鉄剤(フェロミア/フェログラデュメット/インクレミン)は飲み合わせに注意!

フェロミア
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2016年の国民健康栄養調査によると、食事からの鉄摂取量の平均は7.4mg(男性7.8mg、女性7.1mg)です。

一方、食事摂取基準(2015年)によると、1日の食事からの鉄の推奨摂取量は次の通りです。

  • 成人男性:7.0mg
  • 成人女性:10.5mg(月経あり)
  • 妊娠前期:8.5~9.0mg
  • 妊娠中期後期:21~21.5mg
  • 授乳期:8.5~9.0mg

つまり、女性は特に鉄分不足で鉄欠乏性貧血におちいる可能性が高いということです。

鉄剤として飲む1日の鉄量は50mg~200mg程度で、食事からの鉄の推奨摂取量に対してかなり多いですが、飲み合わせが悪いと鉄吸収率が低下して、鉄剤を飲んでいるにも関わらず、十分な鉄量を補えなくなります。

鉄欠乏性貧血薬の種類

鉄欠乏性貧血の治療に使う鉄剤は内服薬と注射薬がありますが、ほとんどは内服の鉄剤を使います。

内服鉄剤は6種類で、大人にはフェロミア、子供にはインクレミンがよく使われています。

鉄欠乏性貧血薬 成分名
フェロミア クエン酸第一鉄
フェログラデュメット 硫酸鉄
スローフィー
テツクールS
フェルム フマル酸第一鉄
インクレミン ピロリン酸第二鉄

 

ただし、フェロミアは吸収がいいですが、吐き気の副作用が飲み始めに出やすく、飲み続けるのが難しくなるケースもあります。

そんなときは、吐き気の副作用がマイルドなフェログラデュメットが代替薬として使われます。

鉄剤と抗生物質の飲み合わせ

鉄剤には相性の悪い薬(飲み合わせがよくない薬)があります。

その代表例が抗生物質(ニューキノロン系抗菌薬、テトラサイクリン系抗生物質、セフゾン)です。

これらの抗生物質は、鉄、カルシウム、マグネシウムなどの金属イオンを含む薬と一緒に飲むと、吸収がかなり悪くなるため間隔をあけて飲む必要があります。

 

<ニューキノロン系抗菌薬の例>

  • クラビット(レボフロキサシン)
  • オゼックス(トスフロキサシン)

マイコプラズマ肺炎薬(子供) 抗生物質クラリス、ジスロマック、オゼックス

 

<テトラサイクリン系抗生物質の例>

  • ミノマイシン(ミノサイクリン)
  • ビブラマイシン(ドキシサイクリン)

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これらの薬は鉄剤との飲み合わせ注意で、一緒に飲むときは2時間以上間隔をあけて飲むのが原則です。

特に、セフゾン(セフジニル)は鉄剤と一緒に飲むと吸収が90%低下します。鉄剤とは3時間以上間隔を空けて飲むのがよいでしょう。

鉄剤と便秘薬の飲み合わせ

鉄剤を飲み始めると便秘になることもあり、便秘薬が必要になる場合もあります。

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酸化マグネシウムを主成分にするマグミットは、鉄剤と一緒に飲むと吸収が悪くなり効果が弱くなるため飲み合わせNGです。2時間以上間隔をあけて飲む必要があります。

マグミットは牛乳と飲み合わせNG?意外と多い併用注意薬はこれ!

 

反対に、プルゼニドアローゼンラキソベロンアミティーザなどは成分が酸化マグネシウムではないため、鉄剤との飲み合わせは問題ありません。

また、鉄剤を飲み始めると便が真っ黒になりますが、これは副作用ではないので止めないでください。

インクレミンシロップで便と歯が真っ黒!副作用じゃないから止めないで

鉄剤とシナールの飲み合わせ

鉄剤とシナール(ビタミンC)の併用もよく行われます。

鉄剤はビタミンCと併用すると吸収率がよくなるからです。

しかし、鉄剤とシナール(ビタミンC)を併用しても、鉄欠乏製貧血症状の改善効果は変わらないというデータもあります。

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鉄剤とお茶の飲み合わせ

鉄剤とお茶(特に緑茶)は、飲み合わせが良くないことで有名かもしれません。
(薬をわざわざお茶で飲む必要がありませんが…)

お茶に含まれるタンニン酸が鉄剤の吸収を悪くするからです。

しかし、タンニン酸(お茶)が鉄剤の吸収を悪くするのは事実ですが、鉄剤は1錠あたりの鉄含有量が圧倒的に多いため、多少吸収が悪くなっても効果に影響しません。

<1錠(1mL)あたりの鉄量>

  • フェロミア:50mg
  • フェログラデュメット:105mg
  • インクレミンシロップ:6mg

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鉄剤と牛乳の飲み合わせ

鉄剤と牛乳(ヨーグルト)の飲み合わせも良くないと言われる場合もあります。

牛乳に含まれるホスホプロテインが鉄剤の吸収を悪くするからです。

しかし、牛乳が鉄剤の吸収を悪くするのは事実ですが、お茶との飲み合わせと同じ理由で効果に影響を与えるほどではありません。

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まとめ

  • 大人にはフェロミア、子供にはインクレミンが(鉄欠乏性貧血に)よく使われる
  • フェロミアは吸収がいいが、吐き気・胃痛の副作用が起こりやすい。そんなときの代替薬としてフェログラデュメットがある
  • 鉄剤と特定の抗生物質は飲み合わせNG。2時間以上時間を開けて飲む
  • 鉄剤とマグミット(酸化マグネシウム)も飲み合わせNG。2時間以上間隔をあけて飲む
  • 鉄剤とお茶・牛乳は飲み合わせがよくないが、効果に影響を与えるほどではない

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