メジコンは昔からある咳止めです。
風邪で咳症状を訴えると、結構な確率で処方される咳止めがメジコンです。
メジコンはさまざまな咳に効果を発揮するはずですが、「メジコンは効かない」とも耳にします。
その理由を中心に解説します。
咳止めの種類
咳止めを大きく分けると2種類に分類できます。
- 中枢性鎮咳薬(ちゅうすうせいちんがいやく)
脳の咳中枢をブロックする咳止め - 末梢性鎮咳薬(ましょうせいちんがいやく)
気管(気管支)に作用する咳止め
さらに、中枢性咳止めは麻薬性と非麻薬性の2種類に分けられています。
効果の強い順番に並べると、この通りです。
- 中枢性麻薬性鎮咳薬
- 中枢性非麻薬性鎮咳薬
- 末梢性鎮咳薬
よく使われる咳止めは中枢性非麻薬性鎮咳薬で、メジコンもそのグループに属します。
メジコンの種類
メジコンは錠剤、粉薬の散剤、シロップ剤の3種類があります。
メジコン錠とメジコン散の主成分はデキストロメトルファンです。
一方、メジコン配合シロップは、デキストロメトルファンにクレゾールスルホン酸カリウムを加えた配合剤です。
メジコン | DM | CSK |
---|---|---|
錠(1錠中) | 15mg | – |
散(1g中) | 100mg | |
シロップ(1mL中) | 2.5mg | 15mg |
DM:デキストロメトルファン
CSK:クレゾールスルホン酸カリウム
デキストロメトルファン量で換算すると、このとおりです。
=メジコン配合シロップ6mL
メジコン錠が主に大人に使われ、メジコン散と配合シロップが主に子供に使われています。
『メジコン配合シロップ/散(子供咳止め)はムコダインとの飲み合わせは良好』
(本記事は大人用のメジコン錠を中心に解説します)
メジコンの作用機序
メジコンは咳中枢に直接作用し、咳反射を抑制して咳を抑えます(中枢性非麻薬性鎮咳薬)
咳が起こるメカニズムはこのとおりです。
- 喉・気管に異物(細菌・ウイルス)が侵入
- 咳中枢が刺激(異物を排除せよ!)
- 異物を外へ出すために咳が出る
「咳が起こるメカニズム」からわかるとおり、咳止めで強制的に咳を止めることは、必ずしもプラスになるわけではありません。
メジコンの効能効果
メジコンはさまざまな咳タイプに効果があります。
疾患名 | 効果(有効率%) |
---|---|
感冒(風邪) | 86.3 |
急性気管支炎 | 71.1 |
気管支炎 | 84.7 |
慢性気管支炎 | 69.8 |
気管支拡張症 | 64.0 |
肺炎 | 81.0 |
肺結核 | 79.3 |
急性上気道炎 | 97.3 |
痰の絡んだ咳には「去痰薬ムコダイン」との併用が多いです。
『メジコンとムコダインは咳・痰・風邪のゴールデンコンビだ!』
メジコンは効かない?
「メジコンは効かない」「飲んでも意味がない」と耳にすることもあります。
その理由は3つ考えられます。
メジコンが効かない理由1 用量不足
メジコンの用量用法は、1回1錠~2錠を1日1~4回です。
1回1錠を毎食後で処方された方が、効かないと感じている印象があります。
1回2錠に増量すれば、「効かない」も解決するかもしれません。医師とご相談ください。
メジコンが効かない理由2 相性がよくない
標準量を飲めば多く方は効くはずです。
しかし、特定の薬に限っては標準量では効果を表さないタイプの方もいます。ひょっとすると、あなたはメジコンとの相性がよくないのかもしれません。
リン酸コデイン(通称リンコデ)は、強力な咳止めとして知られる中枢性麻薬性鎮咳薬です。
リンコデ系咳止めに変更すれば、「メジコンは効かない」は解決するかもしれません。
(ただし、メジコンとリン酸コデインの比較試験では、「デキストロメトルファン10mg又は20mgとコデイン15mgとの鎮咳作用の強さの違いは認められなかった」という結果が出ています)
リンコデ系咳止めの解説はコチラ
『フスコデ配合錠/シロップは咳に効果抜群!でも副作用(眠気、便秘)に注意』
メジコンが効かない理由3 効かないタイプの咳
メジコンの量をいくら増やしても、効かないタイプの咳があります。
- 咳喘息
- 気管支喘息
- アトピー咳嗽(がいそう)
メジコンをいくら飲んでも効かない場合は、このタイプの咳かもしれません。これらの咳には次の薬を使います。
- 気管支拡張剤
(ホクナリンテープ) - 抗ロイコトリエン薬
(キプレス、シングレア) - 吸入ステロイド薬
(フルタイド、キュバール、パルミコート) - 抗ヒスタミン薬
(アレジオン、ニポラジン、ザジテン)
※リンクをクリックすると薬の解説記事にジャンプします。
また、「メジコンは眠い」という方がいますが、飲み合わせに問題がある場合がほとんどです。
最後にメジコン錠のジェネリックを確認しておきましょう。
メジコン錠のジェネリック
メジコン錠のジェネリックは、シーサール錠(※)、デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg「NP」がよく使われる印象があります。
デキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg「NP」
メジコンとジェネリックの薬価は同薬価5.6円/錠ですので、価格のメリットはありません。
しかし、メジコンが小さすぎてヒートから錠剤を出しにくい方(高齢者など)は、錠剤を取り出しやすいサイズのジェネリックがおすすめです。
※シーサール錠はデキストロメトルファン臭化水素酸塩錠15mg「トーワ」に名称変更されています(2018年10月)。
『カフコデN配合錠は喉の痛みをともなう鼻咳風邪薬?ロキソニンとの併用は?』
まとめ
- メジコンは使用頻度の高い中枢性非麻薬性鎮咳薬
- メジコンは咳中枢に直接作用し、咳反射を抑制して咳を抑える
- メジコンは錠剤、散剤、シロップ剤の3種類があるが、主成分に違いがある
- メジコン錠のジェネリックは錠剤を取り出しやすいサイズである
(メジコン錠は小さすぎる) - メジコン錠は1回1錠服用では効かないケースがある
- メジコンの量をいくら増やしても、効かない人や効かないタイプの咳もある
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