2015年11月24日に発売を予定していたザガーロは、同成分のアボルブ(デュタステリド)の生産中止の余波を受け、発売延期になっていました。
約半年後の2016年6月13日、期待のAGA新薬ザガーロは無事に発売されました。
ザガーロはプロペシアの1.5倍以上の価格が付くなどの噂がありましたが、それ以下の価格で推移しています。
- ザガーロ
- プロペシア
- フィナステリド
- (アボルブ)
4種類のAGA薬の価格と、ザガーロの費用対効果について解説します。
プロペシアとジェネリック「フィナステリド」の価格
2016年現在、プロペシアとプロペシアのジェネリックは合計4種類です。
- プロペシア
- フィナステリド「ファイザー」
- フィナステリド「サワイ」
- フィナステリド「クラシエ」
2005年発売のプロペシアはブランド品です。価格はジェネリックのフィナステリドと比較すると高いです。
2015年に発売されたフィナステリド「ファイザー」も、あのファイザーが製造しているジェネリックだけあって、それなりの価格を維持してきました。
2016年、ザガーロよりも一足先にフィナステリド「サワイ」とフィナステリド「クラシエ」が格安価格で発売され、フィナステリド「ファイザー」の価格が引きずられる形で徐々に下がってきています。
AGA薬 | 価格(1錠) | 価格(半年) |
---|---|---|
プロペシア | 250~300円 | 約5万円 |
フィナステリド 「ファイザー」 |
200~220円 | 約3.5万円 |
フィナステリド 「サワイ」 |
190~210円 | 約3.5万円 |
フィナステリド 「クラシエ」 |
180~210円 | 約3.5万円 |
※プロペシア、フィナステリド「サワイ」「クラシエ」「ファイザー」1mgの価格。薬価はありません。
プロペシアには先発ブランドの直接のライバルがありませんでしたが、ザガーロ発売後は、ザガーロがライバルになります。
価格の変動があるのではないでしょうか。
ザガーロは特殊な新薬
ザガーロは健康保険が使えない
AGAの診察代と薬代は、健康保険が使えません。
ザガーロは、プロペシア、フィナステリドと同様に健康保険が使えず全額自費です。さらに、AGA薬の価格は地域によって違います。
ザガーロは14日処方制限なしの新薬
通常の新薬は、薬価収載されてから1年間は14日を超える処方はできません。
しかし、ザガーロは自費の薬で薬価収載はされていません(自由価格)。
さらに、ザガーロは、同成分のアボルブ(後述)で実績があります。
ザガーロは14日処方制限がなく、発売初日から14日を超える処方ができる新薬です。
ザガーロは2種類
ザガーロは0.5mgが中心に販売
ザガーロは、0.1mgと0.5mgの2種類が発売されています。
プロペシアは、0.2mgと1mgに効果の差がほとんどありませんでした。
しかし、ザガーロは、0.1mgと0.5mgでは効果が全く違います。
ザガーロ0.5mgの方がAGAに対して効果があります。
ザガーロ0.5mgは、ザガーロ0.1mgの5倍の用量ですが、価格も5倍となるわけではありません。
そうであれば、AGAの治療でメインとなるザガーロは0.5mgです。
韓国版ザガーロはアボダートという名称で発売されています。
アボダートの製剤規格は0.5mgのみで、成人男性(満18~50歳)の男性型脱毛症(AGA)の治療に使われています
ザガーロ0.1mgの発売は建前
ザガーロの添付文書(医療者向けの薬の説明書)の用量用法の項目には、次のような一文があります。
男性成人には、通常、デュタステリドとして0.1mgを1日1回経口投与する。なお、必要に応じて0.5mgを1日1回経口投与する。
通常量のデュタステリドは0.1mgと記載されているため、ザガーロ0.1mgが建前上必要なのです。(ザガーロ0.1mgはメインの製剤ではないため、価格は不明です)
ザガーロ0.1mgのAGAに対する効果は、プロペシア1mgの効果に近いというデータがあります。
