とびひにステロイド軟膏はOK?リンデロンVG、テラコートリルの違い

とびひ薬
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リンデロンVGやテラコートリル(正式にはテラ・コートリル)はステロイドと抗生物質の配合剤(以下ステロイド配合剤)です。

とびひの初期治療に使われます。

なぜなら、かゆみを抑えながら細菌感染を抑えるのにちょうどいいからです。

しかしながら、とびひにステロイド配合剤(リンデロンVGやテラコートリルなど)を使う医師もいれば、絶対に使わない医師もいます。

リンデロンVGとテラコートリルは、医師によって意見が分かれる使い方の難しい薬でもあります。

とびひにステロイド使う理由

とびひにステロイドを使うとき、2つの作用を期待して使います。

  1. 抗アレルギー作用(かゆみをおさえる)
    アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、湿疹など
  2. 抗炎症作用(赤み、腫れをおさえる)
    虫刺され、日焼けなど

とびひはかゆみが強くでる皮膚病です。かきむしると悪化します。ステロイドはとびひのかゆみと炎症を速やかに抑えてくれます。

かゆみが特に強いときは、花粉症にもよく使われる抗ヒスタミン薬(アレロック、ザイザル、アレジオンなど)を使うケースもあります。

とびひにステロイドを使うと悪化する

ステロイドには、免疫抑制作用もあります。

免疫を抑制すると、細菌・ウイルス感染を広げやすくなります。
(免疫抑制作用は、使い方次第で主作用にも副作用にもなります)

そのため、とびひにステロイド単独の塗り薬を使うと、細菌が増殖してとびひは悪化します。

とびひの悪化を抑えるためには、ステロイド配合剤(リンデロンVGやテラコートリル)が最適なのです。

ステロイドでとびひが悪化する理由と対策はこちら!
とびひがステロイドで悪化!こうすれば悪化せず済んだのに…

とびひに抗生物質を使う理由

とびひになるきっかけは黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌の感染です。

感染したところは強いかゆみをともない、爪で掻(か)いて傷を増やしながら全身に飛び火していきます。

細菌感染には抗生物質が有効です。

リンデロンVG(ゲンタシン)の主成分であるゲンタマイシンは次の細菌に効果があります。

ゲンタマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、緑膿菌

ゲンタシン軟膏添付文書より

 

ゲンタシンの表在性皮膚感染症(とびひ、カミソリ負け、毛のう炎など)に対する効果(有効率)は82.8%というデータもあります。

ステロイド配合剤1 リンデロンVG

ステロイドの強さ

リンデロンVGは、リンデロンV(吉草酸ベタメタゾン:ステロイド)とゲンタシン(ゲンタマイシン:抗生物質)の配合剤です。

リンデロンVG軟膏=リンデロンV軟膏+ゲンタシン軟膏

 

ステロイドには5段階の強さがあります。

  1. ストロンゲスト(最強)
  2. ベリーストロング(とても強い)
  3. ストロング(強い)
  4. マイルド(普通)
  5. ウィーク(弱い)

 

リンデロンVGの強さはストロングです。

ストロングは日本語で「強い」ですが、皮膚科ではストロングは標準的な強さとして扱われています。

また、リンデロンVGは軟膏/クリーム/ローションの3種類がありますが、とびひに使われるのはリンデロンVG軟膏がほとんどです。

リンデロンVG軟膏/クリーム/ローション

 

リンデロンはVG以外にも「V」「A」「DP」など多くの塗り薬があります。
これらは全くのベツモノですので注意が必要です

リンデロンV/A/DP軟膏

効能効果

リンデロンVGはかゆみをともなう細菌性の湿疹(とびひなど)に特に効果がありますが、アトピーや虫刺されなどにもよく使われます。

また、二次感染(何かに感染してそれが治る前に、別の細菌の感染を受けること)の予防にも使われます。

アレルギー性の湿疹はステロイド単独のリンデロンVなどが適しています。

副作用

リンデロンVGは長期使用する塗り薬ではありません。
(理由は後で解説「リンデロンVGとテラコートリルは長期使用NG」)

