便秘が解消しないときは、便秘薬を使うでしょう。
便秘薬は多くの種類がありますが、大腸にやさしく自然な排便をうながす薬がマグミットです。
マグミットは大腸を直接刺激するタイプの便秘薬ではないため、腹痛を起こす心配が少なく、クセになりにくいという長所があります。
しかし、今日飲んで明日に効くかといえば、多くの人は効きません。(効く人もいますが…)
なぜなら、マグミットは効く効かないの個人差が大きいという短所があるからです。
マグミットは便秘に効かない?
「マグミットは便秘に効かない」と、よく耳にします。
おそらく、センノシド、プルゼニド、アローゼンなどの純粋な便秘薬が即効性があるため「それらの便秘薬と比較して効かない」ということではないでしょうか?
『アローゼン顆粒の効果と副作用 センノシド(プルゼニド)との違いは?』
マグミットの主成分は酸化マグネシウムです。
『酸化マグネシウムで宿便を撃退!何錠までなら飲んでもOK?』
酸化マグネシウムは便をやわらかくして自然な形で排便するため、飲んでもすぐに効きません。飲んでから数時間から数日でジワーッと効果が表れます。
しかしながら、マグミットが全く効かないという人が一定割合でいるのも事実です。
マグミットの効果を解説する前に、便秘の原因から探っていきましょう。
便秘はなぜ起こる?3つの原因
1.便の水分の低下
便に水分量が足りないときは、うさぎのフンのようなコロコロ便になります。
小さなコロコロ便は少しずつ排便できますが、便が固まって大きなコロコロ便になると宿便(しゅくべん)となり、排便できず便秘になります。
宿便とは、便秘で長くとどまった便のことです。宿便は腹痛・残便感・吐き気などを起こします。
宿便をムリにがんばって出そうとすると、おしりから出血することもあります。そんなときに頼りになるのが痔の塗り薬です。
2.腸内環境の悪化
大腸内はビフィズス菌を代表とする腸内細菌が活躍する場所です。
腸内細菌はバランスを取っていて、下痢や便秘のない健康な腸内は善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7といわれています。
腸内細菌のバランスが乱れたとき、便秘や下痢などのさまざまな症状を引き起こします。
腸内細菌と整腸剤はコチラの記事でくわしく解説しています。
『ビオスリーは下痢便秘にジワーッと効く!すぐに効かないけど飲み続けよう』
3.大腸の運動機能低下 (宿便の増加)
胃に食物が入ってくると、胃腸の運動が活発化します。
便が肛門付近にたまってくると、神経を通して脳から大腸(肛門)に「排便せよ」という指令を出します。
しかし、神経伝達がストレスなどでうまく伝わらないと、便がたまっているにもかかわらず、便が外へ排泄されなくなり便秘が起こります。
ストレスと便秘の関連性が疑われる病気が便秘型過敏性腸症候群です。
『リンゼスとアミティーザ 5つの違い なるほど!新型便秘薬はこう違うのか』
マグミットの作用機序
マグミットは「便秘はなぜ起こる?3つの原因」の1番「便の水分の低下」を改善します。
マグミットは、腸内の水分を集めて便をやわらかくします。
水分の集まった便は適度にふくらみ、腸を刺激してスムーズな排便を促します。
マグミットは腸を直接刺激するのではなく、ふくらんだ便が腸を刺激するため自然な排便ができる便秘薬です。
マグミットの飲み方
マグミットは飲む量(用量)で効果が違います。
マグミット用量 | 効果 | |
---|---|---|
小用量 | 1日200~600mg | 結石予防 |
中用量 | 1日500mg~1000mg | 制酸剤 |
高用量 | 1日2000mg | 便秘 |
ただし、マグミットを1日2000mg使うのはまれで、750mg~1500mgが標準的です。
マグミットは、便をやわらかくして自然に排便したいときは1日2~3回に分けて飲み、ドバッとたまった宿便を排便したいときは1日分を寝る前にまとめて飲みます。
水分を与える作用を活発にするため、マグミットは多めの水で飲むのがおすすめです。
マグミットはいつ効くの?効果時間は?
