胃痛、吐き気、むかつき、胸焼け
これらの胃の症状は、食べすぎ、飲みすぎ、ストレス、緊張などが原因で起こる場合が多く、ほとんどの方が体験したことがあるのではないでしょうか。
胃痛、吐き気、むかつき、胸焼けに対応する医療用胃薬は多くありますが、市販胃薬も負けないくらい多くの種類があります。
市販されている胃薬の中には、医療用と全く同じ成分を使用しているスイッチOTCと呼ばれる市販薬があります。
そのひとつがガスター10です。
ガスター10発売当時のCMのインパクトが強すぎて頭から離れません。
当時、ファモチジンを使った胃薬はガスター10のみで、胃痛胸焼けに速く効くと人気の胃薬でした。
ガスター10は、どのような胃の症状に効果があるのかを中心に解説します。
※本記事は、医療用ガスターと市販ガスターを扱います。
胃痛、胸焼け症状の原因
食事をすると、胃酸などによって食物は分解され、吸収しやすい形になります。
しかし、ストレスや緊張などが続くと、神経のバランスが崩れ、胃酸コントロールの制御が不安定になります。
胃痛や胸焼けの原因のひとつは、胃酸の分泌過多による胃粘膜の自己消化です。
常に胃に不快感(空腹時胃痛)がある
ストレスや緊張などが続くと、交感神経と副交感神経のバランスが乱れてきます。
通常、胃に食物が入ると、反射的に胃酸が分泌され食物を消化します。
神経のバランスが乱れると、食物がない状況でも胃酸の分泌が起こり、胃酸で胃粘膜を自己消化し、空腹時胃痛という症状として現れます。
空腹時胃痛は食物が胃酸を吸収するため、食事をすると胃痛が治まるのが特徴です。
空腹時胃痛は十二指腸潰瘍の典型的症状
出典:治療と再発防止のために(胃潰瘍・十二指腸潰瘍)
胃炎や胃潰瘍であれば、食後に胃痛症状が出ることが多いですが、空腹時に胃痛が発生する場合は、十二指腸潰瘍の可能性が高いです。
ガスター10は、胃酸の過剰分泌が原因の胃痛がある方、特に空腹時に胃痛胸焼けを感じる方におすすめの胃薬です。
ただし、ガスター10は胃潰瘍や十二指腸潰瘍の根本的な治療薬ではありません。
空腹時胃痛が続く場合は、病院を受診して原因を明らかにしてください。
ガスター10(市販胃薬)の主成分と剤形
ガスター10の主成分は、ファモチジンです。
市販胃薬のガスター10は、普通錠、S錠と呼ばれる口腔溶解錠、散剤、内服液の4種類があります。
医療用胃薬のガスター錠剤は20mgと10mgがありますが、市販胃薬のガスター錠剤は、10mgのみです。
ガスター10(市販胃薬)のジェネリック
個人輸入を除くと、ガスター10(市販胃薬)のジェネリックは販売されていません。
医療用胃薬のガスター10であれば、数多くのジェネリックが販売されています。
ジェネリックの薬の薬価(価格)は、ガスターと比べると格安です。
先発品 | 薬価(価格) (1錠・1g) |
---|---|
ガスター10 | \24.6 |
ガスターD10 | |
ガスター20 | \42.2 |
ガスターD20 | |
ガスター散2% | \49.9 |
ガスター散10% | \213.3 |
ジェネリック | 薬価(価格) (1錠・1g) |
---|---|
ファモチジン10 | \9.6~\13.6 |
ファモチジンD10 | |
ファモチジン20 | \10.9~\22.2 |
ファモチジンD20 | |
ファモチジン散2% | ¥19.20 |
ファモチジン散10% | ¥83.10 |
D:崩壊錠(口の中で溶ける)
ガスター10の胃酸分泌抑制効果 (H2ブロッカー)
胃痛・胸焼けは胃粘膜から分泌される胃酸が原因でしたね。
この胃粘膜には、H2受容体というヒスタミンが結合する場所(H2受容体)があります。
ヒスタミンがH2受容体に結合すると、胃粘膜から胃酸が分泌されます。
ヒスタミンがH2受容体に結合する前に、カスター10の主成分ファモチジンが先回りしてH2受容体に結合するのです。
ガスター10(ファモチジン)は、H2受容体にヒスタミンが結合するのをブロックして、胃酸の分泌を抑制する効果を示すため、H2ブロッカーとも呼ばれています。
出典:第一三共ヘルスケアHP
ガスター10(市販胃薬)の用法用量
