通常、医療用成分が市販薬にシフトしていきますが(これを「スイッチOTC」と言います)、ディレグラの場合は反対です。
ディレグラ系市販の発売後に医療用にシフトして、ディレグラが発売されました。
市販は簡単に手に入るメリットがありますが、一般の方が服用の可否を判断するには難しい薬も中には含まれています。
そのひとつが、ディレグラの市販です。
ディレグラと全く同じ市販はない
ディレグラはアレグラ(フェキソフェナジン)とプソイドエフェドリンの配合剤です。
アレグラ+プソイドエフェドインと全く同じ成分を含む市販はありませんが、プソイドエフェドリンを含む市販(以下、ディレグラ市販)はたくさんあります。
これがディレグラ市販
記事作成にあたり、チェックしたディレグラ市販のリストがこれです。
強さ | 商品名 | PSE | CP | CX | BA | GA | CF | 年齢 | 服用 回数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
弱 | カイゲン鼻炎カプセル12 | 70 | 8 | – | 0.4 | – | 100 | 15歳~ | 2 |
標準 | アスゲン鼻炎カプセルS | 120 | 8 | – | 0.4 | 45 | 100 | 7歳~ | 2 |
エスタック鼻炎カプセル12 | 120 | 8 | – | 0.4 | – | 100 | 7歳~ | 2 | |
コルゲンコーワ鼻炎持続カプセル | 120 | 8 | – | 0.4 | 45 | 100 | 7歳~ | 2 | |
コンタック600プラス | 120 | 8 | – | 0.4 | – | 100 | 7歳~ | 2 | |
パブロン鼻炎カプセルSα | 120 | – | 12 | 0.4 | – | 100 | 15歳~ | 2 | |
パブロン鼻炎錠S | 120 | – | 12 | 0.4 | – | 100 | 7歳~ | 2 | |
プレコール持続性鼻炎カプセルL | 120 | 8 | – | 0.4 | 45 | 100 | 7歳~ | 2 | |
ベンザ鼻炎薬α※ | 120 | 4 | – | 0.4 | – | 100 | 15歳~ | 2 | |
強 | アネトン アルメディ鼻炎錠 | 180 | 12 | – | – | – | 90 | 11歳~ | 3 |
トピック鼻炎「カプセル」 | 180 | 12 | – | – | 45 | 50 | 7歳~ | 3 | |
トレーネ鼻炎薬 | 180 | 6 | – | 0.4 | 60 | 120 | 7歳~ | 3 | |
最強 | プレコール持続性鼻炎カプセルLx | 120 | 8 | – | 0.4 | 45 | 100 | 7歳~ | 2 |
- PSE:プソイドエフェドリン
- CP:クロルフェニラミン
- CX:カルビノキサミン
- BA:ベラドンナ総アルカロイド
- GA:グリチルリチン酸
- CF:カフェイン
- ※トラネキサム酸(抗炎症成分)含有
ディレグラ市販の成分
ディレグラ市販の処方は「プソイドエフェドリン + 抗ヒスタミン薬 + α」です。
ほとんどが同成分の用量違いであるため比較が簡単です。
<ディレグラ市販の主な成分>
- プソイドエフェドリン(鼻づまり)
- クロルフェニラミン(鼻水)
- カルビノキサミン(鼻水)
- ベラドンナ総アルカロイド(鼻水)
- グリチルリチン酸(鼻炎)
- カフェイン(眠気防止)
1.プソイドエフェドリン
プソイドエフェドリンはディレグラ市販の主成分で、1日量で70mg~180mg含まれています。
プソイドエフェドリンは、交感神経を刺激して血管を収縮します。(α-受容体刺激作用)
プソイドエフェドリンは、鼻血管を強く収縮して花粉症の鼻づまり(鼻閉)、充血、腫れに効果を発揮します。
『キプレス、シングレアは花粉症鼻づまりに効果良好!飲み合わせは?』
2.クロルフェニラミン
クロルフェニラミンはディレグラ市販の主成分のひとつで、1日量で4mg~8mg含まれています。
子供の鼻水・かゆみでも有名なポララミンシロップの成分です。
クロルフェニラミンは第1世代抗ヒスタミン薬です。
第1世代抗ヒスタミン薬は、花粉症の鼻水・くしゃみを抑える効果は強いですが、副作用(眠気、喉の渇き、残尿感)も強く出やすいです。
眠気のせいで、体のだるさの副作用に発展する場合もあります。
『花粉症薬で眠くなるのは嫌!眠くならない抗アレルギー薬はこれだ!』
3.カルビノキサミン
カルビノキサミンもディレグラ市販の主成分のひとつで、抗ヒスタミン作用があります。
(花粉症の鼻水・くしゃみに効果)
1日量で12mg含まれています。
ディレグラ市販では先に解説したクロルフェニラミンかカルビノキサミンのどちらの抗ヒスタミン薬が採用されています。
4.ベラドンナ総アルカロイド
ベラドンナ総アルカロイドはディレグラ市販の+α成分のひとつで、抗コリン作用(花粉症の鼻水やくしゃみに効果)があります。
そのため、ベラドンナ総アルカロイドは、市販の風邪薬や鼻炎薬を中心に採用されています。
ディレグラ市販も1日量で0.4mg配合されている場合が多いです。
5.グリチルリチン酸
