口唇ヘルペス(通称:熱のはな)は、再発する可能性が高い病気です。
再発を繰り返せば、だんだんと口唇ヘルペスが出てきそうな感覚が分かるようになります。
口唇ヘルペスが出てきそうな感覚を感じたならば、ヘルペスの塗り薬の早期使用が「ピリピリ感」「水ぶくれ」を和らげます。
抗ヘルペスウイルス薬の塗り薬を1本常備しておくことをおすすめします。
- 口唇ヘルペスの塗り薬として知られるアラセナA軟膏(ビダラビン)とゾビラックス軟膏(アシクロビル)の違い
- テラコートリル、テラマイシン、フシジンレオなどの抗生物質を口唇ヘルペスに使う理由
この2点をメインに解説します。
※抗ヘルペスウイルス薬の塗り薬をヘルペス塗り薬と略記します。
再発する口唇ヘルペス
口唇ヘルペスの治療には、抗ヘルペスウイルス薬(塗り薬・飲み薬)を使用します。
場合によっては、抗生物質の塗り薬を使うときもあります。
- ヘルペス塗り薬
アラセナA軟膏・クリーム
ゾビラックス軟膏・クリーム - ヘルペス飲み薬
ゾビラックス錠、バルトレックス錠
ファムビル錠 - 抗生物質塗り薬
テラマイシン、テラコートリル
フシジンレオ
ヘルペス薬はヘルペスウイルスの増殖を抑えるだけで、すべてのヘルペスを死滅できません。
口唇ヘルペスが治った後も、一部のヘルペスは知覚神経の奥の方に残ります。
(潜伏感染と言います)
ストレスや疲れなどで体力や免疫力が低下したときに、潜伏していたヘルペスが再活動を起こし、口唇ヘルペスを再発させます。
※ヘルペスは感染しても症状が出ない[不顕性感染(ふけんせいかんせん)と言います]場合も多いです
再発の頻度は人それぞれで、年に1度も再発しない方もいれば、毎月のように再発する方もいます。
毎月のように再発するのならば、ヘルペス塗り薬の常備をおすすめします。
口唇ヘルペス塗り薬は市販もあります。
口唇ヘルペス塗り薬の塗り方
繰り返しますが、口唇ヘルペスの治療はヘルペス塗り薬とヘルペス飲み薬が主に使われます。。
塗り薬にせよ、飲み薬にせよ、いずれも口唇ヘルペスだと感じたらすぐに使い始めることが重要です。
そうすれば、口唇ヘルペスの水ぶくれが広がるのを抑えたり、ピリピリ感を抑えられるからです。
ヘルペス塗り薬は、1日4回を目安に唇の水ぶくれのところや赤いところへ塗ります。
よくなってくれば回数を少しずつ減らしても問題ありません。
いつまで口唇ヘルペスの塗り薬を使うかが悩ましいところですが、口唇ヘルペスの水ぶくれがかさぶたになるまで塗り続ければ十分です。
アラセナA軟膏(ビダラビン)
アラセナAの種類
アラセナ軟膏は、ビダラビンを主成分とするヘルペス塗り薬です。
アラセナAには、白色ワセリンを基剤とする軟膏と、乳化剤を使用したクリームの2種類があります。
(以下、アラセナの軟膏とクリームを区別しないときは、アラセナ軟膏(ビダラビン)と記載)
アラセナA軟膏とクリームの使い分け
アラセナA軟膏とアラセナAクリームの効果は同等です。
白色ワセリン基剤で作られたアラセナA軟膏は刺激性が低く、ほとんどの皮膚の状態に使えます。
しかし、べたつきとテカリがあるため、顔や唇の周りに塗ることが好まれない場合もあります。
一方、乳化剤を使ったアラセナAクリームは、べたつき感が少なく、テカリもほとんどないため、唇の周りにも使用しやすいです。
ただし、水ぶくれがひどい時は刺激感の副作用が起こりやすいです。
アラセナ軟膏(ビダラビン)の効果
アラセナA軟膏(ビダラビン)は、口唇ヘルペスだけではなく、帯状疱疹にも効果があります。
ヘルペスの種類 | 効果 (極めて有用) |
効果 (有用) |
---|---|---|
単純疱疹 | 19% | 46% |
帯状疱疹 | 32% | 40% |
※口の周辺にできる単純疱疹(単純ヘルペス)を口唇ヘルペスと言います
ただし、帯状疱疹はヘルペス塗り薬ではなく、効果が確実なヘルペス飲み薬を使うのが通常です。
(効果:塗り薬 < 飲み薬)
なぜなら、帯状疱疹の後遺症である帯状疱疹後神経痛は、生涯痛みを残すことがある厄介な病気だからです。
ゾビラックス軟膏(アシクロビル)
アラセナAは軟膏とクリームの2種類ですが、ゾビラックスは多くの種類があります。
