ヒルドイドとプロペト。同じようなノリで乾燥肌に使っていませんか?
ヒルドイドとプロペトは違う性質を持つ保湿剤です。
- ヒルドイド:モイスチャライザー効果
水分を肌にとどまらせて、乾燥肌を改善する(直接的効果) - プロペト:エモリエント効果
肌の水分の蒸発を抑えて、乾燥肌を改善する(間接的効果)
さらに、ヒルドイド・プロペトの混合薬を加えると、話がもっと複雑になります。
一度、整理してみましょう。
ヒルドイド
保湿に使われるヒルドイドは、ソフト軟膏、ローション、クリームでしたが、2018年9月に新しくフォーム(泡)が発売され、合計4種類になりました。
ヒルドイドのモイスチャーライザー効果
ヒルドイドは強力なモイスチャーライザー効果(保湿効果)を持ちます。
モイスチャーライザー効果とは、血流量を増やして乾燥したカサカサ肌の水分保持力を高める保湿効果のことです(肌バリア機能の改善効果)。
しかしながら、ヒルドイドの強力な保湿効果は、保湿と美容の区別を曖昧にし、アンチエイジング目的で使われることも多々あります。
もし、ヒルドイドを美容目的で使いたいなら、美容成分配合のNALC薬用ヘパリンミルクローション がマッチします。
ヒルドイドの使い方(塗り方)
ヒルドイドは朝・入浴後、すりこむように使うと有効です。
『あなたは間違っている!保湿剤の超定番ヒルドイドの正しい使い方』
次は、ヒルドイドとよく比較されるプロペト(ワセリン)を解説します。
プロペト(ワセリン)
ワセリンは主に4種類(黄色ワセリン、白色ワセリン、プロペト、サンホワイト)ですが、薬局で使われるワセリンは圧倒的にプロペトです。
『万能すぎる!白色ワセリン、プロペト、サンホワイトの使い方7選』
プロペトとワセリンの違い
黄色ワセリンを脱色したワセリンが白色ワセリン。
白色ワセリンの純度を高めたワセリンがプロペトです。
プロペトと白色ワセリンとの大きな違いは、プロペトは目に使う軟膏基剤として使えることです。プロペトはそれくらい純度の高い白色ワセリンなのです。
そして、皮膚科ではステロイドやヒルドイドと混合して使われるケース多いです。
『プロペトと白色ワセリンの違いはこれ!市販も色々あるけど何が違うの?』
さらに純度を高めた究極のワセリンがサンホワイトです。
『サンホワイトは純度で勝負!プロペト/白色ワセリンとの違いは何?』
プロペトのエモリエント効果
プロペトの保湿効果は、水と油は混ざりあわない性質を利用しています。
肌を保護して水分の蒸発を防ぐ効果をエモリエント効果といいます。
プロペトを乾燥したカサカサ肌に塗ると、表面にとどまってフタをされた状態になります。
肌の外に蒸発しようとする水分は、油脂性のプロペトによって肌の中に戻ります。
(※プロペトは厳密には保湿剤ではなく皮膚保護剤で、薬理作用はありません)
プロペトの使い方(塗り方)
プロペトは水分が豊富な入浴後の使用が効果的です。
なぜなら、プロペトはヒルドイドのように水分を直接コントロールできないからです。
元々水分の少ない肌に対して、ワセリンでフタをしても意味ないよね。
プロペトは顔から足まで全身どこでも使えますが、顔に使うとテカリの原因になります。
『ワセリン(プロペト)の効果で顔がプルン!美容美肌にはこう使おう』
ヒルドイドとプロペトの混合薬
ヒルドイドの処方上限
ヒルドイドは健康保険が使えますが、処方量の制限があります。
なぜなら、ヒルドイドはけっして安い薬ではなく、処方量によっては保険の財源を圧迫するからです。
そこで考えだされたのが、ヒルドイドとプロペトの混合です。
ヒルドイドとプロペトは保湿作用の違いがあるので、混合は理にかなっています。
混合で浸透力アップ!
ヒルドイド・ワセリン混合薬は、単独より相乗効果が期待できます。
ワセリンのような油脂性基剤と、ヒルドイドソフト軟膏のような油脂性ベースクリーム(W/O型)の保湿剤を混合すると、肌への浸透力が上がることが知られているからです。
混合で塗る手間を軽減!
2種類の薬の全身塗布は結構な作業です。
それを毎日繰り返すと思えば、なおさらですよね。
1日2回保湿剤を使うように医師から言われていたとしても、1週間経てば1日1回しか塗らなくなっている。そのようなことも十分に考えられます。
『皮膚科の混合軟膏の不思議 塗り薬の使用期限と保存のルールはある?』
まとめ
ヒルドイドとプロペト(ワセリン)の違いはわかったかな?
- ヒルドイドの保湿効果は直接効果で、モイスチャーライザー効果
- プロペトの保湿効果は間接的効果で、エモリエント効果
ヒルドイドは月単位で処方上限がある。
そこで考え出されたのが、ヒルドイドとプロペト(ワセリン)の混合なんだね。
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