グリチルリチン酸はディレグラ市販の+α成分のひとつで、抗炎症作用(鼻炎、喉の痛みに効果)があります。
甘草の根に含まれる成分でもあります。
1日量で45mg~60mg含まれています。
6.カフェイン
カフェインはディレグラ市販の+α成分のひとつで、覚醒作用(抗ヒスタミン薬の眠気の副作用を抑える)があります。
鼻炎による頭重感にも効果を発揮します。1日量で50mg~120mg含まれています。
ディレグラ市販1:強さ標準 コルゲンコーワ鼻炎持続カプセル
コルゲンコーワ 鼻炎持続カプセルは、ディレグラ市販の強さ標準タイプです。
処方
- プソイドエフェドリン:120mg
- クロルフェニラミン:8mg
- ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg
- グリチルリチン酸:45mg
- カフェイン:100mg
用法・用量・年齢
- 7歳以上:1回1カプセルを朝夕(食後)
- 15歳以上:1回2カプセルを朝夕(食後)
ディレグラ市販2:強さ強力 アネトン アルメディ鼻炎錠
アネトン アルメディ鼻炎錠 はディレグラ市販の強さ強力タイプです。
処方
- プソイドエフェドリン:180mg
- クロルフェニラミン:12mg
- カフェイン:90mg
ディレグラ市販は「プソイドエフェドリン:120mg/クロルフェニラミン:8mg」が標準ですが、アネトン アルメディ鼻炎錠(強さ強力タイプ)は、それぞれの成分が1.5倍配合されています。
用法・用量・年齢
- 11歳以上:1回3錠を1日3回(毎食後)
- 15歳以上:1回2錠を1日3回(毎食後)
ディレグラ市販3:強さ最強 プレコール持続性鼻炎カプセルLX
プレコール持続性鼻炎カプセルLXはディレグラ市販の強さ強力タイプです。
処方
- プソイドエフェドリン:120mg
- フェニレフリン:10mg
- クロルフェニラミン:8mg
- ベラドンナ総アルカロイド:0.4mg
- グリチルリチン酸:45mg
- カフェイン:100mg
ディレグラ市販は花粉症の鼻づまり特効成分は1種類ですが、プレコール持続性鼻炎カプセルLX(強さ最強タイプ)は、倍の2種類(プソイドエフェドリン+フェニレフリン)になっています。
ただ、こんなに強力に鼻づまりに効く市販薬を販売しても大丈夫かな?という疑問もあります。
その理由は記事の後半「ディレグラ市販の禁忌と副作用」で解説しています。
用法・用量・年齢
- 7歳以上:1回1カプセルを朝夕(食後)
- 15歳以上:1回2カプセルを朝夕(食後)
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ディレグラ市販の禁忌と副作用
ディレグラ市販は花粉症の鼻づまりに特に効果がありますが、一般の方が選ぶ市販薬というカテゴリーの中ではリスクの高い薬です。
なぜなら、ディレグラ市販は禁忌(飲んではいけない)に該当する方が多いからです。
本家ディレグラの禁忌
ディレグラ配合錠の添付文書の「禁忌」には次の記載があります。
- (中略)
- 重症の高血圧の患者
- 重症の冠動脈疾患の患者
- 狭隅角緑内障の患者
- 尿閉のある患者
- 交感神経刺激薬による不眠、めまい、脱力、振戦、不整脈等の既往歴のある患者
ディレグラ配合錠の禁忌より
プソイドエフェドリンは禁忌項目が非常に多く、一般の方が服用の可否を判断するには難しい成分です。
ディレグラ市販の副作用
ディレグラ市販を飲んで起こるであろう副作用は次の通りです。
- 眠気
- 喉の渇き
- だるさ
- 頭痛
- 不眠
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ディレグラ市販は長期服用ダメ
先に解説した通り、ディレグラ市販は花粉症の鼻づまりに強く効きます。
ですので、花粉シーズン中は飲み続けたいですが、ディレグラ市販は長期服用する花粉症薬ではありません。
花粉症の鼻づまりがよくなってきたら中止するべき花粉症薬です。
- 長期連用しないでください
- 5~6日服用してみても症状が良くならない場合は服用を中止し、この文書を持って、医師・薬剤師、または登録販売者に相談して下さい。
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ディレグラ市販の購入は薬剤師に相談
正しい使い方ができるならば、ディレグラ市販は花粉症の強い味方です。
しかし、ディレグラ市販は禁忌項目が非常に多く、リスクをともなうため自己判断での購入はおすすめできません。
また、正しい使い方ができない場合、ディレグラ市販に依存してしまう可能性すらあります。
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まとめ
- ディレグラと全く同じ成分を含む市販はないが、プソイドエフェドリンを含む市販はたくさんある
- ディレグラ市販の処方は「プソイドエフェドリン+抗ヒスタミン薬+α」
- ディレグラ市販は花粉症の鼻づまりに特に効果がある
- ディレグラ市販は禁忌が多いため、自己判断での購入はリスクが高い
- ディレグラ市販は長期服用する花粉症薬ではない
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