薬剤師として耳鼻科を担当していると「アラミスト点鼻薬は効かない」と言われることがあります。
話をうかがってみると、アラミスト点鼻薬はこのような使い方をされているようです。
- 花粉症が楽になったら止める
- 花粉症の症状が出てから使い始める
- 1日の使用回数、噴霧回数を守らない
- 薬がカラカラになるまで使う
ごく普通の使い方のように感じるかもしれませんが、実はこのような使い方は問題です。
アラミスト点鼻薬の使い方がまちがっているため真の効果を引き出せていないのです。
本記事を読めば、アラミスト点鼻薬の正しい使い方がマスターできます。
※アラミスト点鼻薬の正式名はアラミスト点鼻液です。
アラミスト点鼻薬とは
アラミスト点鼻薬はフルチカゾンフランカルボン酸エステルを主成分とするステロイド点鼻薬です。
ステロイド点鼻薬は花粉症の鼻水・鼻づまり・鼻のかゆみ・くしゃみに効果を発揮します。
ステロイド点鼻薬は4種類(アラミスト、ナゾネックス、エリザス、フルナーゼ)ありますが、花粉症でよく使われるステロイド点鼻薬はアラミストとナゾネックスです。
『ステロイド点鼻薬の特徴(アラミスト、ナゾネックス、フルナーゼ、エリザス)』
また、アラミスト点鼻薬はフルナーゼの進化版点鼻薬とも言えます。
アラミストは1日1回使うだけでフルナーゼを1日2回使った効果と同等の効果を発揮するからです。
『マジでびびった!アラミストはフルナーゼの進化版ステロイド点鼻薬だった』
アラミスト点鼻薬の使い方1 点鼻方法
アラミスト点鼻薬は容器の使い方(点鼻方法)が特徴的です。
アラミスト点鼻薬はレバー(グリップ)が横に付いているので、容器を握るようにして点鼻します。このようにです。
出典:グラクソスミスクライン社HP
「レバーが硬い」「使いにくい」との意見もありますが、メーカーがいうには、これは「人間工学に基づいて設計されたデザイン」だそうです。
<アラミスト点鼻薬の点鼻方法>
- 点鼻前に鼻をかんで鼻の通りをよくする(←重要)
- アラミスト点鼻薬をよく振る
(そうしないと一定量を正しく噴霧できません) - キャップはひねらずまっすぐ引き抜く
- 初めて使うときは6回空噴霧する
(2回目からは空噴霧の必要なし) - 【15歳以上】点鼻後の液だれ防止のため、交互の鼻に1噴霧を2回行う(例:左右左右)
【15歳未満】両方の鼻に1回1噴霧する - 点鼻後は1回鼻で息を吸って、液が鼻の奥までいきわたるようにする
(点鼻後は鼻が気持ち悪くなるかもしれないが、すぐに鼻をかまない) - アラミスト点鼻薬の先端をティッシュで拭きとり、清潔に保つ
画像出典:アラミスト点鼻薬点鼻液27.5μg 56噴霧用の使い方
<アラミスト点鼻薬の点鼻イメージ>
出典:グラクソスミスクライン社HP
アラミスト点鼻薬の使い方2 噴霧回数
15歳未満は1回1噴霧ですが、15歳以上は1回2噴霧です。アラミスト点鼻薬は15歳をさかいに噴霧回数が違います。
1回2噴霧するときは、点鼻後の液だれ防止のため交互の鼻に1噴霧を2回行います。
アラミスト点鼻薬の使い方3 いつ使うのが効果的?
