ニキビ治療の中心は塗り薬です。
- ディフェリン、ベピオ、エピデュオ
- デュアック
- ダラシンT、アクアチム、ゼビアックス
しかし、皮膚科では次のような頑固なニキビには抗生物質の飲み薬も使います。
- アクネ菌が増殖して、赤ニキビになっている
- ニキビの周辺に膿がたまり、黄ニキビになっている
抗生物質の飲み薬は多くありますが、ニキビに使う抗生物質はたいてい決まっています。
- ミノマイシン(ミノサイクリン)
- ビブラマイシン(ドキシサイクリン)
- ルリッド(ロキシスロマイシン)
- ファロム(ファロペネム)
この中でも、ミノマイシンとビブラマイシンがニキビにはよく使われています。
ミノマイシンとビブラマイシン 皮膚科ニキビ薬No.1は?
ニキビ薬としての知名度ではミノマイシンですが、使いやすさと皮膚科学会ガイドライン(2016年版)の推奨度ではビブラマイシンです。
- ミノマイシン【A*:推奨する】
- ビブラマイシン【A:強く推奨する】
ニキビへの効果は「ミノマイシン100mgとビブラマイシン50mgが同等」です。
また、ミノマイシンとビブラマイシンでは効果の継続時間に少し違いがあり、ビブラマイシンはミノマイシンと比較すると効果が持続します。
抗生物質 | 消失半減期 |
---|---|
ミノマイシン | 9.5時間 |
ビブラマイシン | 11~13時間 |
消失半減期:薬の血中濃度が半分になるのにかかる時間
実際、皮膚科医のニキビ処方は、ミノマイシン派とビブラマイシン派に分かれることが多いです。
ミノマイシンとビブラマイシンはいつまで飲む?
ミノマイシンとビブラマイシンは抗生物質です。
抗生物質は耐性菌を増やさないため短期間の服用が原則ですので、耐性菌(特定の抗生物質に抵抗力を持った細菌)を考えると2~3カ月がひとつの目安になります。
そうとはいえ、皮膚科医はニキビの炎症と化膿の程度によって、抗生物質を使い分ける場合が多いです。
- ニキビの炎症化膿がひどいときのみ、高用量ミノマイシン(ビブラマイシン)を3~5日間服用
- 少用量のミノマイシン(ビブラマイシン)を長期間服用
皮膚科では色々なパターンの抗生物質の処方があるようです。
次は、ミノマイシンとビブラマイシンの特徴を確認していきましょう。
ニキビ飲み薬1:ミノマイシン
左:ミノマイシン錠50mg
右:ミノマイシンカプセル100mg
※ミノマイシン錠100mgは2017年7月に販売中止
ミノマイシンの成分
ミノマイシンの主成分はミノサイクリンで、ミノサイクリンはテトラサイクリン系抗生物質という種類の薬です。
ミノマイシンの効果
ミノマイシンはニキビに効果があり使用頻度も高いですが、ニキビへの直接的な保険適用はありません。
皮膚科医のニキビ治療に対する経験にもとづいて使われています。
ミノマイシンには、抗生物質本来の作用である抗菌作用にプラスして抗炎症作用があり、炎症を起こした赤ニキビや、化膿した黄色ニキビに効果があります。
皮膚科で小用量のミノマイシンが長期使用される場合は、抗炎症作用を期待しているのかもしれません。
ミノマイシンの副作用
知名度ではミノマイシン。使いやすさではビブラマイシンと解説しました。
というのも、ミノマイシンはめまいの副作用が起こりやすく、歯の副作用にも注意が必要だからです。
特に妊婦、授乳婦、子供はミノマイシンをニキビ治療に使うべきではありません。
『ミノマイシンはめまいと歯の副作用に注意 本当はニキビに使いにくい』
ミノマイシンの飲み合わせ
ミノマイシンは次の成分を含むミネラルウォーター、食品(牛乳・ヨーグルトなど)、サプリ、薬と一緒に飲むと、吸収力が下がって効きが悪くなります。
- カルシウム(Ca)
- マグネシウム(Mg)
- アルミニウム(Al)
- 鉄(Fe)
もし、上記の成分を含む薬を飲んだ場合は、2時間程度空けてからミノマイシンを飲む必要があります。
Ca、Mg、Al、Feを含む薬の例
(飲み合わせ×)
薬の名前 | 主な治療目的 | 含む |
---|---|---|
酸化マグネシウム | 便秘 | Mg |
マグミット | ||
SM配合酸 | 胃の不快感 | Ca Mg |
アスパラCA | 骨粗鬆症 | Ca |
フェロミア | 鉄欠乏性貧血 | Fe |
フェログラデュメット |
『フェログラデュメットとフェロミアの違い 鉄剤の使い分けはこれでOK!』
『マグミットは牛乳と飲み合わせNG?意外と多い併用注意薬はこれ!』
ニキビ飲み薬2:ビブラマイシン
左:ビブラマイシン錠50mg
右:ビブラマイシン錠100mg
ビブラマイシンの成分
ビブラマイシンの主成分はドキシサイクリンです。
ビブラマイシンはミノマイシンと同じテトラサイクリン系抗生物質のニキビ飲み薬です。
ビブラマイシンの効果
ビブラマイシンも、ミノマイシンと同様に「抗菌作用」「抗炎症作用」があり、炎症を起こした赤ニキビや、化膿した黄色ニキビに効果があります。
ビブラマイシンもニキビの保険適用がないため、皮膚科医が経験的に使っています。
ビブラマイシンの副作用
ビブラマイシンの気を付けなければならない副作用は歯への色素沈着ですが、ミノマイシンのようなめまいの副作用はほとんど起こりません。
また、ビブラマイシンも妊婦、授乳中、小児の場合は避けた方がいい薬です。
『妊婦必見!妊娠中の薬服用不安と心配を解くヒント その薬大丈夫?』
『授乳中に飲める薬(風邪薬、花粉症薬、インフルエンザ、喘息、うつ)』
ビブラマイシンの飲み合わせ
ビブラマイシンも、ミノマイシンと同様にカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)などを含むミネラルウォーター、食品(牛乳など)、サプリ、薬と一緒に飲むと、吸収が低下し効果が下がります。
『ファロムはニキビにも大活躍!効果は強いが下痢の副作用に注意』
まとめ
- ミノマイシンは知名度No1.のニキビ薬
- ビブラマイシンは皮膚科学会の推奨度No1.のニキビ薬
- ニキビへの効果は「ミノマイシン100mgとビブラマイシン50mgが同等」
- ミノマイシンとビブラマイシンは、抗生物質本来の作用である抗菌作用にプラスして抗炎症作用があり、炎症を起こした赤ニキビや、化膿した黄色ニキビに特に効果がある
- ミノマイシンとビブラマイシンは副作用(歯の色素沈着)に注意
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