とびひを自分で何とかしたと思ったとき、ドラッグストアに行くでしょう。
そして、できればゲンタシンの市販を購入したいと思うはずです。
なぜなら、ゲンタシンは有名な抗生物質で、一度はとびひなどの細菌感染症に使った経験があるからです。
しかし、タイトルにあるとおり、ゲンタシンは市販されていません。
そこで、ゲンタシン代用薬としておすすめしたい市販がテラマイシンとドルマイシンです。
ドラッグストアで簡単に手に入りますし、ゲンタシンの代用薬として、きっと役に立つでしょう。
ゲンタシンに市販はない
ゲンタシンは、ゲンタマイシンを主成分とするアミノグリコシド系抗生物質で、細菌を殺菌する効果があります。
とびひの原因菌のほとんどはブドウ球菌です。
ゲンタシンはブドウ球菌はもちろん多くの細菌に効果があり、多くの皮膚感染症に使われています。
しかし、ゲンタシンは市販されていません。
(ゲンタシンにステロイドをプラスしたリンデロンVG軟膏も市販はありません)
ゲンタシン代用とびひ市販薬1 テラマイシン軟膏
テラマイシンは2種類(医療用と市販薬)あります。
医療用と市販用の違い
市販用テラマイシン(1本6g)
医療用テラマイシン(1本25g)
テラマイシンの市販薬は正式にはテラマイシンaといい、医療用のテラマイシンと区別されています。
しかし、どちらも同じモノですので、本記事ではテラマイシンで統一します。
テラマイシンは黄色く目立ちます。
出典:タケダHP
テラマイシンの成分
テラマイシンはテトラサイクリン系抗生物質で、オキシテトラサイクリンとポリミキシンBの配合剤です。
テラマイシンが効く細菌
オキシテトラサイクリン/ポリミキシンBの適応細菌は制限がありません。
案にオキシテトラサイクリン/ポリミキシンBが効く菌が適応細菌です。
オキシテトラサイクリンは、グラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広く抗菌効果があります。
ポリミキシンBは、グラム陰性菌(特に緑膿菌)に優れた抗菌効果があります。
ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌
緑膿菌、大腸菌、赤痢菌
テラマイシンの効能効果
- とびひ
- 毛のう炎などの化膿性皮膚疾患
- めんちょう
毛穴に細菌が入り込み、赤ニキビのように盛り上がり、中にうみがたまったような症状が出ます。
顔に出きた毛のう炎です。
テラマイシンの使い方
テラマイシンを1日2回~3回、とびひが出ているところに限定して塗ります。
とびひが広がってくるようであれば、テラマイシンは広く塗るという方もいますが、耐性菌の問題(後で解説「とびひ市販薬の使用上の注意」)からおすすめできません。
とびひが広がるということは、テラマイシンの効果が不十分であるため、ただちに市販薬を中止して病院へ直行すべきです。
ゲンタシン代用とびひ市販薬2 ドルマイシン軟膏
ドルマイシンの成分
ドルマイシンは、コリスチン(コリマイシン)とバシトラシンの配合剤の抗生物質市販薬です。
ドルマイシンが効く細菌
コリスチンはグラム陰性菌に抗菌効果があります。
バシトラシンはペニシリンと似た抗菌効果を示し、グラム陽性菌からグラム陰性菌まで幅広いです。
ドルマイシンの効能効果
ドルマイシンは、化膿性皮膚疾患の感染予防や治療に有効です。
- 外傷・火傷等の化膿予防及び治療
- 膿痂疹(とびひ)、せつ、癰(よう)
- 疔(ちょう)、毛嚢炎、湿疹
- グラム陽性・陰性菌の単独及び混合感染による皮ふ疾患
- 化膿症、伝染性皮ふ炎、皮ふ潰瘍
ドルマイシンの説明書より
ドルマイシンの使い方
ドルマイシンもテラマイシンと同じで1日2回~3回、とびひが出ているところに限定して塗ります。
とびひが広がってくるようであれば、ドルマイシンの効果が不十分であるため、ただちに中止して診察を受けてください。
ゲンタシン、テラマイシン、ドルマイシンの違い
テラマイシンに似た名前でテラコートリル軟膏がありますが、違うモノです。
テラコートリルは抗生物質にステロイドをプラスした塗り薬です。
また、ゲンタシンにリンデロンVをプラスした薬がリンデロンVGです。
抗生物質・ステロイド配合剤はこちらで解説中!
『とびひにステロイド軟膏はOK?リンデロンVG、テラコートリルの違い』
ゲンタシン、テラマイシン、ドルマイシンの違いをまとめるとこうなります。
ゲンタシン | テラマイシン | ドルマイシン | |
---|---|---|---|
市販 | × | ○ | ○ |
成分 | ゲンタマイシン | オキシテトラサイクリン ポリミキシンB |
コリスチン バシトラシン |
色 | 白(透明) | 黄色 | 白(透明) |
+ステロイド | リンデロンVG | テラコートリル | × |
テラコートリル(リンデロンVG)はテラマイシン(ゲンタシン)と同じような使い方をするととびひは悪化します。
ステロイドでとびひが悪化する理由はこちらで解説中!
『とびひがステロイドで悪化!こうすれば悪化せず済んだのに…』
とびひ市販薬の使用上の注意
とびひの市販薬には使用上の注意があります。
次のような場合は、市販薬をやめて病院に直行してください。
- 3日から5日間塗っても効かない
- 塗ると悪化する
皮膚科医ですら、見ただけでは判断がつかない皮膚病はたくさんあります。
私たち素人が独断で市販薬を使い続けることは、危険がいっぱいです。
(とびひを疑い抗生物質の市販薬を使用。本当にとびひなの?)
さらに、テラマイシンやドルマイシンなどの抗生物質の塗り薬には、耐性菌の問題もあります。
とびひに合っていない市販薬を使い続けると、耐性菌(特定の抗生物質が効かない細菌)が増えてますます薬が効かなくなるのです。
抗生物質と耐性菌問題はこちらをチェック!
『とびひを悪化させるな!ゲンタシン軟膏の効果的な使い方はこうだ!』
まとめ
- とびひ市販薬は使い方にコツがある
- とびひ市販薬は、1日2回~3回、とびひが出ているところに限定して塗る
- とびひ市販薬を3日から5日間塗っても、効かない・悪化するときは市販薬をやめて医師の診察を受ける
- その理由は
- その湿疹は、とびひでない可能性がある、
- とびひに合っていない抗生物質の塗り薬を使い続けると、耐性菌で痛い目をみる
- テラマイシンと似た名前の市販薬にテラコートリルがあるが、テラコートリルはステロイドを含む全く別の薬
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