ナゾネックス点鼻薬は花粉症の鼻水・鼻づまりに効果がありますが、風邪の鼻水・鼻づまりには効きません。
なぜなら、花粉症と風邪が起こる原因が違うからです。
しかしながら、耳鼻科に行くと風邪にナゾネックス点鼻薬を処方されることはあります。
この矛盾を解説します。
※ナゾネックス点鼻薬の正式名称は、ナゾネックス点鼻液です。
花粉症が起こるメカニズム
- 花粉(アレルゲン)が鼻粘膜に侵入する
- 多量の花粉が鼻に入り込むと、花粉を排除する仕組みができる
(花粉に対する免疫機能の完成) - 次に花粉が鼻に入ってきたとき、免疫機能が働いてヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターを放出する
- 花粉症の発症
要約すると、花粉症は花粉にアレルギーを起こす病気で、ヒスタミンやロイコトリエンが体内に誤爆されると花粉症の症状が出ます。
風邪が起こるメカニズム
- 風邪ウイルスが鼻粘膜に侵入する
- ウイルスを外へ排除しようと鼻水の症状が出る
- 風邪の発症
風邪はウイルス感染が原因であることがほとんどで、風邪の症状である鼻水はウイルスを外へ排泄するための防御反応です。
風邪ウイルスの種類 | 主な症状 |
---|---|
ライノウイルス | 鼻水・鼻づまり |
コロナウイルス | 喉 |
RSウイルス | 咳・痰 |
ロタウイルス ノロウイルス |
下痢・嘔吐 |
『メジコンとムコダインは咳・痰・風邪のゴールデンコンビだ!』
ナゾネックス点鼻薬とは
ナゾネックス点鼻薬はモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を主成分とするステロイド点鼻薬です。
ナゾネックス点鼻薬は56噴霧用(14日分)と112噴霧用(28日分)の2種類があります。
左:ナゾネックス点鼻薬56噴霧用
右:ナゾネックス点鼻薬112噴霧用
ステロイド点鼻薬は4種類(ナゾネックス、アラミスト、エリザス、フルナーゼ)ありますが、花粉症でよく使われるのがナゾネックス点鼻薬とアラミスト点鼻薬です。
どちらも1日1回の点鼻で済むからです。
(エリザスも1日1回タイプですが、粉を点鼻するやや特殊な点鼻薬です)
『ステロイド点鼻薬の特徴(アラミスト、ナゾネックス、フルナーゼ、エリザス)』
ナゾネックス点鼻薬は風邪の鼻水・鼻づまりに効かない
先に解説した通り、花粉症の原因はアレルギー反応による誤爆で、風邪の原因はウイルス感染による防御反応です。
ナゾネックス点鼻薬はステロイド点鼻薬です。
ステロイドは炎症やアレルギーを抑える効果がありますが、ウイルス感染を抑える効果はありません。
むしろ、ステロイドは免疫機能を弱くするため、ウイルス感染を起こしやすくなるくらいです。
『ナゾネックス点鼻薬は花粉症にすぐに効かない!効いてくるのはX日後』
ナゾネックス点鼻薬を風邪に処方する理由1
ナゾネックス点鼻薬を風邪に処方する理由のひとつ目は、花粉症の時期は「その鼻水・鼻づまりの原因が花粉症か風邪か」を正確に判断することが難しいからです。
花粉症の時期は、痰がサラサラならば花粉症で、痰がドロドロもしくは黄色ならば風邪といわれる場合もありますが、必ずしもそうとは限りません。
鼻水、鼻づまり、痰、熱っぽい、だるい、喉の痛み…。
どれも花粉症や風邪で起こる症状で似ています。
そのようなときには、ナゾネックス点鼻薬が試験的に使われる場合があるのです。
『ナゾネックスの使い方 ステロイド点鼻薬は花粉症にこう使おう!』
ナゾネックス点鼻薬を風邪に処方する理由2
ナゾネックス点鼻薬を風邪に処方する理由のふたつ目は、患者さんが鼻水・鼻づまりにナゾネックス点鼻薬をリクエストするからです。
「ナゾネックス点鼻薬を風邪に処方する理由1」と重複しますが、「その鼻水・鼻づまりが風邪か花粉症かわからず、とりあえず使ってみたら(花粉症だったため)たまたま効いた」という体験談が原因です。
ナゾネックス点鼻薬は鼻水・鼻づまりに効くと勘違いしているのです。
また、クラリス(抗生物質)は風邪薬だと思っている方が多くいますが、クラリスはウイルスには効果がありません。
『クラリスロマイシン(クラリス/クラリシッド)は風邪には効かない!それでも使う理由は』
ナゾネックス点鼻薬を風邪に処方する理由3
ナゾネックス点鼻薬を風邪に処方する理由の三つ目は、風邪が長引いて副鼻腔炎(ふくびくうえん)を起こしている場合です。
鼻水、後鼻漏、鼻づまり、痰、頭痛…。
どれも風邪や副鼻腔炎で起こる症状で、症状が似ています。
医師は副鼻腔炎を起こしていると診断しているが、本人は風邪だと思いこんでいるのです。
『ナゾネックス点鼻薬は副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻茸に効く?効かない?』
まとめ
- 花粉症の原因はアレルギー反応による誤爆で、風邪の原因はウイルス感染による防御反応です。
- ナゾネックス点鼻薬はアレルギーや炎症を抑える効果があるが、ウイルスには効かない(むしろ悪化する)
- 花粉症の症状は風邪症状と似ているため、判断が付かないとときに試験的に使われることがある
- 風邪をこじらせると副鼻腔炎を起こすことがあり。ナゾネックス点鼻薬はその副鼻腔炎の治療に使われることがある
コメント