アラミスト点鼻薬は「入浴後に1日1回の点鼻」をおすすめします。
なぜなら、入浴後はスゥーッと鼻が通って鼻水も少ないため、点鼻には最適なタイミングだからです。
アラミスト点鼻薬は鼻が詰まっているときに使っても、薬液が鼻の中へ入っていきません。鼻水で鼻内がいっぱいのときに使っても、鼻水に薬液が吸収されて効きません。
また、症状が出てからアラミスト点鼻薬を使っても、なかなか花粉症は楽になりません。
(くわしくは後半「アラミスト点鼻薬は花粉飛散前から使おう」で解説しています)
そのため、1日2回使ったり、1回に4噴霧する使い方をする方がいますが、アラミスト点鼻薬は、決められた回数以上使っても効果は変わりません。
使い忘れたときも同じです。1日2回使ったり1回に4噴霧する使い方ではなく、いつもどおりの使い方を続けます。
アラミスト点鼻薬の使い方4 薬液が残っていても使うのを止める
アラミスト点鼻薬は56回噴霧用の薬ですが、56回使った後でもこれくらい薬液は残っています。
だから、実際は62回(空噴霧6回+56回)以上使えるので、カラカラになるまで使いきる方がほとんどだと思います。
ただし、メーカーが定量噴霧を保証している回数は62回です。それ以上は薬液の噴霧量が少なくなり、アラミスト点鼻薬は十分に効果を発揮しなし可能性があります。
また、アラミスト点鼻薬の開封後の使用期限は2カ月です。
去年の花粉症シーズンの残りを使う方がいますが絶対ダメです。汚染された薬液を使うと、感染症を起こす原因になります。
アラミスト点鼻薬は花粉飛散前から使おう
花粉症は症状が出てから病院を受診する方がほとんどです。
しかし、花粉症がピークに達してから、慌ててアラミスト点鼻薬を使い始めても、効果を実感するには一定の時間が必要です。
『アラミスト点鼻薬は花粉症にすぐに効かない?効果はジワーっとやってくる』
花粉症の鼻水・鼻づまりに即効性をもとめるのであれば、セレスタミン配合錠やディレグラ配合錠、点鼻薬トラマゾリン、プリビナ、コールタイジンがおすすめです。
ただし、これらの即効型花粉症薬は飲み続ける(使い続ける)薬ではありません。使い方に注意が必要な薬です。
『セレスタミンの強さの秘密はステロイド!だから花粉症に効果抜群』
『ディレグラの強さが増す飲み方は食前食後?花粉症に効かないときは?』
『トラマゾリン、プリビナ、コールタイジン点鼻薬の使い方はこう!』
花粉症の方は多くは、2月中旬~3月初旬くらいになったら花粉症の症状が出ます。
花粉症の症状がその時期に出るのがわかっているなら、花粉が本格的に飛び始める2月より前からアラミスト点鼻薬を使うことを強くおすすめします。
「花粉症の症状が出る前から薬を使い始める」のは抵抗があるかもしれません。
しかし、花粉症が出る前から薬を始める予防的使用は、花粉症の症状が出る時期を遅らせたり、花粉症の苦しみを和らげる効果があることがわかっています。
アラミスト点鼻薬は花粉シーズン中は使い続けよう
アラミスト点鼻薬を使い始めたら、(スギ)花粉シーズンが終わる4月までは使い続けるべきです。
その理由は、先に解説した通り、花粉症の症状が出てからアラミストを使い始めても、すぐに効かないからです。
アラミスト点鼻薬はこのような使い方が多いですが、継続して使わないと十分な効果を発揮しません。
- 花粉症の症状が出てから使う
- 花粉症の症状が出ているときだけ使う
- 花粉症の症状がなくなったらやめる
(また症状がでたら再開する)
また、花粉症の症状がなくなったらといって止めてしまえば、花粉飛散量が急増したときに花粉症はぶり返します。それから再開しても、なかなか効きません。
『知らないと損をする!アラミストとナゾネックスの7つの違い』
まとめ
- アラミスト点鼻薬は容器に特徴がある
- アラミスト点鼻薬は使う前にしっかり振る
- アラミスト点鼻薬は毎日入浴後に1日1回2噴霧(子供は1噴霧)使う
- アラミスト点鼻薬は決められた回数以上使っても効果は同じ
- アラミスト点鼻薬はカラカラになるまで使いきらない
- アラミスト点鼻薬は花粉飛散前から使って、花粉がシーズンが終わるまで継続してつかうことで真の効果を発揮する
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