%

重症化抑制率(効果)
=プラセボ / タミフル

タミフルの副作用

タミフル承認時までの臨床試験では、比較的消化器系の副作用が多く認められましたが、
実際の医療現場では、タミフルを服用して副作用が出る確率は相当低いです。

タミフルの副作用 承認前
(臨床試験)
販売後調査
腹痛 6.8% 0.3%
下痢 5.5% 0.5%
嘔吐 3.9%
悪心 0.3%
発疹 0.2%
全ての副作用合計 27.5% 2.1%

インフルエンザ吸入薬イナビルとは

イナビルが発売される前のインフルエンザ薬

イナビルが発売される前は、インフルエンザ薬は、飲み薬のタミフルと吸入薬リレンザしかなく、どちらも5日間の内服もしくは吸入が必須でした

  • 毎日5日間、内服するタミフル
  • 毎日5日間、吸入するリレンザ

 

リレンザ

リレンザ

 

イナビルは、1度きりの吸入でインフルエンザの治療の完結を可能にした吸入薬です。

ただし、イナビルは、タミフル・リレンザと違い一発勝負です。失敗すると薬が無駄になります。

イナビル吸入粉末剤20mg

イナビルもA型B型インフルエンザに有効

イナビルもタミフルと同様に、インフルエンザウイルスのノイラミダーゼという酵素を阻害して効果を発揮するため、A型とB型のインフルエンザの治療と予防に使われます。
(C型インフルエンザウイルスには、ノイラミダーゼが存在しない)

イナビルのインフルエンザウイルスに対する効果範囲

イナビルは広範囲のインフルエンザウイルスに抗ウイルス作用を示すというマウスでの実験データがあります。

  1. 薬剤耐性インフルエンザウイルス
    (A/H1N1型※1、A/H3N2型※2、B 型※3、A/H5N1型※4)
  2. 新型ヒトインフルエンザウイルス
    (A/H1N1 pdm09※5)
  3. 高病原性鳥インフルエンザウイルス
    (A/H5N1 型)

※1:H274Y変異株
※2:R292K 変異株、E119V 変異株
※3:G402S 変異株
※4:H274Y 変異株、N294S 変異株
※5:2009年の新型インフルエンザ

インフルエンザ予防薬タミフルとイナビル 予防投与の効果、飲み方、使い方

イナビルの使い方(吸入方法)

イナビルはインフルエンザの発熱などの症状が発現してから2日(48時間)以内に吸入します。

出典:第一三共HP

 

イナビルは、同じ吸入薬のリレンザと比較すると、小さな子供(5歳以上が目安)でも吸入できます。

10歳以上
イナビル2本を単回吸入する
10歳未満
イナビル1本を単回吸入する

単回吸入:容器内の薬を吸いきる

吸入後は、イナビルの粉が気管に入るため結構むせます。
イナビルの粉の味は苦く、吸入後の後味はよくありません。

イナビルとタミフルの大人への効果を比較

イナビルとタミフルの大人への効果を比較した試験の結果は同等です。

インフルエンザウイルス感染症を対象としたタミフルを対照とする無作為化二重盲検比較試験(第Ⅲ相国際共同試験)にて証明されています

 

インフルエンザ罹病期間
(単位:時間)

インフルエンザのタイプ リレンザ タミフル
A/H1N1型 74 77.5
A/H3N2型 72.5 67.5

※イナビルは2本吸入。タミフルは1日2回、1回1カプセル、5日間服用

 

時間軸で累積罹病割合をプロットしたグラフは次のとおりです。

イナビル、タミフルのインフルエンザ罹病時間

出典:イナビルインタビューフォーム(医療者向け詳細説明書)

 

体温が平熱に回復するまでの時間

  • リレンザ:55.3時間
  • タミフル:54.7時間

イナビルの副作用

イナビルもタミフルと同様に、副作用が発現する確率は相当低いです。

副作用ではないのですが、イナビルを吸入したときに直接肺へ入ることが原因で咳き込む場合があります。(←けっこうオエっとなります。吸入時はご注意を)

 

イナビルの副作用(成人)

副作用 発現率
下痢 0.31%
めまい 0.11%
悪心 0.08%
蕁麻疹 0.0%
その他の副作用 0.82%
合計 1.40%

※販売後の調査

タミフル、リレンザ、イナビルはインフルエンザ異常行動の原因?

まとめ

  1. タミフルは、体重(37.5kg)でカプセル、ドライシロップを使い分ける
  2. イナビルは、年齢(10歳)で吸入の本数の違いがある
  3. タミフル、イナビルなどのインフルエンザ薬は、インフルエンザの罹病期間の短縮効果と、重症化抑制効果がある
  4. タミフルとイナビルの、大人のインフルエンザに対する効果は、同等のため使いやすい(飲みやすい)方を選べばよい
  5. タミフルとイナビルには、消化器系の副作用を起こすことがあるが、副作用発現率は相当低い

タミフル、イナビルの効果、副作用の情報元は、添付文書もしくはインタビューフォームです。

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