インフルエンザの流行期間は4カ月くらい(12月~3月)ありますので、妊娠期間10カ月の間に重複する期間が必ずやってきます。
妊婦も含めて、インフルエンザ予防はワクチンによる予防接種が基本ではありますが、
インフルエンザ予防接種は、インフルエンザに対して万能ではなく、ワクチンを接種したとしてもインフルエンザを発症する場合があります。
通常のインフルエンザであれば自然治癒しますが、妊婦は重症化するリスクが比較的高いため、インフルエンザ薬(タミフル、イナビル、リレンザ)を使用することもあります。
しかし、妊婦さんの場合、まるで毒薬を渡されたかのような質問責めにあうときがあります。
- 妊娠していますが、赤ちゃんは大丈夫ですか?
- タミフル(イナビル、リレンザ)は妊婦が飲んでも大丈夫な薬ですか?
- 妊婦です。赤ちゃんが心配です
妊婦さんが赤ちゃんの心配するお気持ちはよくわかります。
タミフル、イナビル、リレンザの妊婦と赤ちゃんへの影響を解説します。
出産のリスク
これはベースラインリスクと呼ばれています。
ポイントは「ベースラインリスクと比較して、インフルエンザ薬の使用でどれだけリスクが上がるか」です。
頭のかたすみにおいて、読み進めてください。
『妊婦必見!妊娠中の薬服用不安と心配を解くヒント その薬大丈夫?』
インフルエンザ薬タミフルと妊婦
インフルエンザ薬タミフルは使用経験が長く、軽症から重症まで世界中で使用されています。そのため、タミフルを妊婦に使用した例も多く存在し、データも蓄積されています。
2011年に日本産科婦人科学会が「抗インフルエンザウイルス薬投与妊婦の出産と小児に対する特定使用成績調査」の結果を発表しました。
タミフル
778例において、低出生体重児が71 例(9.1%)、早産が46 例(5.9%)、胎児発育不全(FGR) が27 例(3.5%) 認められ、自然発生率とほぼ同等であった。
絶対的過敏期について
59例中3例(5.1%)に流産を認めたが、自然流産率の15%より低く、タミフルの影響とは考えにくい。
タミフルは、妊婦がインフルエンザで服用しても、赤ちゃんに影響を与えにくいと考えられています。
『タミフル、リレンザ、イナビルはインフルエンザ異常行動の原因?』
インフルエンザ薬リレンザと妊婦
リレンザ
77例では、早産4例(5.2%)、低出生体重児4例(5.2%) 胎児発育不全(FGR)1 例(1.3%) 等が認められたが、自然発生率よりむしろ低率であった。
リレンザもタミフルと同様に、妊婦がインフルエンザで吸入しても赤ちゃんに影響を与えにくいと考えられています。
タミフルとリレンザは妊婦のインフルエンザに有益
たいていの薬の添付文書(説明書)には、次のような決め台詞があります。
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する
タミフル、リレンザも同様です。
しかし、タミフルとリレンザを妊婦がインフルエンザで服用してはいけない。
危険(ベースラインリスクを上回る)という証拠は、現時点では発見されていません。
タミフル、リレンザは、妊婦のインフルエンザに対して有益性が危険性を上回るのではないでしょうか。
インフルエンザ薬イナビルと妊婦
(成人の場合)インフルエンザになった場合、単回吸入すれば治療が終了するイナビルを使うことが多いです。
しかし、2001年に発売されたタミフル、リレンザと比較すると、イナビルは使用経験が少なく、2015年10月の時点では海外では販売されていません。
FDA妊婦カテゴリーにも該当していません。
妊婦のインフルエンザ薬は、次の2種類の薬が使用されることが多いのです。
- タミフル【FDA妊婦カテゴリーC】
- リレンザ【FDA妊婦カテゴリーC】
FDA妊婦カテゴリー抜粋
カテゴリー | 概要 |
---|---|
A | ヒト対照試験で、危険性がみいだされない |
B | ヒトでの危険性の証拠はない |
C | 危険性を否定することができない |
D | 危険性を示す確かな証拠がある |
X | 妊娠中は禁忌 |
『インフルエンザ薬 タミフルと吸入薬イナビルの効果と副作用』
まとめ
- 妊婦がインフルエンザになった場合、肺炎などの合併症を発症しやすい
- インフルエンザ流行全期間の予防効果が確認されているのはインフルエンザワクチンのみ
- インフルエンザワクチンは不活化ワクチンで、妊婦や赤ちゃんへの影響が極めて低い
- 妊婦がインフルエンザ予防接種で、特別な副作用(副反応)があったという報告はない
- タミフルとリレンザは、妊婦が服用しても、赤ちゃんの発育に影響を与えない
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