2017年から地震保険料は3回に分けて、段階的に都道府県別で値上げされます。
(値下げの都道府県もあります)
3段階値上げ後の最終的な地震保険料の値上げ率の上限は50%です。
(最大で50%地震保険料が値上げされる都道府県もある)
そして、今年(1段階目)の値上げ率は最大で約15%です。
地震保険改定(地震保険料値上げ値下げ)の根拠
地震保険の保険料は、地震で被害を受ける予想金額に基づいて算出されます。
地震で被害を受ける予想金額をシミュレーションした結果、現在の地震保険料では地震のリスクに備えることできないことがわかりました。
地震保険料は、都道府県別平均で19%の値上げが必要です。
(ただし、3段階値上げの合計)
地震保険の都道府県別等地区分の変更
地震保険では、地震リスク(地震によって被害が出る危険度合い)に応じて、都道府県を1等地から3等地の3つの区分に分けています。
1等地がもっとも地震リスクが低く、3等地が地震リスクが高い都道府県です。
地震保険改定前の都道府県別等地区分
出典:損害保険料率算出機構ニュースリリース
地震保険改定後の都道府県別等地区分
出典:損害保険料率算出機構ニュースリリース
真っ赤のエリア(3等地)がかなり減り、全体的に等値区分が下がっているように見えます。
具体的に都道府県別では
-
等地区分3
茨城、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、徳島、高知が地震リスクが最も高い -
等地区分3→2へ変更
愛知、三重、大阪、和歌山、愛媛は地震リスクが見直される -
等地区分2→1へ変更
北海道、青森、新潟、岐阜、京都、兵庫、奈良も地震リスクが見直される
今後30年間で震度6弱以上の地震に遭遇する確率
出典:全国地震動予測地図2014年版
(地震調査研究推進本部地震調査委員会編)
地震リスクが小さく見直された都道府県は、今回の地震保険改定では地震保険料の値下げ、もしくは値上げ率は低く抑えられています(後述)。
地震保険の地震保険料は3段階で値上げ
2017年の地震保険改定による地震保険料の都道府県平均(全国平均)の値上げ率は、5.1%です。
後2回の地震保険改定で、地震保険料率は都道府県平均(全国平均)で19%まで値上げされますので、第1段階の値上げとしてはやや低くなりました。
おそらく、2014年7月にも都道府県平均(全国平均)で15.5%値上げが行われたばかりであるからだと思います。
15.5%値上げした上に、さらに19%値上げされたならば国民も黙っていないでしょう。
2017年地震保険改定後の都道府県別地震保険料
住宅の構造で、地震に対して強弱があります。
主にマンションは、鉄筋鉄骨、鉄筋コンクリート、鉄筋鉄骨コンクリートですので、地震に強く地震保険料は安いです。
一方、在来工法の木造戸建てはマンションと比べると地震に弱く、地震保険料も高いです。
2017年地震保険改定後の 都道府県別地震保険料の値上げ率・値下げ率
都道府県 | マンション | 戸建て |
---|---|---|
埼玉 | 14.7% | 14.3% |
茨城 | 14.4% | 14.3% |
徳島 | ||
高知 | ||
福島 | 13.8% | 14.6% |
宮城 | 13.1% | 11.5% |
山梨 | ||
香川 | ||
大分 | ||
宮崎 | ||
沖縄 | ||
千葉 | 11.4% | 11.3% |
東京 | ||
神奈川 | ||
静岡 | ||
岩手 | 4.6% | 7.5% |
秋田 | ||
山形 | ||
栃木 | ||
群馬 | ||
富山 | ||
石川 | ||
福井 | ||
長野 | ||
滋賀 | ||
鳥取 | ||
島根 | ||
岡山 | ||
広島 | ||
山口 | ||
福岡 | ||
佐賀 | ||
長崎 | ||
熊本 | ||
鹿児島 | ||
愛媛 | 1.7% | -2.5% |
大阪 | -2.9% | |
北海道 | -3.6% | -7.3% |
青森 | ||
新潟 | ||
岐阜 | ||
京都 | ||
兵庫 | ||
奈良 | ||
愛知 | -15.3% | -11.3% |
三重 | ||
和歌山 |
※準耐火建物に該当するツーバイフォー(2×4)木造戸建て、ツーバイシックス(2×6)木造戸建ては、地震保険料についてはマンションと同じ扱い
このとおり、ほとんどの都道府県の地震保険料は値上げです。
埼玉県が都道府県別地震保険値上げ率No.1
2017年の地震保険改定で、最も地震保険料が値上げされる都道府県は埼玉県です。
3段階値上げの上限50%まで突き進むのは埼玉県なのでしょうか?
マンション | 戸建て | |
---|---|---|
値上げ率 | 14.7% | 14.3% |
埼玉県の保険金額100万円あたりの地震保険改定前の地震保険料は
- マンション:1360円
- 戸建て:2400円
地震保険改定後の埼玉県の地震保険料は、次のように値上げされます。
- マンション:1560円
- 戸建て:2790円
地震保険の保険金額は火災保険の50%が限度ですので、だいたい500万円程度になると思います。
実質の年間あたりの地震保険料値上げは、1000円~1950円程度です。
地震保険料が値下げの都道府県は安全?
一方、次の12都道府県別の地震保険料は、2.5%~15.3%値下げされます。
愛媛 | 青森 | 京都 | 愛知 |
大阪 | 新潟 | 兵庫 | 三重 |
北海道 | 岐阜 | 奈良 | 和歌山 |
地震保険料が値下げされた都道府県は地震に安全という意味ではなく、地震リスクを高く見積もりすぎていたと考えるのが適当だと思います。
地震保険の損害区分の変更 (3段階→4段階)
地震保険の保険金支払い基準はかなりアバウトです。
地震保険の改定までは、
「全損」「半損」「一部損」の3段階の損害区分に対する支払い方式が採用されていました。
保険対象 | 損害程度 | 保険金支払額 |
---|---|---|
建物 家財 |
全損 | 保険金額の100%(時価まで) |
半損 | 保険金額の50%(時価の50%まで) | |
一部損 | 保険金額の5%(時価の5%まで) |
今回の地震保険改定で3段階から4段階の損害区分に変更になります。
保険対象 | 損害程度 | 保険金支払額 |
---|---|---|
建物 家財 |
全損 | 保険金額の100%(時価まで) |
大半損 | 保険金額の60%(時価の60%まで) | |
小半損 | 保険金額の30%(時価の30%まで) | |
一部損 | 保険金額の5%(時価の5%まで) |
地震保険改定後でも、地震保険の保険金支払い基準はかなりアバウトですね。
まとめ
- 2017年から地震保険料は3回に分けて段階的に値上げされる
- 地震で被害を受ける予想金額をシミュレーションした結果、地震保険料は都道府県平均(全国平均)で19%の値上げが必要
- 地震リスクを加味して、都道府県は3つの等地区分に分けられている
- 地震リスクが見直された都道府県は、地震保険料の値下げ、もしくは値上げ率は低く抑えられてる
- 2017年の地震保険改定で、都道府県の地震保険料値上げ率No.1は約15%(埼玉)。値下げ率No.1は約15%(愛知、三重、和歌山)。都道府県平均(全国平均)で5.1%の値上げ
- 2017年の地震保険改定で、地震保険の損害区分は、3段階から4段階に変更
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