【第1類医薬品】【第一三共ヘルスケア】ガスター10(胃腸薬)
市販胃薬のガスター10は、全ての剤形にファモチジンが10mg配合されています。
ガスター10普通錠、S錠、散剤、内服液の効果は同等です。
ガスター10は、15歳から80歳までの成人が、胃痛、胸焼けなどの症状があるときに、頓服的に服用する薬です。
(医療用と市販は用法用量が違う)
ガスター10(ファモチジン)は、1回服用すると8時間程度は効果が持続します。
(消失半減期2~3時間)
8時間たっても胃痛胸焼けなどの症状が改善しない場合は、もう1錠追加で服用します。
(1日2回まで服用OK)
ガスター10を3日間連続服用しても、胃痛、胸焼けなどの症状が改善しない場合は、原因がストレスや緊張以外にある可能性もありますので、いったん中止して医療機関を受診してください。
消失半減期(薬の効果がなくなるまでの時間)の解説
ガスター10(市販胃薬)の効果
市販胃薬ガスター10を1日2回・3日間服用したときの、胃痛、胸焼けなどの自他覚症状の改善率(効果)は63.5%です。
出典:第一三共ヘルスケアHP
ガスター(ファモチジン)の効果が出てくる時間と効果持続時間
市販と医療用のガスター10mg製剤を直接比較した結果はありませんが、効果は同等のはずです。(添加物も同じ)
そのため、医療用ガスターの試験結果は、市販ガスターと共有できます。
ガスター10mg(ファモチジン10mg)の最高血中濃度到達時間(Tmax)は2.2時間ですので、市販胃薬のガスター10の効果が最大になるのも約2時間後です。
ガスター10mg(ファモチジン10mg)の消失半減期(t1/2)は2.63時間ですので、服用して8時間後には1/4程度の効果になります。
出典:ガスター錠インタビューフォーム
ガスター10の副作用
ガスター10(ファモチジン)には重大な副作用がないわけではありませんが、ほとんど気にならない程度の頻度です。
医療用のガスターのインタビューフォームによると、ガスター10の副作用の発現率は1.79%です。
便秘、蕁麻疹、発疹、かゆみなどの副作用が起こる可能性があります。
副作用 | 副作用発現率 |
---|---|
発疹・皮疹 | 0.08% |
便秘 | 0.24% |
肝機能異常 | 0.30% |
白血球減少 | 0.15% |
胃薬ガスター10 市販と医療用の違い
市販と医療用ガスターは、効能効果、用法用量などが違います。
市販ガスター | 医療用ガスター | |
---|---|---|
剤形 | 錠剤 | 錠剤 |
S錠 | D錠 | |
散剤 | 散剤 | |
内服液 | – | |
錠剤規格 | 10mg | 10mg |
– | 20mg | |
年齢制限 | 15歳以上 80歳未満 |
15歳以上 |
用法用量 | 1回10mgを 1日2回まで |
1回10mgを1日2回 |
– | 1回20mgを寝る前 | |
服用日数制限 | 2週間 | なし |
効能効果 | 胃痛 | ※急性胃炎、慢性胃炎の急性増悪期 |
胸焼け | ||
もたれ | ||
むかつき |
※ガスター10mgの効能効果
ガスター20mgは、主に胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、上部消化管出血(消化性潰瘍、急性ストレス潰瘍、出血性胃炎による)、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群に使用する
まとめ
- ストレスや緊張などが続くと神経のバランスが崩れ、胃酸のコントロールの制御が不安定になり、その結果、胃痛、胸焼けなどの症状が表れる
- 空腹時胃痛の原因のひとつは、胃粘膜の自己消化
- 空腹時に胃痛が発生するのは、十二指腸潰瘍の典型的な症状
- ガスター(ファモチジン)には、H2受容体にヒスタミンが結合するのをブロックする効果がある
(胃酸の分泌を抑制するH2ブロッカー) - 市販のガスター10と医療用のガスター10の効果は同等
- しかし、市販と医療用では、効能効果、用法用量などが違う
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