リンゼスの効果と副作用 アミティーザとの違いは?【便秘型IBS薬】

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腹痛で苦しむ女性

過敏性腸症候群(IBS)は、字のごとく腸が過敏に反応してさまざまな症状を引き起こす病気です。

過敏性腸症候群は主に3種類(+1)あり、症状にあった薬を使い分けます。

  1. 下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)
    主に下痢症状を起こす
    イリボー、セレキノン、整腸剤、ロペミン

  2. 便秘型過敏性腸症候群(IBS-C)
    主に便秘症状を起こす
    リンゼス、セレキノン、整腸剤、センノシド

  3. 混合型過敏性腸症候群(IBS-M)
    下痢や便秘の両方を起こす(繰り返す)

  4. (それ以外の過敏性腸症候群)

今回は便秘型過敏性腸症候群薬リンゼスを解説します。

よく比較される便秘薬アミティーザとの違いにも触れます。

※本文中は、過敏性腸症候群をIBSと略記します。

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便秘と便秘型IBSの違い

 一般的な便秘(慢性便秘)と便秘型IBSは、「排便回数が減る」「便が硬くなる」という共通の便秘症状があります。

線引きすることは難しいですが、便秘型IBSの便秘症状には次のような特徴があります。

  • 便秘以外に腹痛や腹部不快感を繰り返す
  • 腹痛や腹部不快感が排便で軽減する
  • 若者(30代以下の若年齢層)に多い

便秘型IBSの主原因はストレス

便秘は日常的に起こりますが、別の病気が隠れている場合もあります。

便秘型IBS以外の病気は問診、血液検査、大腸内視鏡検査、病理組織学的検査で何らかの異常が腸に見つかります。

しかし、便秘型IBSの主な原因はストレスであるため、腸の検査では異常らしき異常が見つかりません。

脳腸相関とストレス

腸と脳には密接な関係があり、脳腸相関と呼ばれています。

食べ物や消化物が胃腸に入ってきたとき、胃腸は刺激を受けます。

腸は受けた刺激を神経や免疫系を通じて脳に伝達します。

ストレスがあると刺激が脳に正確に伝わらなかったり、脳が受けた伝達を正確に腸に返さないという現象が起こり、腸の異常な運動(抑制)が発生します。

つまり、IBSは腸だけではなく脳にも問題があるということです。

脳腸相関

便秘型IBSが続くと、また便秘になるのではないかという不安が付きまといます。

不安はストレスです。

ストレスに不安というストレスが重なり、便秘型IBSの症状はますます悪化していきます。

セレキノンは、胃腸の運動が亢進しているときには抑制する方向へ、胃腸の運動が不十分なときには動かす方向へ作用する八方美人な胃腸薬です。

便秘型IBS薬リンゼス

リンゼスはリナクロチドを主成分とする便秘型IBS治療薬です。

リンゼス錠0.25mg

図では伝わらないのですが、リンゼスのシートと錠剤はかなり巨大です。
(錠剤の大きさ:直径9.6mm厚さ4.5mm)
(リンゼスの箱も大きすぎて普通の薬棚に入りません)

便秘型IBSの反対、下痢型IBS治療薬イリボー

下痢型過敏性腸症候群は腸と脳の連携異常で起こります。主な症状は下痢、腹痛です。イリボーはセロトニン受容体をブロックして腸と脳の連携異常を改善します。

リンゼスの作用機序

リンゼスは2つの作用で便秘型IBSを改善します。

  1. グアニル酸シクラーゼC受容体刺激作用
  2. 大腸痛覚過敏改善作用

グアニル酸シクラーゼC受容体刺激作用

リンゼスにはグアニル酸シクラーゼC受容体刺激作用があります。

グアニル酸シクラーゼC受容体が刺激されると2つの効果が期待できます。

  1. 腸から便に水分を与える効果
    (便が柔らかくなり便秘を改善)

  2. 便が降りてくるのを助ける効果
    (便が硬くなる前に排泄して便秘を改善)

大腸痛覚過敏改善作用

先述のとおり腸と脳は密接につながっていて、脳がストレスを感じると腸にも影響を与えます。(脳腸相関)

リンゼスはストレスなどで起こる大腸痛覚過敏(大腸が食物などの刺激を過敏に受けること)を抑制します。

酸化マグネシウムは大腸を刺激するタイプの便秘薬ではないため、お腹が痛くなりにくくクセになりにくい自然な排便を促す薬です。

リンゼスの飲み方(用法用量)

リンゼスは1回2錠1日1回朝食前に飲むのが標準的です。

食後ではなく食前に飲む理由は、食後服用では効果が不安定であり、下痢の副作用の頻度が高かったからです。
(第一相反復投与試験探索試験より)

昼や夕食前ではなく朝食前に飲む理由は、日中の便秘型IBS症状を抑えるためです。

センナは下剤作用のある生薬です。センナの葉と実を粉末にしたセンナ末から樹脂成分を除いたセンナエキス製剤がヨーデルS糖衣錠です。

リンゼスの効果

便秘型IBSの治療では、便秘改善以外にも本人が効いたと感じる主観的な効果が重要です。

リンゼスの主観的効果の定義

自己申告による週ごとの7段階評価で、12週のうち6週以上スコアが1もしくは2であった方の割合

  1. 非常に良くなった
  2. 良くなった
  3. 少し良くなった
  4. 変わらない
  5. 少し悪くなった
  6. 悪くなった
  7. 非常に悪くなった

リンゼスの全般改善効果(主観的効果)

リンゼスの全般改善効果(自覚症状の改善効果)
(プラセボ:偽薬)

