インクレミンシロップはピロリン酸第一鉄を主成分とする鉄欠乏性貧血薬で、主に赤ちゃんから子供に使われています。
現在使われている内服薬の鉄剤は6種類ありますが、インクレミンシロップは副作用の面で使いやすいです。
鉄欠乏性貧血薬 | 成分名 |
---|---|
フェロミア | クエン酸第一鉄 |
フェログラデュメット | 硫酸鉄 |
スローフィー | |
テツクールS | |
フェルム | フマル酸第一鉄 |
インクレミン | ピロリン酸第二鉄 |
ですので、大人であっても他の鉄剤で吐き気、便器、下痢などの副作用が辛くて続けられない場合、インクレミンシロップを使うケースもあります。
インクレミンシロップで便と歯が真っ黒に
インクレミンシロップを飲み始めると、驚くほど便の色が黒くなります。
そして、インクレミンシロップは一度飲み始めると、長期服用になる場合がほとんどです。(その理由は記事の最後に解説しています)
ですので、歯にインクレミンシロップを付けたままにすると、歯が黒く着色する場合もあります。
そのため、副作用と思ってインクレミンシロップを止めてしまう方もいますが、これらの症状は副作用ではありません。飲み続けても問題ありません。
ただ、歯が黒くなるのを放置するのも考え物です。歯の着色対策として服用後の口うがいや(重曹)歯磨きをおすすめします。
便と歯が黒くなる理由
インクレミンシロップで便が黒くなるのは、吸収されなかった鉄分が排泄の過程で酸化鉄や硫化鉄になるからです。
インクレミンシロップで歯が黒くなるのは、歯に付着した鉄分が酸化して酸化鉄になるからです。
どちらも、鉄がサビて真っ黒になったのをイメージして見てください。真っ黒になりませんか?
『まるで鉄の味?インクレミンシロップの飲み方飲ませ方はこう!』
インクレミンシロップの副作用 (便秘、下痢、吐き気)
鉄欠乏性貧血薬は便秘、下痢、吐き気などの胃腸系副作用が起こる頻度が高いです。
インクレミンシロップもこれらの副作用が問題になることもありますが、鉄欠乏性貧血薬の中では最少です。
ですので、フェロミア、フェログラデュメットなどの鉄剤で副作用が出る方に、インクレミンシロップが使われるケースもあります。
<参考:フェロミアの副作用と頻度>
副作用 | 副作用頻度 |
---|---|
嘔気(悪心) | 3.02% |
嘔吐 | 1.79% |
下痢・軟便 | 1.02% |
胃痛 | 0.49% |
便秘 | 0.46% |
(インクレミンシロップは副作用頻度が明らかになる試験が行われていないため不明ですが、フェロミアの副作用頻度以下と考えられます)
『フェロミアのツライ副作用 便秘、下痢、吐き気、胃痛はいつまで続くの?』
インクレミンシロップはすぐに止めない
インクレミンシロップは一度飲み始めると長期服用となる場合が多い薬で、勝手にやめてはいけません。
なぜなら、血清鉄の正常化はもちろん、鉄分のストックである貯蔵鉄も正常化する必要があるからです。
血清鉄とは血中に溶け込んでいる鉄のことです。
ヘモグロビンを作るのに必要な栄養素に鉄、ビタミンB12、葉酸などがあり、これらが不足すると貧血を起こします。
(赤血球に含まれるヘモグロビンは、肺で取り込んだ酸素を全身へ送っています)
- 鉄不足→鉄欠乏性貧血
- ビタミン12不足→悪性貧血
- 葉酸不足→葉酸欠乏性貧血
『フォリアミンは妊婦の葉酸サプリの代わりになる?いつからいつまで?』
一方、貯蔵鉄とは、一時的な鉄不足を補うために肝臓などにストックされた余剰鉄です。
鉄分が不足してくると貯蔵鉄が減っていき、貧血ではない鉄欠乏状態となります。
貯蔵鉄を使い果たし血清鉄が減ると、鉄欠乏性貧血になり少しずつ貧血症状が表れます。
『インクレミンシロップは赤ちゃんと子供の鉄欠乏性貧血に大活躍!』
まとめ
- インクレミンシロップを飲み始めると便が真っ黒になる
- インクレミンシロップを飲んで、歯にそれが付いたままにしておくと、歯が黒くなることもある
- この2つの症状は副作用ではなく、鉄分が酸化(硫化)が原因である
- インクレミンシロップは便秘、下痢、吐き気などの胃腸系副作用が起こることがあるが、鉄欠乏性貧血薬の中では最少である
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