便秘薬として有名なセンノシド、プルゼニド、アローゼンの効果時間は8時間~10時間後です。
『センノシド(プルゼニド)の作用・効果・時間と副作用 市販は?』
寝る前に飲んだら朝にスッキリ出るイメージです。
一方、マグミットはマウスを対象としたマグミットの効果時間は5~7時間ですが、人を対象にした効果時間のデータがありません。
残念ながら、飲んでみないことには、マグミットの効果と効果時間はわかりません。
1日1回まとめて1日分のマグミットを飲んだ場合、8時間~10時間後に効果が表れることが多いようですが、人によって効く効かないがあいまいです。
マグミットを1日3回に分けて飲んだ場合、1日目から3日目にかけて効いてくる人が多いようです。
ただ、こちらの飲み方は1週間経っても全く効かない人もいます。頑固な便秘にはアミティーザがおすすめです。
『アミティーザは便秘に速効!でも副作用(吐き気、下痢)と薬価が残念』
マグミットの副作用
マグミットは副作用発現頻度が明らかになる調査が行われていませんが、2種の副作用が知られています。
マグミットの副作用 下痢、腹痛、吐き気
先に解説したとおり、マグミットの便秘に使う処方量は750mg~1500mg/日が多いですが、便秘への効果は飲んでみないことにはわかりません。
マグミットが効きすぎたときは、快便を通り越して下痢になります。
もし、下痢したときは、マグミットを減量して下痢も便秘もしないちょうどいい量を探らなくてはなりません。
マグミットは自分で量の調整が必要な便秘薬です。
『マグミットの飲み方はこうしよう!これで下痢便秘とグッドバイ』
マグミットの重大な副作用 高マグネシウム血症
高齢者など腎臓の機能が弱っている方は、マグミットを長期大量服用を続けると高マグネシウム血症を起こす場合があります。(年に数名の死亡例あり)
高マグネシウム血症の初期の自覚症状は、悪心・嘔吐、起立性低血圧、徐脈、皮膚潮紅、筋力低下、傾眠、全身倦怠感などです。
マグミットを飲んでこのような症状が出たときは、中止して病院を受診しましょう。
『マグミットの副作用は下痢だけじゃない!高マグネシウム血症が恐ろしい!』
マグミットは種類が多い
繰り返しますが、マグミットは飲んでみなくては、効果も効果時間もわかりません。
飲んだ後も自分で量を調整する必要であるため、マグミットは多くの種類が発売されています。
マグミット錠は200mg~500mgまで4種類の錠剤があります。よく使われているのは250mgと330mgのマグミット錠です。
マグネシウムがザラッとして飲み心地がよくないため、あまり使われてはいませんが、マグミット細粒は0.4g~1.2gまで4種類あります。
ただし、マグミット細粒は83.3%濃度の製剤のため、酸化マグネシウム量は次の通りです。
- マグミット細粒0.4g→330mg
- マグミット細粒0.6g→500mg
- マグミット細粒0.8g→670mg
- マグミット細粒1.2g→1000mg
『マグミットの飲み方はこうしよう!これで下痢便秘とグッドバイ』
まとめ
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- 便秘の3大原因は、便の水分低下。腸内環境の悪化。大腸の運動機能低下。
- マグミットは大腸を直接刺激しないため、自然な排便ができる癖になりにくい便秘薬。
- マグミットを便秘に使う場合、750mg~1500mg/日が標準的。
- マグミットは便をやわらかくして自然に排便したいときは1日2~3回に分けて飲み、宿便を排便したいときは寝る前1回まとめて飲む。
- 1日1回まとめて1日分のマグミットを飲んだ場合、8時間~10時間後に効くようであるが、人によって効く効かない・効果時間があいまい。
- マグミットを飲んで下痢したときは減量する。
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