リンゼスの残便感のない完全な自然排便効果(主観的効果)

リンゼスの残便感のない完全な自然排便効果

リンゼスの腹部、腹部不快感改善効果(主観的効果)

リンゼスの腹部、腹部不快感改善効果

便秘型IBSの治療には整腸剤も有効

ビオフェルミンやラックビーは抗生物質と一緒に飲むと、抗生物質に負けて効果がなくなりますが、ミヤBMは抗生物質に耐久性があるため、併用も可能です。

リンゼスの副作用

リンゼスの副作用頻度は比較的低いですが、効きすぎると下痢する場合があります。

下痢の副作用頻度:13.0%

リンゼスを飲んで下痢してしまった場合は医師に連絡を取ります。

1回2錠から1錠に減量になることが多いです。

 副作用 副作用頻度(%)
プラセボ リンゼス
副作用全体 5.2 14.1
下痢 0.4 9.2
悪心(吐き気) 0.4 1.2
嘔吐 0.4 0.4
ラキソベロン内用液は同じ大腸刺激タイプのセンノシド(プルゼニド)と比べると副作用がマイルドです。そのため、妊婦の便秘にはよく使用されます。

リンゼスの長期処方解禁(処方制限なし)

リンゼスは2017年3月に発売された新薬です。

そのため、新薬の処方日数制限を受けます。

新薬・麻薬・向精神薬は体調の変化に気付かず飲み続けると、病状が悪化することが多いです。14日/30日/90日の処方日数制限(投与制限)があります。記事内に規制を受ける薬のリストもあり!

2018年2月末日までは、1回14日分を超える長期処方はできません。
→長期処方は解禁されました。

便秘薬は多くの種類がありますが、よく使われる薬を分類していくと7種類にわけられます。

リンゼスと慢性便秘

2017年12月の時点では

(保険では)リンゼスは便秘型IBSのみの使用で、慢性便秘(通常の便秘)には使えません

しかし、リンゼスは海外では慢性便秘でも使用されており、効果が得られています。

それをふまえて、リンゼスのメーカーは効能・効果に「慢性便秘症」を追加する承認申請を行いました。(2017年9月)

申請が通れば、2018年中には慢性便秘にも使える日が来るでしょう。

アローゼン顆粒は大腸への刺激性が強く即効性があります。そのため、1回量が多いと大腸を刺激しすぎて腹痛・下痢などの副作用を起こすときがあり、自己調整が必要です。

リンゼスとアミティーザの違い

よく比較されるアミティーザとリンゼスの違いを解説します。

アミティーザカプセル24μg

保険適応の違い

一般的な便秘(慢性便秘)と便秘型IBSは共通の便秘症状があり、完全に線引きが難しいですが、

リンゼスとアミティーザには保険適応上の違いがあります。

リンゼスは便秘型IBS薬であり、アミティーザは便秘薬であることです。

作用機序の違い

リンゼスとアミティーザは、便に水分を与えて便を軟らかくして排泄を促す作用があります。
(リンゼスは痛覚過敏改善作用もあり)

しかし、作用機序は全く違います。

  • リンゼス
    グアニル酸シクラーゼC受容体刺激作用

  • アミティーザ
    クロライドチャネルアクチベーター
    (小腸にあるクロライドイオンチャネルに働きかけて腸内への水分分泌を増加させ、便が降りてくるのを助ける作用)

飲み方(用法用量)の違い

リンゼスは1回2錠を1日1回朝食前に飲むのが標準的ですが、

アミティーザは1回1カプセルを1日2回(朝夕食後)飲むのが標準です。

副作用の違い

リンゼスとアミティーザは、効きすぎると下痢の副作用が起こります。

しかし、副作用頻度にかなりの違いがあり、アミティーザは服用初期に起こる吐き気が原因で続けられなくなる方が多いです。

副作用 副作用頻度
(リンゼス)
副作用頻度
(アミティーザ)
下痢 9.2% 30%
悪心
(吐き気)
1.2% 23%
嘔吐 0.4%

(臨床試験より)

薬価の違い

アミティーザは、従来の便秘薬(ラキソベロン、センノシド、アローゼンなど)と比較すると薬価(薬の値段)がかなり高いです。

リンゼスもアミティーザほどではありませんが、便秘を改善する薬しては高額です。

便秘薬 薬価(円)
リンゼス 92.4
アミティーザ 161.1
プルゼニド 5.6
ラキソベロン内用液 24.2
アローゼン 7.2
酸化マグネシウム330mg
「ヨシダ」
5.6
アミティーザは便の水分量を増やして便を軟らかくする便秘薬です。似た便秘薬に酸化マグネシウムがありますが作用点が違います。酸化マグネシウムは大腸で作用し、アミティーザは小腸で作用する点です。

まとめ

  1. 便秘型IBSの主な原因はストレスであるため、腸の検査では異常らしき異常が見つからない
  2. ストレスがあると刺激が脳に正確に伝わらなかったり、脳が受けた伝達を正確に腸に返さないという現象が起こり、腸の異常な運動(抑制)が発生する
  3. リンゼスには2つの作用がある
    1. 便に水分を与えて便を軟らかくして排泄を促す作用
    2. 大腸痛覚過敏抑制作用
  4. リンゼスは1回2錠を1日1回朝食前に飲むのが標準的
  5. リンゼスの副作用頻度は比較的低いが、効きすぎると下痢する可能性がある
  6. リンゼスは2018年2月末日までは新薬扱いのため、1回14日分を超える処方はできない
  7. 2018年中には慢性便秘にも使える日が来るだろう