解熱剤といえばロキソニンが有名ですが、ロキソニンの代わりにカロナール(アセトアミノフェン)という選択もあります。
大人のインフルエンザの解熱剤はどちらでもOKですが、子供のインフルエンザの解熱剤は?と問われると、カロナール(アセトアミノフェン)1択になります。
インフルエンザにロキソニンは禁忌(ダメ)なのか?
大人の場合、ロキソニンとライ症候群やインフルエンザ脳症との関連性は、今のところ見つかっていません。
そのため、大人のインフルエンザには、解熱剤ロキソニンは普通に使われています。
(インフルエンザにロキソニンが禁忌ではない)
ただ、ロキソニンではなくカロナール(アセトアミノフェン)を選択する医師が多い印象はあります。
『インフルエンザにロキソニン、バファリン、ボルタレン、PL NGは?』
一方、ロキソニンは子供に対する安全性は確立されていません。
子供のインフルエンザには、解熱剤カロナール(アセトアミノフェン)1択です。
カロナールの用量緩和
カロナールは解熱剤としてだけではなく、頭痛、耳痛、腰痛症、筋肉痛、打撲痛、歯痛、変形性関節症など、あらゆる痛みに使えます。
しかしながら、少し前までは1日1500mgが限度だったため、「カロナールは痛みにはあまり効かない」というレッテルを貼られていました。
2011年になり、使用限度が1日最大4000mgまでに増量され、1回用量も500~1000mgが標準的になっています。
それからは、カロナールの痛みに対する効果は上々です。
カロナールはインフルエンザで起こる頭痛にも効果があります。
解熱剤カロナールの種類
解熱剤カロナールは、錠剤、細粒、座薬、シロップがありますので、赤ちゃんから大人まで幅広く使えます。
カロナール座薬は50mg、100mg、200mg、400mgの4種類あり、赤ちゃんや子供の発熱に頼りになります。
『タミフルドライシロップとイナビルは子供(幼児)に効かない?苦い味VS吸入』
カロナールの解熱効果と効果時間
カロナール錠剤の解熱効果と効果時間(成人)
カロナール錠200mg×2錠の解熱効果(有効以上)は66.7%です。
体温の推移は下記のとおりで、ジワーっと解熱効果が表れます。
カロナール錠インタビューフォームを参考に作成
大人の場合、カロナールの解熱効果時間は6時間程度と推測できます。
カロナール座薬の解熱効果と効果時間(小児)
38度以上発熱している子供に、カロナール座薬を使ったときの効果(有効以上)は90.9%です。
体温の推移は下記のとおりです。
カロナール坐剤インタビューフォームを参考に作成
子供の場合、カロナール座薬の解熱効果時間は3時間程度と推測できます。
『インフルエンザ薬 タミフルと吸入薬イナビルの効果と副作用』
カロナール座薬の子供量
子供の体重1kgに対してアセトアミノフェン10mg~15mgの座薬を使うのが標準です。
1回カロナール座薬を使ったら、4時間はあけて使う必要があります。
体重 | カロナール座薬の個数 | |||
---|---|---|---|---|
50mg | 100mg | 200mg | 400mg | |
5kg | 1~1.5 | 0.5 | – | |
10kg | – | 1~1.5 | 0.5 | – |
20kg | – | 1~1.5 | 0.5 | |
30kg | – | 1 |
インフルエンザと解熱剤の誤解
カロナール(アセトアミノフェン)は妊婦や子供にも頻用される安全性の高い解熱剤です。
『妊婦必見!妊娠中の薬服用不安と心配を解くヒント その薬大丈夫?』
しかし、インフルエンザにカロナールを使うと、発熱による殺ウイルス作用が弱くなるというデメリットもあります。
- インフルエンザの罹患期間(りかんきかん:症状が出ている期間)が長くなる
- インフルエンザの症状を悪化させる
解熱剤を飲んだら熱は下がるかもしれませんが、解熱剤はインフルエンザ自体を治しません。
インフルエンザに解熱剤を使う理由は、インフルエンザの発熱によるだるさ、つらさ、関節痛、頭痛などを軽減して、インフルエンザが治るまでの期間を楽に過ごすためです。
インフルエンザを治すのは、タミフル、リレンザ、イナビルなどの抗インフルエンザ薬です。
『インフルエンザ薬 タミフルと吸入薬イナビルの効果と副作用』
カロナール使用の体温の目安
カロナール(アセトアミノフェン)を使う体温の目安は38.5度です。
大人の感覚で考えると、体温38.5度=ぐったりですが、子供は大人と違い、体温38.5度の発熱時でも元気だったりします。
インフルエンザで発熱していても、元気があって食事、睡眠がとれているのであれば、カロナールは使う必要はありません。
体温38.5度以下でもぐったりしているようであれば、1回解熱剤を使ってみて様子をみた方がいいでしょう。
『タミフル、リレンザ、イナビルはインフルエンザ異常行動の原因?』
アセトアミノフェンを含むバファリン市販
インフルエンザでは、サリチル酸系の主成分を含む解熱剤(PL配合顆粒、ピーエイ配合錠、バファリン配合錠など)を使いません。
アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サザピリン、サリチルアミド、エテンザミドなど
解熱剤の市販にバファリンがありますが、医療用のバファリン配合錠とは成分が違います。
そのため、バファリンと名の付く全ての市販薬がインフルエンザの解熱剤に使えないわけではありません。
解熱剤市販 | 主成分 | インフルエンザ |
---|---|---|
バファリンルナJ | アセトアミノフェン | ○ |
小児用バファリン | ||
キッズバファリンシロップ | ||
バファリンEX | ロキソプロフェン (ロキソニンと同成分) |
△~○ |
バファリンプレミアム | イブプロフェン アセトアミノフェンなど |
|
バファリンルナi | ||
バファリンA | アスピリン | × |
まとめ
- ロキソニンとライ症候群やインフルエンザ脳症との関連性は見つかっていないが、ロキソニンを使わずカロナールを使う医師が多い
- 子供のインフルエンザの発熱にはカロナールの1択
- インフルエンザに解熱剤を使う理由は、インフルエンザによる発熱によるだるさ、つらさを軽減して、インフルエンザが治るまでの期間を楽に過ごすため
- 解熱剤を使えば、インフルエンザが早く治るわけではない
- インフルエンザに解熱剤を使うデメリットもある
- カロナール(アセトアミノフェン)を使う体温の目安は38.5度
- 子供の体重1kgに対してアセトアミノフェン10mg~15mgの座薬を使うのが標準
- 医療用バファリンと市販薬バファリンは成分が違う。
アセトアミノフェンを含むバファリン市販もある
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