解熱剤と言えば次の薬を想像するのではないでしょうか。
- ロキソニン
- カロナール
- バファリン
- ボルタレン
- PL
- ピーエイ
この中で、圧倒的に解熱剤として使われている薬がロキソニンとカロナールです。
インフルエンザに解熱剤ロキソニンを使う医師もいれば、使わない医師もいます。
他の薬はどうでしょうか?
インフルエンザに解熱剤を使う理由
- 解熱剤で熱を下げると、インフルエンザが早く治る
- 抗生物質はインフルエンザや風邪に効果がある
と思っている方が驚くほど多いですが、これらの考え方は間違いです。
『クラリスロマイシン(クラリス/クラリシッド)は風邪には効かない!』
インフルエンザに解熱剤を使う本当の理由はこうです。
インフルエンザの発熱によるだるさ、つらさ、関節痛、頭痛などを軽減して、インフルエンザが治るまでの期間を楽に過ごすため。
インフルエンザに解熱剤を使うと、発熱による殺ウイルス作用が弱くなります。このようなデメリットもあります。
- インフルエンザの罹患期間(りかんきかん:症状が出ている期間)が長くなる
- インフルエンザの症状を悪化させる
解熱剤のメリット・デメリットを知った上で、インフルエンザには賢く解熱剤を使うべきです。
インフルエンザに使えない解熱剤 (バファリン、ボルタレン、PL、ピーエイ)
インフルエンザに使えない解熱剤もあります。
インフルエンザに使えない医療用解熱剤
インフルエンザに使わない、使えない解熱剤もあります。
- サリチル酸系の主成分を含む解熱剤
PL配合顆粒、ピーエイ配合錠、バファリン配合錠など - ジクロフェナクを含む解熱剤
ボルタレン - メフェナム酸を含む解熱剤
ポンタール
アスピリン、サリチル酸ナトリウム、サザピリン、サリチルアミド、エテンザミドなど
- ジクロフェナクナトリウム製剤を投与後にライ症候群を発症したとの報告がある
- 同効類薬(サリチル酸系医薬品)とライ症候群との関連性を示す海外の疫学調査報告がある
- 本剤を小児のウイルス性疾患の患者に投与しないことを原則とするが、
投与する場合には慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察するボルタレン錠添付文書より
小児のインフルエンザに伴う発熱に対しては、原則として本剤を投与しない
ポンタールカプセル添付文書より
インフルエンザと市販解熱剤
「バファリン」という名の付く市販解熱剤がありますが、医療用のバファリン配合錠とは成分が違います。
そのため、バファリンと名の付く全ての市販薬がインフルエンザの解熱剤にNGではありません。
商品名 | 主成分 | インフルエンザ |
---|---|---|
バファリンルナJ | アセトアミノフェン | ○ |
小児用バファリン | ||
キッズバファリンシロップ | ||
バファリンEX | ロキソプロフェン (ロキソニンと同成分) |
△~○ |
バファリンプレミアム | イブプロフェン アセトアミノフェンなど |
|
バファリンルナi | ||
バファリンA | アスピリン | × |
『インフルエンザ薬 タミフルと吸入薬イナビルの効果と副作用』
PL配合顆粒の市販薬発売
PL配合顆粒の市販薬が2017年に発売になりましたが、風邪にPL配合顆粒やピーエイ配合錠を使う医師は減りつつあります。
※PL顆粒の市販は、PL配合顆粒4/5の成分量です。
おそらく、PL配合顆粒(ピーエイ配合錠)の風邪症状に対する効果がイマイチで、緑内障、一部の前立腺肥大症に使えないなど、意外と飲み合わせに気を使うからでしょう。
さらに、眠気の副作用もあります。
(それでも根強いPLファンはいます)
『インフルエンザ予防薬タミフルとイナビル 予防投与の効果、飲み方、使い方』
インフルエンザにロキソニンは禁忌ではない
- 頭が痛いからロキソニン
- 腰が痛いからロキソニン
- 膝が痛いからロキソニン
- 歯が痛いからロキソニン…
ロキソニンなしでは生きていけないくらい、ロキソニンは使われています。ロキソニンの湿布も市販薬になるくらいです。
『あのロキソニン湿布の市販 ロキソニンテープとパップはこう使い分ける』
大人の場合、ロキソニンとライ症候群やインフルエンザ脳症との関連性は、今のところ見つかっていません。
そのため、大人のインフルエンザには、解熱剤ロキソニンは普通に使われています。
(インフルエンザにロキソニンが禁忌ではない)
ただし、2016年3月22日にロキソニンの添付文書に「重大な副作用」の項目に「小腸・大腸の狭窄・閉塞」が追記されてからは、ロキソニンではなくカロナールを選択する医師も増えてきた気はします。
しかしながら、子供のインフルエンザにはロキソニンは使いません。ロキソニンは子供に対する安全性が確立されていないからです。
子供はロキソニンもダメ、ボルタレンもダメ、バファリンもダメであるならば、子供のインフルエンザの解熱剤にはカロナール(アセトアミノフェン)1択です。
『インフルエンザの解熱剤にはカロナール(アセトアミノフェン)がベター』
まとめ
- インフルエンザに解熱剤を使う理由は、インフルエンザによる発熱によるだるさ、つらさを軽減して、インフルエンザが治るまでの期間を楽に過ごすため
- 解熱剤を使えば、インフルエンザが早く治るわけではない
- インフルエンザにロキソニン服用が禁忌ではない
- ロキソニンとライ症候群やインフルエンザ脳症との関連性は見つかっていないが、ロキソニンを使わずカロナールを使う医師が多い
- 子供のインフルエンザの発熱にはカロナールの1択
(×ロキソニン、ボルタレン、ポンタール) - 医療用バファリンと市販薬バファリンは成分が違う
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