ナゾネックス点鼻薬は元々は大人専用の花粉症点鼻薬です。
しかし、子供にも十分な効果が得られることが証明されたため、2012年5月からは子供も使える花粉症点鼻薬となりました。
使い方は大人・子供問わず1日1回使うだけでOKですが、1回あたりの噴霧回数が違います。
また、3歳になったらナゾネックス点鼻薬は使えますが、ある理由から5歳以上の使用がおすすめです。
※ナゾネックス点鼻薬の正式名称は、ナゾネックス点鼻液です。
ナゾネックス点鼻薬とは
ナゾネックス点鼻薬はモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物を主成分とするステロイド点鼻薬です。
ナゾネックス点鼻薬は56噴霧用(14日分)と112噴霧用(28日分)の2種類があります。
左:ナゾネックス点鼻薬56噴霧用
右:ナゾネックス点鼻薬112噴霧用
ステロイド点鼻薬は4種類(ナゾネックス、アラミスト、エリザス、フルナーゼ)ありますが、花粉症でよく使われるステロイド点鼻薬はナゾネックスとアラミストです。
『ステロイド点鼻薬の特徴(アラミスト、ナゾネックス、フルナーゼ、エリザス)』
その理由は、どちらも1日1回の点鼻で済むため使い勝手がいいからです。
(エリザスも1日1回タイプですが、粉を点鼻するやや特殊な点鼻薬です)
ナゾネックス点鼻薬は小児用フルナーゼ点鼻液のように小児専用のデバイスはありませんが、噴霧量を調整して使えます。
くわしくは後半「子供はナゾネックス点鼻薬を1日何回使う?」で解説します。
ナゾネックス点鼻薬は何歳から使える?
添付文書によると、ナゾネックス点鼻薬は3歳以上の子供であれば安全に使えます。
3歳未満の幼児、乳児、新生児又は低出生体重児に対する安全性は確立していない
ナゾネックス点鼻薬添付文書より
しかしながら、「5歳未満の子供がナゾネックス点鼻薬を使ったとしても、ほとんど効かない」と私は感じています。
その理由は、5歳くらいにならないと鼻をかめないからです。
花粉症の鼻症状は鼻水や鼻づまりが問題です。
鼻内が鼻水でいっぱいのときにナゾネックス点鼻薬を使っても、鼻水に薬液が吸収されて効きません。
鼻水がひどいときは、ナゾネックス点鼻薬を使う前に鼻をかむ必要があるのです。
『ナゾネックス点鼻薬の使い方 ステロイド点鼻薬は花粉症にこう使おう!』
子供はナゾネックス点鼻薬を1日何回使う?
大人子供関係なく、ナゾネックス点鼻薬は1日1回の点鼻で効果を発揮します。
そして、1回あたりの噴霧回数は3歳以上12歳未満が1回1噴霧で、12歳以上は1回2噴霧です。
ナゾネックス点鼻薬が効かないとき、1日2回使ったり、決められた噴霧回数以上を使う方もいるようですが、たくさん使えば早く効くわけではありません。
ナゾネックス点鼻薬 2週間点鼻後の効果
国内臨床試験を参考に作成
(対象:通年性アレルギー性鼻炎患者(成人)
『ナゾネックス点鼻薬は花粉症にすぐに効かない!効いてくるのはX日後』
ナゾネックス点鼻薬とフルナーゼ点鼻薬の違い
ナゾネックス点鼻薬が発売されるまでは、子供にはもっぱら小児用フルナーゼ点鼻液が使われていました。
左:小児用フルナーゼ点鼻液
右:フルナーゼ点鼻液
フルナーゼ点鼻薬は1日2回点鼻するタイプのステロイド点鼻薬です。
ナゾネックス点鼻薬は1日1回点鼻するだけで、フルナーゼ点鼻薬(1日2回)と同等の効果があります。
点鼻2週間後の4鼻症状スコア
(鼻水・鼻づまり・鼻のかゆみ・くしゃみ)
第Ⅲ相試験を参考に作成
(対象:通年性アレルギー性鼻炎患者(成人))
ナゾネックス点鼻薬の副作用
ナゾネックス点鼻薬は正しく使えば抗アレルギー薬に匹敵する効果があります。
しかしながら、次の様な理由でナゾネックス点鼻薬は花粉症治療になかなか受け入れられていません。
- 効かない(効いた気がしない)
- 点鼻後の鼻の違和感が嫌
- 点鼻薬が喉に落ちてくるので気持ち悪い
ナゾネックス点鼻薬が嫌われる理由と副作用はちょうど一致します。
ナゾネックス点鼻薬の副作用
副作用 | 副作用頻度 | |
---|---|---|
大人 | 子供 | |
鼻の刺激感・痛みなど | 2.3% | 1.7% |
喉の刺激感・不快感など | 1.6% | – |
鼻出血(鼻血) | – | 1.0% |
副作用全体 | 7.2% | 2.7% |
鼻喉の刺激感の次に出やすい副作用は鼻血です。
花粉症を患っている子供の鼻粘膜は荒れているため、普通にしていても鼻血が出やすいです。
(花粉症シーズン中にちょっと鼻をかんだだけで、ティッシュに血がにじむ)
そこへ点鼻薬の刺激が加わり、鼻血が出てしまうというわけです。
『ナゾネックス点鼻薬は副鼻腔炎(蓄膿症)や鼻茸に効く?効かない?』
ナゾネックス点鼻薬と風邪
ナゾネックス点鼻薬を子供の風邪(鼻水・鼻づまり)に使っている方もいますが、ナゾネックス点鼻薬は風邪には効果がありません。
なぜなら、風邪の原因の多くはウイルス感染で、ステロイドは風邪ウイルスに効果がないからです。
そうとはいえ、花粉シーズン中に鼻水、鼻づまり、痰、熱っぽい、だるい、喉の痛み…。などの症状があれば、花粉症なのか風邪なのかすぐには判断が付きません。
そのようなときには、ナゾネックス点鼻薬が試験的に使われるケースがあるだけです。
『ナゾネックス点鼻薬を風邪の鼻水・鼻づまりに?その使い方は間違い』
また、クラリス(抗生物質)は風邪薬だと思っている方が多くいますが、クラリスはウイルスには効果がありません。クラリスのターゲットは細菌だからです。
『クラリスロマイシン(クラリス/クラリシッド)は風邪には効かない!それでも使う理由は』
まとめ
- ナゾネックス点鼻薬は大人・子供問わず1日1回使うだけでOK
- ナゾネックス点鼻薬は3歳になったら安全に使えるが、効果的に使える年齢は5歳以上
- 1回あたりの噴霧回数は、3歳以上12歳未満の子供が1回1噴霧。12歳以上は1回2噴霧
- 「ナゾネックス点鼻薬を1日1回使う」「フルナーゼ点鼻液を1日2回使う」この効果は同等
- 花粉症の子供は鼻血がでやすい。ナゾネックスを点鼻すると鼻血がひどくなることがある
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