住宅ローンを受けるためには、属性の評価をあげなくてはなりません。
(このページでの属性とは個人属性を指します)
属性とは、銀行がお金を貸すに値する信用できる人間か?返済してくれる人間か?をランク付けするための指標(目印)のことです。
不動産投資や住宅購入は、全額自己資金で行わず、銀行の住宅ローンやアパートローンを使うことがほとんどです。
属性によって、住宅ローンやアパートローンの借り入れできる上限額とローンの条件(金利、返済年数)が銀行の内規で決められています。
有利な住宅ローンやアパートローンを勝ち取るためには、いかに属性評価を上げるかが重要です。
住宅ローンの審査に落ちたときは、属性と住宅ローンの審査基準を確認することで落ちた理由が見えてくるはずです。
属性と審査のチェック項目
属性と審査にはいくつかのチェック項目があり、その項目ごとに優位順序が決まっています。
しかし、残念なことに、住宅ローンに落ちた理由が予測できたとしても、属性はすぐには改善できません。
有利な住宅ローンを引き出すためには、審査の何に注意すればよいのかを理解して、できるところから改善していきます。
ホームページなどで、住宅ローンの審査基準を公表している銀行は、銀行名を記載します。
ヒアリングなどでわかった審査の目安などは、伏せ字で銀行名を記載します。
住宅ローン審査1 雇用形態(職種)と資格
安定した職業にあればあるほど有利な属性です。公務員は抜群の評価で、かなり審査に有利です。
次の会社員グループも比較的評価が高いですが、上場企業と中小企業の間には大きな壁が存在するようです。
(OX銀行・SG銀行)
会社員属性
会社員が住宅ローンを借りる場合、3年以上同じ会社で勤務をしていること
(例:UFJ銀行・UFJ信託銀行)(1年以上:りそな銀行)という審査基準があります。
転職を繰り返す方は審査は厳しくなりますが、同業種間の転職は理由により柔軟に対応してくれる銀行もあります。
自営業属性
自営業は会社員と違い、収入に浮き沈みがあります。
自営業の方が住宅ローンを借りる場合、2.3期連続黒字であるという条件が付く場合があります。
自営業という理由だけで審査に落ちることはありませんが、金利は会社員と比べるとやや高いようです。
自営業属性の住宅ローン審査は、厳しい傾向にあります。
アルバイト属性
残念ながら、定職についていなかったことが、住宅ローンに落ちた理由の可能性が大です。
投資は収益が保障されているわけではありません。
厳しいことを言いますが、アルバイトの方は、投資を行う前に安定した収入源を確保してください。住宅ローンを使った不動産の購入も一種の不動産投資です。
「アルバイトもローン相談可」などの広告を不動産仲介業者によっては見かけますが、アルバイトに住宅ローンをすすめることは、社会悪だと私は思います。
たとえ、審査で落ちたとしても、その後の返済を考えれば落ちた方が幸せな人生を送れると思います。
資格と属性
医師、弁護士、司法書士、公認会計士、弁理士、税理士、薬剤師、看護師など、失業しても、すぐに次の仕事が見つかりそうな(あくまでイメージです)国家資格を持っている方は、住宅ローンの審査では有利な属性です。
ただ、資格者は住宅ローンの条件が比較的よいため、必要以上の住宅ローンを抱え込んでしまう可能性があります。ご注意を。
おだてに弱いのも、この属性の方の特徴かもしれません。
住宅ローン審査2 勤務先の業務内容と業績
不動産業者はローンに有利な属性か?
不動産に関係している業種は、その道のプロとして評価されそうです。
しかしながら、不動産関係の会社にお勤め方は慎重に審査される属性にあり、住宅ローンの審査で落ちる方もいます。
理由は、不動産業界は景気の浮き沈みをモロに受けるため、給与が安定していないと考えられているからのようです。
(OX銀行・SG銀行)
銀行が会社の業績と在籍を知る方法
ほとんどの会社の業績や情報は、帝国データバンクで調べられます。
銀行もこれを審査に利用していると思います。
さらにローン審査の前などに、電話での在籍確認があります。
勤務先を偽ってもウソはすぐにバレます。
ただ、収益不動産を購入するときは、勤め先にナイショで行っていることが多いです。別の方法(保険証、免許証、住民票など)で確認することが多いです。(OX銀行、SK銀行)
住宅ローン審査3 返済負担率、年収倍率、収入状況と頭金
住宅ローンでは、返済負担率、年収倍率、頭金額の審査は、かなり厳格なようです。
住宅ローンの頭金とは
購入諸費用は自己資金で払い、不動産価格に対して何割かを頭金として支払う慣習があります。
頭金は、一般的には2割以上(例:UFJ銀行・三井住友銀行などは最優遇金利を受ける条件のひとつ)と言われています。新築マンションの場合は、フルローン(全額借りる)可能なマンションもあります。
違法オーバーローンについて
住宅ローンの審査の話からそれますが、購入諸費用も一緒に借りてしまうことをオーバーローンと言います。
不動産仲介業者によっては、「ウチなら○○銀行さんだったらオーバーローンいけるんです」なんて言われる場合もあります。
本当にオーバーローンOKで審査に通るのであれば、法的に何の心配もありません。
契約書を2重に作成するなどして、銀行をだます方法が取られる場合があります。これは問題で違法行為です。銀行にバレれば、残債一括返済を求められます。
オーバーローンをしないと買えないような不動産は、残念ながら高望み物件です。
住宅ローンに落ちることはショックなことですが、落ちて他の住宅を再検討した方が、その後の人生は幸せに送れると思います。
住宅ローンは長年にかけて返済していきます。一時の感情や勢いに流されないで冷静な判断が必要です。
住宅ローンのテクニックも使い方次第です
住宅ローン審査4 家族構成
– | 審査に有利 | 審査に不利 |
---|---|---|
結婚の有無 | 既婚者 | 独身者 |
