花粉症は花粉が原因で起こるアレルギー反応のひとつですが、最近では防腐剤が原因で花粉症やドライアイを悪化させるケースが増えてきているとも聞きます。
そこで活躍するのが防腐剤フリー(防腐剤無添加)の花粉症目薬です。
しかしながら、目薬を防腐剤フリー化するには高い技術が必要であり、点眼コストも増大します。
防腐剤フリーの花粉症目薬のメリットとデメリット。どの花粉症目薬が防腐剤フリーなのかを解説します。
花粉症目薬に防腐剤を入れる理由
目に使う花粉症目薬は無菌状態であることが望ましいですが、目薬は一旦開封すると汚染が始まります。
汚染を最小限に食い止めるため、ほとんどの花粉症目薬には防腐剤が入っています。
<防腐剤の例>
- 塩化ベンザルコニウム
- ソルビン酸カリウム
- パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)
- クロロブタノール
花粉症目薬は防腐剤添加と防腐剤フリーの2種類
花粉症目薬は防腐剤添加&フリーの2種類に分けられますが、よく処方されるのは防腐剤添加タイプの目薬です。
なぜなら、防腐剤添加と防腐剤フリーでは薬価(薬の価格)がかなり違うからです。
花粉症目薬はもともと薬価が高いですが、防腐剤フリーにすることで防腐剤添加目薬の約2倍になります。
花粉症目薬 | 防腐剤 | 1本薬価(2018年) |
---|---|---|
アレジオン | フリー | 1820円 |
パタノール | 添加 | 925円 |
『パタノールとアレジオン あなたに合う花粉症目薬はどっち?』
しかしながら、花粉症を起こす方はさまざまな物質に過敏になっており、防腐剤そのものに反応を起こし、花粉症を悪化させる場合があります。
薬の価格の問題がクリアできるのであれば、花粉症には目にやさしい防腐剤フリーの目薬をおすすめします。
防腐剤フリーの花粉症目薬
防腐剤フリーの花粉症目薬は、大きく分けて「抗アレルギー点眼薬」と「抗菌点眼薬」の2種類があります。
アレジオン、インタールUDの特徴
防腐剤フリーにできた理由
防腐剤フリーの花粉症目薬は、防腐剤の代わりに緩衝剤(トロメタモール、ホウ酸)や安定化剤を加えて、薬液の汚染を防止しています。
薬価はやはり高価
「花粉症目薬は防腐剤添加と防腐剤フリーの2種類」で解説した通り、防腐剤フリーのアレジオンとインタールUDは薬価がかなり高いです。
花粉症目薬 (防腐剤フリー) |
主成分 | 抗H | CM抑 | 1本薬価 (2018年) |
---|---|---|---|---|
アレジオン | エピナスチン | ○ | ○ | 1820円 |
インタールUD | クロモグリク酸ナトリウム | × | ○ | 24.2円 |
抗H :抗ヒスタミン作用
CM抑:ケミカルメディエーター遊離抑制作用
「抗アレルギー点眼薬の作用の違い」はコチラの記事で解説しています。
『抗アレルギー点眼薬の違い 花粉症になる前に知るべき3つの知識』
インタールUDはアレジオンに比べてかなり安いですが、インタールUDは使い捨てタイプのため、この薬価が1回点眼するときの価格です。
同じように使い捨てタイプの目薬にムコスタ点眼液UD(ドライアイ治療薬)があります。
『ムコスタ点眼液は苦いがコンタクトOK!副作用を抑えた効果的な使い方は?』
使い方
アレジオンとインタールUDは、1回1滴・1日4回(朝・昼・夕・寝る前)点眼します。
- アレジオンは開封後約1カ月使えます
- インタールUDをは最初の1.2滴は捨て、両目に1滴ずつ使った後、残液は廃棄します
(使い捨てタイプのため)
『アレジオン点眼液はコンタクトしたままOK!花粉症にも大活躍』
クラビット・ガチフロ・ベガモックスの特徴
防腐剤フリーにできた理由
クラビット・ガチフロ・ベガモックスは抗菌点眼薬です。薬液そのものに抗菌作用があるため、防腐剤を入れる必要はありません。
使い方
クラビット・ガチフロ・ベガモックスの使い方は簡単。1回1滴、1日3回点眼するだけです。
ただし、抗菌点眼薬は花粉症そのものには効きません。
花粉症の目の症状が悪化すると、アレルギー性結膜炎(目の花粉症の正式名称)にプラスして細菌性結膜炎となり、目がベタベタしてきたり、ものもらいのように腫れたり、赤くなったりする場合があります。
そのような細菌感染を起こした花粉症に抗菌点眼薬が効くのです。
『クラビット・ガチフロ・ベガモックス点眼液は花粉症にこう使おう』
防腐剤添加の花粉症目薬
防腐剤が入った花粉症目薬は、大きく分けて「抗アレルギー点眼薬」と「ステロイド点眼薬」の2種類があります。
抗アレルギー点眼薬
パタノール、リボスチン、ザジテン、インタール、リザベン、ゼペリン
ステロイド点眼薬
フルメトロン
リンデロン
パタノール、リボスチン、ザジテン…の特徴
「抗ヒスタミン作用」と「ケミカルメディエーター遊離抑制作用」の両方の作用を持つパタノールとザジテンは花粉症目薬のスタンダードです。
ただし、ザシテンは点した後の刺激感が嫌われ、処方頻度ではパタノールが圧倒的です。
『パタノール点眼液は花粉症に効かない(目薬か)?子供、ものもらい、コンタクトは?』
フルメトロン、リンデロンの特徴
ステロイド点眼薬は抗アレルギー点眼薬で目の花粉症の症状がとれないときに検討される「第二の花粉症目薬」です。
花粉症には「弱ステロイドのフルメトロン」と「強ステロイドのリンデロン」を使い分けて使います。
『フルメトロンとリンデロン 花粉症に使うならどっちの目薬を選ぶ?』
まとめ
- 目薬の汚染を最小限に食い止めるため、ほとんどの花粉症目薬には防腐剤が入っている
- 花粉症を起こす方はさまざまな物質に過敏になっており、防腐剤そのものに反応を起こし、花粉症を悪化させる場合がある
- 防腐剤フリーの抗アレルギー点眼薬はアレジオンとインタールUD
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