とびひを悪化させるな!ゲンタシン軟膏の効果的な使い方はこうだ!

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とびひの治療では、次の2点に注意した抗生物質の使い方が大切です。

  1. とびひを悪化させない
  2. 耐性菌を増やさない

ゲンタシン軟膏は多くの皮膚病に使われる抗生物質です。

もちろん、とびひにも効果があります。

しかし、あまりにも多くの皮膚病に使われているせいか、耐性菌(特定の抗生物質に効かない細菌)が問題になりつつあります。

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ゲンタシン軟膏とは

ゲンタシンには軟膏クリームがありますが、とびひに使われるのは軟膏がほとんどです。

ゲンタシン軟膏

ゲンタシンは、ゲンタマイシンを有効成分とするアミノグリコシド系抗生物質で、細菌を殺菌する効果があります。

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ゲンタシン軟膏の適応細菌

とびひの正式な病名は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」です。

伝染性膿痂疹には、水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)と痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)の2種類があります。

子供に多いとびひは水疱性膿痂疹で、その原因は黄色ブドウ球菌の感染です。
(本記事のとびひは水疱性膿痂疹を指しています)

次に、ゲンタシンがどのような細菌に効果があるのかを見てみましょう。

ゲンタマイシンに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属(肺炎球菌を除く)、大腸菌、クレブシエラ属、エンテロバクター属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、緑膿菌

ゲンタシン軟膏添付文書より

このようにゲンタシン軟膏はブドウ球菌属はもちろん、多くの細菌に効果があります。

そして、多くの皮膚感染症に使われていますが、それがデメリットとなる場合もあります。
(後述「ゲンタシンを使うデメリット」)

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ゲンタシン軟膏の効果

ゲンタシン軟膏/クリームの表在性皮膚感染症に対する効果(有効率)=82.8%

(「とびひ」に限定した効果のデータはありません)

表在性皮膚感染症とは
黄色ブドウ球菌などの細菌が傷などに侵入して炎症を起こす感染症の総称です。

例えば、カミソリ負け(毛瘡:もうそう)、毛のう炎、毛包炎、とびひ(伝染性膿痂疹)があります。

ゲンタシン軟膏の使い方1
塗り方

ゲンタシン軟膏の添付文書には

1日1~数回患部に塗布するか、あるいはガーゼなどにのばしたものを患部に貼付する」
と記載されています。

添付文書の「1日1~数回」はあいまいな表現ですが、多くの塗り薬がこのような状況です。

実際の現場では、

ゲンタシン軟膏の使い方は、1日2回~3回、とびひが出ているところに限定して塗ります。

「とびひは悪化すると広がる病気なので最初から広く塗る」という方もいますが、耐性菌の問題(後述「ゲンタシンの使い方3」)からおすすめできません。

ガーゼを使った方がいいか?という質問もよく受けますが、医師の指示がない限りとびひにガーゼを使う必要はありません。

<ゲンタシン軟膏の塗り方>

  1. とびひ患部を清潔に保つため、入浴時は石鹸を十分に泡立てて洗う
    (入浴後のゲンタシン塗布は必須)
  2. 膿が多い場合は膿をタオルなどでぬぐう
    (水ぶくれをつぶさないように!)
  3. 手(指)を石鹸で洗う
  4. 水ぶくれをつぶさないように、必要部分に適量塗る
    (とびひに少しかぶせるだけで十分な効果を発揮するため、ベタベタするまで塗る必要はありません)

昔はイソジンなどで消毒していたそうですが、今は消毒はしないのが一般的です。

ゲンタシン軟膏の使い方2
とびひが悪化してきたら

とびひのかゆみが強い皮膚病です。掻いて悪化する場合も多々あります。
(爪で掻いてしまうと激しく悪化します。爪はしっかり切りましょう

そんなときは、かゆみ・花粉症に効果のある抗ヒスタミン薬が有効です。

抗ヒスタミン薬はこちらを参照しよう。
花粉症薬アレグラ、ザイザル、アレロック、アレジオンの強さ 眠くならない抗アレルギー薬は?