(後述の「ザガーロとプロペシアの効果差」参照)
ザガーロの納入価格のヒント
ザガーロの納入価格が分かりました。
詳しくは書けませんが、ザガーロの納入価格は、プロペシアの納入価格と効果を意識した納入価格だということのみお伝えします。
クリニックは、ザガーロの納入価格に利益を反映させて価格を決定します。
ザガーロの価格(東京、大阪、名古屋)
東京、大阪、名古屋のAGA専門クリニックのザガーロの価格(2016年6月)
エリア | 1錠のザガーロの価格 |
---|---|
東京 | 300円~340円 |
大阪 | 310円~350円 |
名古屋 | 300円~340円 |
ザガーロを発売している製薬会社のHP「発毛WEB」によると、
脱毛症男性の1日の受診者数がいちばん多いのは大阪です。
患者需要がある分、大阪のザガーロの価格はやや高いようです。
- 脱毛症男性の1日の受診者数がいちばん多いのは、大阪で約3,000人。
- 人口がいちばん多い首都東京では、約2,000人。
- 脱毛症男性の受診者数で見ると、日本の首都は大阪といってよいでしょう。
「発毛WEB」より
ザガーロの価格は350円程度を予測していましたが、頑張った価格を提示していると思います。
ザガーロの価格はプロペシア、フィナステリドの価格と比較して効果相応か?
ザガーロとプロペシアの効果の比較
第Ⅱ/Ⅲ相国際共同試験において、主要評価項目とした24週時の毛髪数のベースラインからの変化量(出典:グラクソ・スミスクラインHP)
ザガーロ0.5mgを服用していた治験者は、プロペシア1mgを服用した治験者より、増毛数が1.5倍以上です。
(効果は1.5倍以上)
ザガーロとプロペシアの価格差
AGA薬 | 価格 |
---|---|
プロペシア | 250円~300円 |
ザガーロ | 300円~350円 |
ザガーロ/プロペシア | 1倍~1.4倍 |
ザガーロの価格は、プロペシアの1倍~1.4倍です。
ザガーロの効果は、プロペシアの1.5倍ですので、価格以上の価値があると判断できます。
ただし、プロペシアだと月7,500円~9,000円の費用が、ザガーロに変更すると月9,000円~11,500円の費用になるため、痛い出費ではあります。
アボルブの価格
ザガーロとアボルブはデュタステリドを含む全く同じ薬
ザガーロの主成分のデュタステリドは、2009年からアボルブカプセル0.5mgという名前で前立腺肥大の治療薬として発売されています。
ザガーロカプセル0.5mgとアボルブカプセル0.5mgはデザインと名前が違うだけで、ディタステリドを主成分とする全く同じ薬です。
アボルブはザガーロより価格が安い
AGAを専門にしているクリニックの中には、ザガーロが発売される前からアボルブを使用しているクリニックもありました。
アボルブは前立腺肥大症の保険適応があるため、薬価があります。
アボルブの納入価格は、1錠当たり210.6円(薬価)以下です。
アボルブはザガーロの価格より10%~20%程度、安い価格を実現できます。
ザガーロが発売されてからも、アボルブを継続して使用するクリニックもあるそうです。
まとめ
- ザガーロ、プロペシア、フィナステリドは健康保険が使えない(自由価格、薬価なし)
- フィナステリド「サワイ」「クラシエ」発売後は、プロペシアのジェネリックの価格が下がってきている
- ザガーロの効果は、プロペシアの1.5倍以上。価格は1倍~1.4倍程度
- ザガーロの費用対効果は、プロペシアを上回る
- ザガーロよりアボルブの方が価格は安い
- ただし、アボルブを取り扱うクリニックは限定される
本記事で紹介した、AGA薬ザガーロ、プロペシア、フィナステリドの価格は参考価格です。
薬代の他に、診察代などが発生することがあります。
また、AGAの治療は自費のため、価格に地域差があります。
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