肩がこる、硬い、重いなどの症状は多くの人が経験します。
これらの症状は医学用語で、頚肩腕症候群(けいけんわんしょうこうぐん)や上肢障害(じょうししょうがい)と呼ばれており、世間ではいわゆる肩こりと言われています。
湿布は分厚い湿布、うすい湿布、冷湿布、温湿布の4種類がありますが、肩こりに一番効く湿布はどの種類の湿布なんだろうと思ったことはないでしょうか?
医師はどのように湿布の種類を使い分けているのでしょうか?
肩こりの原因
現代病肩こり
パソコンやデスクワークなどで長時間同じ姿勢をとり続けることは多くなりました。
それにともない、肩こりを訴える人も増加しています。
肩こりを訴える方の特徴
- なで肩、首が細長い体形
- 女性 > 男性
- 運動不足
肩こりは筋肉の疲労が原因
肩こりの原因は、肩周辺の筋肉の疲労です。
首、肩、背中の筋肉が、パソコンやデスクワークなどで常に緊張した状態にあると、筋肉が収縮して硬くなり、血管が圧迫されて血行が悪くなります。
疲労物質(乳酸)が筋肉内に蓄積していき、肩こりになるのです。
湿布の種類 (温湿布、冷湿布、テープ、パップ)
分厚い湿布(パップ剤)
分厚い白い湿布は、パップ剤と呼ばれています。
パップ剤は水分含有量が多く、貼ると水分の蒸発作用により冷たく感じるのが特徴です。
(冬にパップ剤の湿布を貼ると、飛び上がるくらい冷たい)
パップ剤には冷却効果があるため、急性症状(まさに痛みが起こったその瞬間)で使われることが多いです。
パップ剤は、1日2回貼り替える種類が多いです。
パップ剤の種類
- モーラスパップ
- ミルタックスパップ
- イドメシンパップ
- ○○パップ
1日1回タイプのパップ剤の種類
- ロキソニンパップ
- モーラスパップXR
冷湿布
パップ剤は水分含有量が多く、貼ると水分の蒸発作用により冷たく感じるのが特徴ですので、パップ剤の湿布そのものが冷湿布を兼ねていることが多いです。
冷湿布は、患部の冷却+消炎鎮痛効果で、腫れ、打撲、ねんざなどの急性疾患に適しています。
冷湿布の種類
- MS冷シップ
うすい湿布(プラスター剤)
うすい肌色の湿布は、プラスター剤と呼ばれています。
プラスター剤は脂溶性で水分は少なく、うすく皮膚に密着しやすいのが特徴です。
(冷湿布の)パップ剤を数日使用した後、患部の熱がなくなったころにプラスター剤を使うといいでしょう。
プラスター剤は、1日1回で貼り替える種類が多いです。
プラスター剤の種類
- モーラステープ
- ロキソニンテープ
- ボルタレンテープ
- ロコアテープ
温湿布
パップ剤、プラスター剤の中には、トウガラシエキスやノニル酸ワニリルアミドを含んだ温感タイプと呼ばれる温湿布があります。
温湿布は、皮膚(筋肉)を温めて血行をよくし、筋肉にたまっている老廃物の除去+消炎鎮痛効果で、(肩こり)腰痛などの慢性疾患に適しています。
温湿布は、冷湿布と比べるとかぶれやすく、入浴1時間前にははがしておかないと、皮膚がヒリヒリすることがあります。
先発品は非温感湿布で、ジェネリックが温感タイプの湿布という組み合わせの種類もあります。
ジェネリックが温感タイプの湿布の種類
先発 (非温感湿布) |
ジェネリック (温感タイプ) |
主成分 |
---|---|---|
なし | MS温シップ「タイホウ」 | サリチル酸メチル |
イドメシンコーワパップ | ラクティオンパップ | インドメタシン |
アドフィードパップ | フルルバンパップ | フルルビプロフェン |
ロキソニンテープ | ロキソプロフェンナトリウムテープ50mg 「タイホウ」 |
ロキソプロフェン |
セルタッチテープ | フェルナビオンテープ | フェルビナク |
肩こりに効くはどの種類(温感?冷感?)
肩こりの原因から考えると、冷湿布は肩こりにはほとんど効かないでしょう。どちらかといえば、温湿布の方が肩こりに効く気がします。
あくまで「肩こりに効く気がする」です。
温湿布は肩こりに効く?
温湿布の代表湿布である「MS温シップ」の添付文書(医療者向け薬の説明書)の効果を確認すると
下記における鎮痛・消炎
「捻挫、打撲、筋肉痛、関節痛、骨折痛」
頚肩腕症候群(肩こり)の文字は見当たりません。
他の温湿布(温感タイプ)の添付文書も確認してみましょう。
下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛
変形性関節症、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛ロキソプロフェンナトリウムテープ50mg「タイホウ」
下記疾患並びに症状の鎮痛・消炎
変形性関節症、肩関節周囲炎、腱・腱鞘炎、腱周囲炎、上腕骨上顆炎(テニス肘等)、筋肉痛、外傷後の腫脹・疼痛フルルバンパップ
肩関節周囲炎は頚肩腕症候群(肩こり)に近い気がしますが、肩関節周囲炎とはいわゆる五十肩を指します。
温湿布(湿布全般)は、肩こりの痛みを緩和しますが、肩こり(コリ)には効果がありません。
それでも、病院に行って肩こりのような症状を訴えると、レントゲンをとった後、湿布が処方されるときも多いです。なぜでしょう?
医師が肩こりに湿布を処方する理由は、患者さんが湿布を望むからです。
肩こりに効くと思って湿布を処方する医師はいません(多分)。本来は保険も使えません。
ただ、温湿布を含めて湿布は肩こりの痛みの緩和はできます。
まとめ
- 湿布を肩こりに貼ると効く気がするが、湿布で肩こりは治らない
- 湿布は主に4種類(パップ、プラスター、冷湿布、温湿布)
- 冷湿布は、患部の冷却効果により、腫れ、打撲、ねんざなどの急性疾患に適している
- プラスターは(冷湿布の)パップ剤を数日使った後、患部の熱がなくなったころへ
- 温湿布は温める血行促進効果で、(肩こり)腰痛などの慢性疾患に適している
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