アメリカでは50歳を超えたらZOSTAVAXという帯状疱疹ワクチンを定期的に予防接種するそうです。
そのZOSTAVAXは何を隠そう日本の水疱瘡ワクチンを元にして製造されており、海外の大規模な臨床試験では帯状疱疹の予防効果が証明されています。
一方、日本ではZOSTAVAXは発売されていません。
その代わりに子供用の水疱瘡ワクチンを帯状疱疹ワクチンとして予防接種することが、2016年3月18日から認められています。
水疱瘡と帯状疱疹の関係
水疱瘡が流行すると帯状疱疹が少なくなり、反対に水疱瘡の流行がおさまると、帯状疱疹が増えます。（水疱瘡と帯状疱疹の流行は反比例の関係が成り立つ）
これは大人が水疱瘡の子供に接触することで、水疱瘡に対する免疫力が高まる（免疫ブースター効果）と考えられているからです。
水疱瘡は7月～8月の暑い夏は流行しません。その時期は帯状疱疹が発生しやすい時期です
アメリカの帯状疱疹ワクチン
アメリカの帯状疱疹の予防法は、水疱瘡に定期的に接触するようにZOSTAVAX（以下、帯状疱疹ワクチン（米））を定期的に接種することです。（←免疫ブースター効果を利用している）
製造工程は違いますが、帯状疱疹ワクチン（米）は本質的には日本の水疱瘡ワクチンと同じです。
日本の帯状疱疹ワクチン
日本ではZOSTAVAXは販売されていません。
子供用の水疱瘡ワクチンを帯状疱疹ワクチンとして予防接種するのが、日本での帯状疱疹の予防法です。
以下、子供用の水疱瘡ワクチンを帯状疱疹ワクチンと記載します。
帯状疱疹ワクチンの対象者
子供用水疱瘡ワクチンを帯状疱疹ワクチンとして予防接種することは、一部のクリニックでは行われていましたが、2016年3月18日からおおやけに使えるようになりました。
ただし、帯状疱疹ワクチンは大人であれば、誰でも予防接種できるわけではありません。
帯状疱疹ワクチンの予防接種対象者は50歳以上の大人です。
（明らかに免疫機能に異常のある方や妊婦は、帯状疱疹ワクチンを予防接種できません）
帯状疱疹ワクチンの予防接種費用 健康保険は？
インフルエンザワクチンと同じで、帯状疱疹ワクチンの予防接種は健康保険が使えない、全額自費負担です。
（保険適応なし）
帯状疱疹ワクチンの予防接種費用の目安は6000円～8000円です。
（2017年4月追記＞
メーカーに費用と摂取状況を確認しました。
- 費用は個々の医療機関が決めている。詳細はわからないが6000円～8000円が多い
- ワクチンが子供の水疱瘡予防接種に使われているのか、大人の帯状疱疹予防接種に使われているのかを確認していないため摂取状況は不明
帯状疱疹ワクチンの効果
帯状疱疹ワクチンの効果を確認する国内臨床試験は行われていません。
しかし、帯状疱疹ワクチンと帯状疱疹ワクチン（米）は本質的に同じワクチンですので、帯状疱疹ワクチン（米）の効果に準じる効果が期待できます。
＜参考＞
2005年に海外で行われた、帯状疱疹ワクチン（米）の大規模臨床試験の予防効果
| 60歳以上の予防効果 | |
|---|---|
| 帯状疱疹 | 51.3%減少 |
| 帯状疱疹後神経痛 | 66.7％減少 |
出典：50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防に対する一変承認時評価資料等の概要
このように、帯状疱疹ワクチン（米）は帯状疱疹と帯状疱疹後神経痛の予防効果が証明されています。
『帯状疱疹より怖いヘルペス後遺症 帯状疱疹後神経痛の痛み症状』
帯状疱疹ワクチンの副作用（副反応）
国内の259人を対象とした臨床試験では、50.6％の副作用（副反応）頻度です。
ただし、確認された副作用（副反応）は予防接種に共通してみられる副作用（副反応）であり、帯状疱疹ワクチンに特有の副作用（副反応）ではありません。
- 予防接種部の赤み 44.0%
- 予防接種部のかゆみ 27.4%
- 予防接種部の熱感 18.5% など
帯状疱疹ワクチンも定期接種化？
日本では、2014年10月に水疱瘡ワクチンが定期接種化（無料で予防接種できる）されました。くわしくはコチラの記事で解説しています。
『水疱瘡ワクチンと四種混合、MR、おたふく予防接種の同時接種』
水疱瘡ワクチンの予防効果が表れると、水疱瘡になる子供が減ると予想できます。
そうすると、免疫ブースター効果が減り、帯状疱疹になる大人が増える可能性があります。
実際、アメリカでは水疱瘡ワクチンが定期接種になってから、段階的に水疱瘡の子供は減り帯状疱疹になる方が増えています。
そのための打開策が帯状疱疹ワクチン（米）なのです。
このような背景もあり、帯状疱疹ワクチンの定期接種化の動きもあります。
帯状疱疹ワクチンの費用対効果が証明されれば、一気に定期接種に突き進むかもしれません。
＜定期接種化の動きの要点＞
- 80歳までに3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定
- 帯状疱疹後神経痛は生活の質に支障を及ぼす痛みが続く病気
- 帯状疱疹後神経痛は帯状疱疹を発症した方の10～50％に生じる可能性
- 米国、カナダ、オーストラリアでは費用補助も実施
- 帯状疱疹ワクチンは新しいワクチンなので、現時点で定期接種化に関しては非推奨
- しかし、老齢者人口を抱える国などプログラムが有効と考えるならば、帯状疱疹ワクチンの定期接種化の導入を決めてもよいだろう
『ヘルペス薬ファムビルは高い！でも帯状疱疹治療に特化 効果と副作用』
まとめ
- 帯状疱疹と水疱瘡の流行は正比例の関係にある
- 水疱瘡の患者に定期的に接触することは帯状疱疹の予防になる（免疫ブースター効果）
- 水疱瘡ワクチンの定期接種が開始されたため、帯状疱疹になる方は増加する可能性がある
- 帯状疱疹の予防法は、水疱瘡に定期的に接触できるように帯状疱疹ワクチンを接種するという方法
- 帯状疱疹ワクチンの予防接種対象者は50歳以上の大人
- 帯状疱疹ワクチンは保険適用外（全額自費）であるが、定期接種化の動きもある
- 帯状疱疹ワクチンの費用は6000円～8000円。ただし医療機関に要確認
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