個人賠償責任保険は、子供が幼稚園(保育園)に入学したら、もしくは子供が生まれたら入るべきおすすめの保険です。
なぜなら、子供の行動は予測不能なことが多く、子供の自転車事故や子供のけんか、子供の不意の怪我は、親と子供の両方にとっても深刻な問題だからです。
さらに、個人賠償責任保険は世帯主が契約すれば家族も対象になり、保険料が安い割には頼りになる保険です。
子供の賠償責任は親の賠償責任
子供が幼稚園(保育園)に入学したてのころは、かわいくて仕方ありませね。
しかし、これくらいの年齢の子供たちは好奇心が旺盛で、何をするか予測できません。
幼稚園、保育園で色々と面倒な騒動を起こすこともあるでしょう。
- 子供が、友達を押して怪我をさせた
- 子供が、女の子の顔を引っかいて傷を負わせた
- 子供が、幼稚園でケンカをして怪我を負わせてしまった
- 子供が、他人の車に傷をつけてしまった
- 子供が、自転車で他人に追突して怪我をさせた
- 子供が、友達のおもちゃを壊してしまった
- 子供が、ボール遊びをしていて、他人の車を傷つけた。他人を傷つけた
考えたくありませんが、どれも子供が起こしそうな事故です。
子供には責任能力がないため、傷害や損害の責任は親が取らなければなりません。
個人賠償責任保険はそのための保険です。
子供の自転車事故に多額の賠償金
子供が自転車に乗るようになったら、気を付けなければなりません。
子供が車に突っ込まれる事故は深刻ですが、子供が自転車で高齢者、子供、赤ちゃんに突っ込む事故も深刻です。
万が一死亡させた場合、子供の事故とは言えただの自転車事故では済まされません。
何千万以上の傷害賠償責任を負う可能性があります。
子供の自転車事故の判例
当時高校生だった子供が自転車無灯火で携帯電話を操作しながら自転車を運転。
女性が追突され手足にしびれが残り歩行困難。職も失った。
加害者(判決時19歳)に約5000万円の賠償を命じた。
当時小学校5年生だった子供が乗った自転車と、歩行者との衝突。
子供の母親に約9500万円の賠償を命じた。
このような自転車事故が起こってはいけませんが、個人賠償責任保険に入っていれば親の責任は果たせます。
自転車保険義務化の流れ
前例のような高額な賠償責任を保証するため、自転車保険等の義務化エリアが拡大しています。
『自転車保険をおすすめしない3つの理由!代わりは個人賠償責任保険』
園児総合保険(子供保険)は人気 でも、おすすめしない
子供が幼稚園や保育園に入園したら、
幼稚園や保育園で子供向けの保険(園児総合保険、通称子供保険)のパンフレットをもらってきたり、幼稚園や保育園周辺で保険の勧誘にあったりすると思います。
園児総合保険(子供保険)は、個人賠償責任保険と比較すると補償が手厚く人気のようですが、私はおすすめしません。
園児総合保険(子供保険)の内容
園児総合保険(子供保険)は、主に3つの保険(賠償責任保険・生命保険・傷害保険)から成り立っています。
- 園児総合保険(子供保険)の賠償責任保険は、
幼稚園(保育園)生活で起こりそうな、他の子供(他人)に対しての賠償責任に備えるための賠償責任保険です。 - 園児総合保険(子供保険)の生命保険は、親に不幸があったときや重度後遺症を負った場合、育英費用や教育費用を補償する生命保険です。
- 園児総合保険(子供保険)の傷害保険は、
幼稚園(保育園)の内外の活動中に、怪我をしてしまっときの通院代、入院費用、手術費用などを補償する傷害保険です。
長期入院はこうしてそなえよう。
『医療保険のおすすめは長期入院保障型!違いは入院日数』
園児総合保険(子供保険)をおすすめしない理由
- 園児総合保険(子供保険)に入ると生命保険の二重加入になり、その部分が無駄になる。
(子供を持つ親は、万が一のことを考えて生命保険に加入しているはず) - 病院や薬局などで支払う幼稚園児(保育園児)の健康保険負担割合は原則2割です。
しかし、ほとんどの市町村には子供の医療費を助成する制度があるため、園児総合保険(子供保険)の傷害保険の必要性は低い - 園児総合保険(子供保険)には、不必要な生命保険と傷害保険の保険料も含まれるため、個人賠償責任保険と比較すると保険料が割高
園児総合保険をおすすめしない理由の詳細はこちらで解説しています。
『幼稚園保育園の園児総合保険(子供保険)をおすすめしない3つの理由』
日常生活でも個人賠償責任保険はおすすめ
日常生活では、次のような事故が考えられます