子供の数 | 少ない | 多い |
被扶養者の数 | 少ない | 多い |
配偶者は労働力とカウントできますが、子供や被扶養者は労働力とはカウントできないためです。(OX銀行)
子供は教育費などで、結構お金がかかりますからね。
住宅ローンの審査では、そういうところもキッチリみられています。
ただ、家族構成でローンに落ちることはありません。
住宅ローン審査5 健康状態
変な審査だと思うかもしれませんが、団信(団体信用保険)の加入が住宅ローンの条件となっている銀行がほとんどです。
団信に入れない場合は、住宅ローンに落ちます。
健康を損なわないように、日々の食事や運動にも気をつけなくてはなりません。
団体信用保険とは
ローンの返済中に死亡、高度障害になった場合に、本人に代わって保険会社がローン残債を支払ってくれる一種の生命保険です。多くの銀行では金利に保険料が組み込まれています。
フラット35では、団体信用保険への加入が任意です。
フラット35の団信に加入する場合は、年に一度、特約料(期間35年、元利均等返済:年間35,800円/ローン1,000万円)をローンの返済額とは別に支払います。
特約料率に変更がなければ、2年目以降は借入残高の減少に伴い、徐々に減っていきます。
住宅ローン審査6 年齢
年齢の審査では、成人していて勤続3年以上(例:UFJ銀行・UFJ信託銀行)であれば、若ければ若いほど有利です。
若者は労働者として活躍できる期間が長いです。若さは価値がです。
住宅ローンの完済年齢(借金をすべて返し終える予定年齢)も年齢で決まっています。
住宅ローンの完済年齢を80歳未満に設定している銀行で、35年お金を借りたいならば、44歳(79-35)までに借りに行かなくてはなりません。
年齢のみで住宅ローンで落ちることはありませんが、住宅ローンを組める期間に影響を与えます。
(例:UFJ銀行・UFJ信託銀行・三井住友銀行・りそな銀行)
住宅ローン審査7 他のローンの借り入れ状況
他からのローンの借り入れ状況は、重要な審査のひとつです。
銀行はお金を貸すことで利益を得ていますが、他からの借り入れを嫌います。
カードローン、オートローンなどが銀行が嫌がるローンの典型例です。
もし、完済できるお金があれば他のローンは完済してください。
他からの借り入れは、与信枠、返済倍率、借入条件に影響を与えるため、しっかり審査されます。
書かなきゃバレないと思っていもダメです。銀行は個人信用情報にアクセスして調べますので隠せません。
隠してばれたら、落ちるかもしれません。申込時はありのままを記入しましょう。
個人信用情報とは
全国銀行協会 | 主に銀行、信用金庫、信用組合が加盟する団体 |
CIC | 主にクレジットカード会社が加盟する個人情報管理団体 |
JICC | 主に貸金業、クレジット会社が加盟する個人情報管理団体 |
個人信用情報を扱う団体は3団体あり、氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先、ローン・クレジットカードなどの借入状況と借入金額、借入の返済状況などを記録しています。
これらの個人情報は手続き(開示請求)をとることで開示が可能です(有料)。
ただし、開示すると開示履歴が残ります。
頻繁に開示請求をすると、何か心配なことでもあるのか?と疑いをかけられる可能性もありますので、ほどほどにしておきましょう。
また、銀行が個人情報の開示を請求した時も履歴が残ります。
審査に落ちたなどの情報は記録されませんが、
銀行からの開示請求が多いと、いろいろな銀行で審査に落ちてるのは?と疑わる原因となります。
ある程度、銀行をしぼってから審査を受けるべきです。
キャッシングについて
クレジットカードのキャッシング枠も審査に影響を及ぼすようです。(O銀行)
キャッシング枠を削除するか、使っていないクレジットカードであれば解約をおすすめします。
逆に、クレジットカードで使ったショッピング枠分を、毎月しっかり決済を続ければ、信用を築くことができます。
住宅ローンの審査で評価を下げるのが、消費者金融系のキャッシングです。
一般的に年利や融資枠がクレジットカード系より高く設定されているため、消費者金融系のキャッシングを行った理由が、審査のひとつとしてあがります。
- 借金が常習化していないか?
- 金融リテラシー(お金を取り扱う能力)が欠けていないか?
住宅ローン審査8 金融資産
金融資産は、多ければ多いほど評価が高いです。
多くの金融資産は、お金をためるだけの金融リテラシーを持っていることを証明できます。
住宅ローンで落ちる方のパターンは、収入が多いのに金融資産が極端に少ないことです。
浪費の癖がないかを審査されます。
1000万円を超える高所得者でも、浪費の癖がある人は多く、金融資産のない方は落ちます。
まとめ
不正申込を排除するためだと思いますが、住宅ローンの審査の開示はほとんど行われていません。
この9つが大きな審査です。
- 雇用形態(職種)と資格
- 勤務先の業務内容と業績
- 返済負担率、年収倍率、頭金
- 収入状況
- 家族構成
- 健康状態
- 年齢
- 他のローンの借り入れ状況
- 金融資産
なかなか難しい審査ばかりで、属性をあげるのも時間がかかると思います。属性の高さは、信用の高さです。
仕事と同じで、信用はなかなか築くことができません。
信用は、ある日突然加速します。住宅ローン対策はコツコツが基本です。決して銀行をだましてお金を借りようと思わないでください。銀行はすべてお見通しです。
スマホ代、クレジットカードの引き落としも毎月確実に行わなくてはなりません。
数千円だから大丈夫だろう。とは思わないでください。引き落としができなかったという事実が、個人信用情報に記録されてしまいます。
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