ゲンタシン軟膏をとびひに適切に使ったとしても、悪化して広がる場合もあります。

とびひが広がる原因のひとつは、ゲンタシン軟膏の効果が不十分だからです。
(ただしゲンタシン軟膏はすぐには効きません。塗り始めて3日程度の経過観察が必要です)

再診して抗生物質の飲み薬他の塗り薬に変更してもらいましょう。

抗生物質(飲み薬)
セフゾン、フロモックス、メイアクトなど
ステロイド・抗生物質配合剤(塗り薬)
リンデロンVG、テラコートリルなど
とびひにステロイドはOK? リンデロンVG軟膏VSテラコートリル軟膏

とびひが悪化するふたつ目の原因は、不適切なゲンタシンの乱用です。

次の「ゲンタシン軟膏の使い方3」で解説します。

ゲンタシン軟膏の使い方3
いつまで使い続けるのか

「いつまで使い続けるのか?」を知るためには、ゲンタシン軟膏と耐性菌の関係を知る必要があります。

耐性菌とは

耐性菌とは、特定の抗生物質に効かなくなった(抵抗力を持った)細菌のことです。

抗生物質は使っている間に一定の割合で耐性菌が増えます。

そして、あるときその抗生物質は効かなくなります

ゲンタシン軟膏の効果と耐性菌

「ゲンタマイシンに感性(効果がある)のブドウ球菌属、レンサ球菌属…」とあるとおり、ゲンタシン軟膏はゲンタマイシンに効果のない黄色ブドウ球菌には使用できません。

先述のとおり、ゲンタシン軟膏は中途半端に使用すると耐性菌を作る原因になります。

診察のときに「3日くらいしたら、もう一度診察に来てください」と言われたことはないでしょうか。

その理由は、ゲンタシン軟膏のとびひへの効果を確認するためです。

効果がないのに続けると耐性菌ができます。必ず受診してください。

本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。

ゲンタシン軟膏添付文書より

ゲンタシン軟膏はいつまで続ける?

とびひは、

  1. 小さな水ぶくれができ
  2. 次第に膿を持った大きくな水ぶくれになり
  3. 最終的にかさぶたになってはがれていきます。

とびひが膿を持っている状態や水ぶくれの状態の間は、他人や他の皮膚にうつります。

ゲンタシン軟膏はすべてのとびひがかさぶたになるまで続けます。

すべてのとびひがかさぶたになったとき、ゲンタシン軟膏は卒業です。

ゲンタシン軟膏を使うデメリット

黄色ブドウ球菌の中には、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と呼ばれる種類の耐性菌が、ある程度存在しています。

MRSAの厄介なところは、通常効果のあるはずの抗生物質(抗菌剤)が効きにくいことです。

特定の抗生物質を使い続けると、

通常の黄色ブドウ球菌は死滅しますが、MRSAが生き残り、特定の抗生物質に耐性をどんどん強化していきます。
(超MRSAのみが生き残る?)

ゲンタシン軟膏は使用頻度が高い抗生物質であるため、すでにMRSAがある程度増えている可能性があります。

そのため、とびひには最初からゲンタシン軟膏を使わないという医師もいるくらいです。

とびひへの使用頻度の低いアクアチム軟膏ゼビアックスローションであれば、そのようなMRSAに対しても、抗菌効果が期待できるかもしれません。

とびひ塗り薬 抗生物質ゲンタシンとアクアチムを比較した意外な結末

まとめ

  1. ゲンタシンには軟膏とクリームがあるが、とびひに使われるのは軟膏が多い
  2. 子供に多いとびひは水疱性膿痂疹で、その原因は黄色ブドウ球菌の感染
  3. 【とびひを悪化させないゲンタシン軟膏の使い方】
    1. 1日2回~3回、とびひが出ているところに限定して塗る
    2. 再診するように言われたら必ず再診する
    3. すべてのとびひがかさぶたになるまで続ける
  4. ゲンタシン軟膏は正しく使わないと、耐性菌が増えていつか効かなくなる
    (だからゲンタシン軟膏の使い方は重要!)
  5. しかしながら、ゲンタシン軟膏は多くの皮膚病に使われているため、
    (正しい使い方がされていない場合)すでに耐性菌ができている可能性がある