風邪の症状(発熱、咳、鼻水、喉の痛み、だるさ、頭痛など)が起こる直接的な原因はウイルス感染です。
クラリス・クラリシッドは細菌には効果がありますが、ウイルスには全く効きません。
なぜなら、風邪薬だと思っている方も多いクラリス・クラリシッドは抗生物質(抗生剤)だからです。
抗生物質は細菌には効果がありますが、ウイルスには全く効きません。
では、効かないはずのクラリス・クラリシッドは、なぜ風邪で処方されるのでしょうか?
風邪とは
風邪は通称名で、正しくは風邪症候群といいます。
風邪症候群とは「風邪という病気の周りに表れる、咳、鼻水、喉の痛みなどの症状一式」のことです。
風邪の症状
風邪は、鼻水・鼻づまり、喉の痛み・不快感、咳・痰など、上気道系症状から始まる場合が多いです。
症状が進行すると、発熱、頭痛、関節痛、だるさなどの全身症状が出ます。
人にはそれぞれウィークポイントがあり、風邪になると鼻症状が出やすい方もいれば、咳・喉症状が出やすい方もいます。
また、風邪をひいても全く風邪と気づかず、そういえばアレは風邪だったのかな?という方もいます。
風邪の定番薬
- 咳止め薬
『メジコン(咳止め)が効かない?止まらない咳の原因はコレかも』 - 去痰薬(きょたんやく)
『ムコダインは咳、鼻水、痰にすぐに効かない!ジワリと効くのを待とう』
風邪症状はウイルス感染が原因
風邪ウイルスは200種類程度発見されています。
そのため、特定の風邪ウイルスに免疫を得るのは難しく、免疫力が下がるたびに何度でも風邪をひいてしまうのです。
風邪ウイルスの種類 | 主な症状 |
---|---|
ライノウイルス | 鼻水・鼻づまり |
コロナウイルス | 喉 |
RSウイルス | 咳・痰 |
ロタウイルス ノロウイルス |
下痢・嘔吐 |
また、特定の風邪ウイルスに効く薬を作るのも難しいです。
クラリス・クラリシッドは風邪に効かない
クラリス・クラリシッドの主成分はクラリスロマイシンで、細菌を殺すための抗生物質です。
(以下、クラリス・クラリシッドをまとめてクラリスロマイシンと書きます)
風邪の症状がでる直接的原因のほとんどはウイルス感染です。風邪ウィルスにはクラリスロマイシンは全く効きません。
ですが、風邪でクラリスロマイシンが処方された経験はあるのではないでしょうか。
風邪にクラリスロマイシンを処方する理由は一体何なのでしょうか?
風邪に効かないクラリスロマイシンを使う理由1
クラリスロマイシンを使う理由のひとつめは、クラリスロマイシンは二次感染に効果があるからです。
二次感染とは、ウイルス感染や細菌感染を受けて、それが治る前に続けて別の感染も受けてしまうことをいいます。
風邪は鼻・咳・喉の症状から始まり、全身症状へ発展していく場合が多いですが、4.5日経っても風邪がよくならない場合は二次感染が疑われます。
<二次感染(細菌感染)の例>
- 溶連菌感染症
『溶連菌薬の種類 大人も子供も飲まないといけない理由』 - 肺炎(マイコプラズマ肺炎など)
『マイコプラズマ肺炎薬 抗生物質クラリス、ジスロマック、オゼックス』 - 中耳炎、副鼻腔炎
風邪に効かないクラリスロマイシンを使う理由2
クラリスロマイシンを使う理由のふたつめは、世間が風邪にクラリスロマイシンの処方を期待しているからです。
というのも、クラリスロマイシンを筆頭に、抗生物質は風邪のような症状(咳痰喉の痛み)に頻繁に使われているため、「抗生物質=風邪薬」と思っている方は多くいます。
『クラリスロマイシンは咳痰喉に効く!でも安易に飲むのはやめよう』
風邪に効かないクラリスロマイシンを使う理由3
クラリスロマイシンを使う理由の三つめは、現代のニーズに応えるべく、医師はクラリスロマイシンを処方せざるをえないからです。
クラリスロマイシンは風邪に効かないことは、当然医師は知っています。
しかし、少し診察しただけでは、それがウイルス感染か細菌感染なのかわかりません。
細菌?ウイルス?その確証が持てないのであれば、本来ならこうするべきです。
- クラリスロマイシンは使わず、風邪の症状を抑える薬のみを処方する
- よくならなかったら、また診察に来てもらう
『メジコンとムコダインは咳・痰・風邪のゴールデンコンビだ!』
しかしながら、現代の就業・子育て事情を考えると、次回の受診が難しいケースは多々あるのです。
風邪に効かないクラリスロマイシンを使う理由4
クラリスロマイシンを使う理由の四つめは、クラリスロマイシンの「副作用の少なさ」があげられます。
抗生物質は副作用が起こる頻度が高いですが、クラリスロマイシンの副作用頻度は3%程度(その副作用の多くは、腹痛・下痢などの胃腸系症状)です。
しかしながら、クラリスロマイシンは他の薬との飲み合わせに気をつけるべき、本当はもっと慎重に使われるべき薬です。くわしくはコチラの記事で解説しています。
『クラリスロマイシン(クラリス・クラリシッド)は飲み合わせに気を付けよう!』
まとめ
- 風邪の原因のほとんどはウイルス感染
- 抗生物質はウイルスには効かない。だから、クラリスロマイシン(クラリス・クラリシッド)は風邪には効かない
- クラリスロマイシン(クラリス・クラリシッド)は風邪に使われるケースがある。その理由は4つ。
- 二次感染の治療のため
- 風邪だっとしても、世間はクラリスロマイシン(クラリス・クラリシッド)の処方を期待しているから
- 初期症状を診ただけでは「その風邪が細菌感染でない」と確証が持てないから
- 他の抗生物質と比較すると、クラリスロマイシン(クラリス・クラリシッド)は副作用頻度が低いから
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