- 飼い犬が噛み付いて、怪我をさせた
- 洗濯機や風呂水などが原因で、下階へ水漏れさせた
個人賠償責任保険は、日常生活で起こりそうな、他人の生命や所有物に対する賠償責任に備えるための保険です。
自分の事故は自己責任ですが、他人への事故は賠償しなくはいけません。
民法 第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
法律上の損害賠償責任だけではなく、慰謝料まで請求されることもあります。
裁判になった場合、弁護士費用も発生します。
これらの費用が、個人賠償責任保険の支払い対象です。
個人賠償責任保険の保険料は格安
個人賠償責任保険の保険料は、支払い方法や保険会社によって多少違いますが、年間実質1000円~6000円で、賠償額は1億円~というのが多いです。
保険料の安さも、個人賠償責任保険をおすすめする理由のひとつです。
ただし、加入方法で保険料と補償内容が違います。
個人賠償責任保険の加入方法
個人賠償責任保険は原則単独では加入できません。何かの保険の特約などで加入します。
- 火災保険の個人賠償責任特約
- 自動車保険の特約
- クレジットカードの会員プランなど
家の購入と同時期に子供の出産や入学がある家庭には、火災保険の特約で個人賠償責任保険に入ることをおすすめします。
なぜなら、バランスのいい補償が安く手に入るからです。
くわしくはこちらで解説しています。
『個人賠償責任保険は火災保険の特約がおすすめ(自動車保険、クレジットカードと比較)』
個人賠償責任保険の対象者
- 契約者本人
- 配偶者(妻・夫)
- 同居の親族(子供・祖父母・義父母など)
- 生計を一にする別居の子供
(仕送り中の大学生など)
世帯主が個人賠償責任保険に加入すれば、子供を含めてほとんどの家族が個人賠償責任保険の対象です。
認知症列車事故訴訟(愛知県)の影響を受け、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社は、個人賠償責任保険の対象者を拡大しました。
新特約では、従来特約の補償内容に加えて、誤って線路に立ち入るなどして電車を止めてしまった場合に生じる賠償責任 (鉄道会社から請求される振替輸送費用など)を補償します。
【業界初】新型「個人賠償特約」の販売開始について 抜粋
認知症の方が線路内に入り列車にはねられ死亡するという事故が発生。
JR東海は運行遅延の損害賠償金約720万円を遺族に求める裁判を起こした。
2016年3月、最高裁はJR東海の請求を棄却した。
個人賠償責任保険の保険金が支払われない例
- 子供が親の車や所有物を傷つけた
被保険者と同居の親族に対する損害は、個人賠償責任保険は使えません。 - わざと事故(損害)を起こした・起こさせた
故意には個人賠償責任保険は使えません。 - 地震・津波が原因による被害
地震保険で対応します
『地震保険の必要性 自宅が全壊、全損時の補償額がいくらか計算』 - 仕事中に起こった事故など
仕事中や通勤中の事故は、個人賠償責任保険は使えません。
労災保険で対応します。
『労災保険の休業補償 怪我、病気、入院、治療でもらえる金額を計算』 - 車を運転中の事故・車の盗難など
自動車保険・車両保険で対応します。 - 他人からの借り物を壊した場合の賠償事故
あまり知られていませんが、受託物賠償責任保険で対応します。 - 他人への名誉毀損やプライバシー侵害に対する事故
個人賠償責任保険は、日常生活で起こる他人にケガを負わせたり、他人のものを壊してしまう事故に対してのみ補償されます。
まとめ
- 幼稚園児(保育園児)は、好奇心旺盛で何をするか予測できない
- 子供の自転車事故や子供同士のけんかは深刻な問題
- 子供には責任能力がないため、傷害と損害の責任は親が取る
- 個人賠償責任保険は、日常生活で起こりそうな他人の生命や所有物に対する賠償責任に備えるための保険(傷害保険+損害保険)
- 園児総合保険(子供保険)は、個人賠償責任保険と比較すると補償が手厚いがその分保険料が割高のためおすすめしない
- 世帯主が個人賠償責任保険に加入すれば、子供を含めてほとんどの家族が個人賠償責任保険の対象者になる
- 個人賠償責任保険は、仕事中の事故、借り物の破損、名誉、プライバシーなどの侵害などは対応していない
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