ゾビラックスの種類
ゾビラックスはアシクロビルを主成分とするヘルペス薬で、アラセナAより多くの剤形があり、飲み薬や点滴まであります。
- 軟膏(5g)
- クリーム(2g)
- 眼軟膏(5g)
- 錠剤
- 顆粒剤
- 点滴
アラセナA軟膏とゾビラックス軟膏は、口唇ヘルペスへの効果の差はありません。
(以下、ゾビラックスの軟膏とクリームを区別しないときは、ゾビラックス軟膏(アシクロビル)と記載)
ゾビラックス軟膏、クリーム、眼軟膏の使い分け
ゾビラックス軟膏とゾビラックスクリームの使い分けと塗り方は、アラセナAと同様です。
(先述参照「口唇ヘルペス塗り薬の塗り方」)
ゾビラックス眼軟膏は、目のヘルペスに1日5回塗って使用します。
ゾビラックス軟膏は軟膏と名前が付いていますが、クリームのような白い基剤(マクロゴール)を使った水溶性軟膏で、アラセナA軟膏と比べると目立ちにくいです。
目立ちにくさの順番
- アラセナAクリーム
ゾビラックスクリーム - ゾビラックス軟膏
- アラセナ軟膏、ゾビラックス眼軟膏
ゾビラックス軟膏(アシクロビル)の効果
アラセナA(ビダラビン)は帯状疱疹にも使えますが、ゾビラックス軟膏(アシクロビル)は、単純疱疹のみに使用します。
単純疱疹への効果:85.7%(有効以上)
アラセナA軟膏(ビダラビン)とゾビラックス軟膏(アシクロビル)のジェネリック
アラセナA軟膏(ビダラビン)とゾビラックス軟膏(アシクロビル)には、ジェネリックがあります。
ヘルペス薬は薬価(薬の値段)が高いのがネックです。
薬価が高い薬こそジェネリックを利用すべきで、薬代の節約効果も高いです。
ただし、軟膏(クリーム)のジェネリックは、主成分は同一ですが、基剤が違うため塗り心地が若干違います。
ヘルペス塗り薬 | 薬価/1gあたり |
---|---|
アラセナA軟膏 | 304.6 |
ビダラビン軟膏(ジェネリック) | 116.6 |
ゾビラックス軟膏 | 305.7 |
アシクロビル軟膏(ジェネリック) | 128.2 |
テラコートリル、テラマイシンはヘルペスに効果がある?
抗生物質はウイルスには効果がありません。細菌のみに効果があります。
しかし、健康保険請求上の理由でテラコートリル、テラマイシン、フシジンレオなどの抗生物質の塗り薬が、口唇ヘルペスに使用されるときがあります。
口唇ヘルペスに、ヘルペスの飲み薬ゾビラックス、バルトレックス、ファムビルを使った場合です。
ヘルペスの飲み薬ゾビラックス、バルトレックス、ファムビルは口唇ヘルペスの治療に十分な効果を発揮するため、
アラセナA軟膏、ゾビラックス軟膏を併用する理由がなく、健康保険の査定で返戻(健康保険に請求後、審査で落ちて医療機関に請求が差し戻されること)を受けます。
また、口唇ヘルペスの水ぶくれやその周辺に細菌が感染して「とびひ」になる場合もあり、そのときにも使用します。
テラコートリル、テラマイシンは市販されています。
抗生物質の塗り薬の塗り方は簡単で、1日2.3回口唇ヘルペスの出ているところと、その周辺にを塗ります。
まとめ
- 口唇ヘルペスは治療薬の開始が早ければ、症状が軽くすむ
- ヘルペス薬はヘルペスウイルスの増殖を抑えるだけで、すべてのヘルペスを死滅できない
- そのため、疲れやストレスなどで体力が低下した時に、潜伏していたヘルペスが再活動を起こし、口唇ヘルペスを再発させる
- ヘルペス塗り薬の塗り方は、1日4回を目安に水ぶくれがかさぶたになるまで塗り続ける
- アラセナA軟膏(ビダラビン)、ゾビラックス軟膏(アシクロビル)の口唇ヘルペスへの効果は同等
- 軟膏はほとんどの皮膚症状に使えるが、口の周りに塗ると光って目立つことがある
- 口唇ヘルペスに、テラコートリル、テラマイシン、フシジンレオなどの抗生物質の塗り薬を使う理由は、とびひの予防や健康保険上の問題のため
※本記事の元記事は「口唇ヘルペス塗り薬アラセナA軟膏、ゾビラックス軟膏と市販薬アクチビア、ヘルペシアの違い」です。
加筆して記事を分割しました。
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