短期間の使用で起こる副作用は、皮膚の赤み、かゆみ、刺激感くらいです。

使い方

リンデロンVGは、1日2回~3回、とびひが出ているところに限定して塗ります。

アトピーの湿疹がひどいようであれば、湿疹全体に塗る場合もあります。

湿疹が広がってくるようであれば、アトピーもしくはとびひへのリンデロンVGの効果が不十分です。

そのまま使い続けると効かないだけではなく、耐性菌を増やす原因になります。

ゲンタシンとアクアチムはとびひに効果あり!比較した意外な結果は?

リンデロンVGの問題点

リンデロンVGはステロイドと抗生物質のいいとこ取りができ、効果も良好で使い勝手が良いです。

リンデロンVGは、皮膚科、小児科、内科で一度は処方されたことがあるのではないでしょうか?

しかしながら、リンデロンV(ステロイド)もしくはゲンタシン(抗生物質)で十分な病気にも、リンデロンVGは使われている印象があります。

<医師の心の声>

ゲンタシン(抗生物質)で十分か?それともリンデロンV(ステロイド)を足しておくべきか?

迷うなぁ。とりあえずリンデロンVGを使って経過観察するか?

リンデロンVGとゲンタシンの使い分けはこちらをチェック!
ゲンタシンとリンデロンVGの違い とびひにはこう使いわけるのがパーフェクト

ステロイド配合剤2 テラコートリル

成分と強さ

テラコートリル軟膏

テラコートリルは、オキシテトラサイクリン塩酸塩(テトラサイクリン系抗生物質)とヒドロコルチゾン(ステロイド)の配合剤です。

ステロイドの強さはマイルド~ウィークです。

 

軟膏は真っ黄色でインパクトがあります。

黄色のテラコートリル軟膏

出典:タケダHP

副作用

テラコートリルも長期使用する塗り薬ではありません。
(理由は後で解説「リンデロンVGとテラコートリルは長期使用NG」)

短期的使用で起こる副作用は、皮膚の赤み、かゆみ、刺激感で、問題となる副作用はほとんどありません。

使い方

テラコートリルもリンデロンVGと同様に1日2回~3回、とびひが出ているところに限定して塗ります。

アクアチム軟膏/クリーム/ローション とびひに効果No.1はこれ!

リンデロンVGとテラコートリルは長期使用NG

リンデロンVGとテラコートリルの長期使用は好ましくありません。

なぜなら、先に解説した通り、リンデロンVGとテラコートリルのステロイドはとびひのかゆみを抑えるメリットがありますが、とびひを悪化させるというデメリットもあるからです。

かゆみがなくなり次第、ゲンタシン・フシジンレオ・テラマイシンなどの抗生物質単独の軟膏に変更するのが理想です。

とびひの塗り薬 抗生物質フシジンレオ軟膏 VS テラマイシン軟膏

 

また、ゲンタシンなどの抗生物質も長期使用する薬ではなく、必要がなくなれば中止する必要があります。

さもないと、耐性菌(特定の抗生物質に抵抗力を持つ細菌)が増え、いつかその抗生物質は効かなくなってしまいます。

とびひを悪化させるな!ゲンタシン軟膏の効果的な使い方はこうだ!

まとめ

  • 抗生物質とステロイドの配合剤(リンデロンVG/テラコートリル)はとびひの初期治療によく使われる。
  • ステロイドはとびひのかゆみを抑えるが、細菌増殖を起こして悪化するリスクもある。
  • リンデロンVGは、リンデロンV(ステロイドの強さは「ストロング」)とゲンタシンの配合剤。
  • リンデロンVGは使い勝手がよいため、迷ったら使われる印象がある。
  • テラコートリルはヒドロコルチゾン(ステロイドの強さは「マイルド~ウィーク」)とオキシテトラサイクリンの配合剤。
  • リンデロンVGとテラコートリルは、とびひに長期使用はNG。

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