ガスモチン(モサプリド)の吐き気・胃もたれ・便秘改善効果と副作用(下痢)

胃痛を起こすサラリーマン 胃薬
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吐き気、胃もたれ、食欲不振、腹部膨満感、胃痛、胸やけ・・・などの胃症状には、プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールなどの胃薬がよく使われます。

しかし、プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールは、ドパミンD2受容体(後述)をブロックするため、次のような副作用がたびたび問題になります。

  • 錐体外路症状(パーキンソン病のような症状)
  • 高プロラクチン血症(乳汁が出る)
  • 生理不順

 

そこで開発された胃薬がガスモチン(モサプリドクエン酸塩)です。

ガスモチンはドパミンD2受容体に影響を与えずに吐き気、胃もたれ、食欲不振、腹部膨満感、腹痛、胃痛、胸やけ…などの胃症状を改善します。
(作用機序が違う)

 

また、ガスモチンは消化管全体に働きかけるため腸にも効果があり、便秘がちの方に便秘薬と併用して使用される場合もあります。
(ただし、便通が正常な方は下痢する副作用がある)

ガスモチンはもともとは胃薬ですが、広い意味では胃腸薬と考えるべきかもしれません。

胃薬プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールの問題点

胃の動きが悪いと、吐き気・胃もたれなど胃症状が発生します。

プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールは、ドパミンD2受容体をブロックして胃の動きを活発化して、

吐き気、胃もたれ、食欲不振、腹部膨満感、腹部不快感、腹痛、胸やけなどの胃症状を改善します。

しかし、中枢系やホルモン系の副作用が問題となる場合がありました。

プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールの作用機序

アセチルコリンは、副交感神経が支配している神経伝達物質です。

アセチルコリンが胃のムスカリンM受容体に結合すると、胃の運動が促進されます。

胃の運動の仕組み

 

ドパミンD2受容体にドーパミン(ドパミン)が結合すると、アセチルコリンの放出が抑えられ、胃の運動が抑制され吐き気を感じるようになります。

吐き気が起こる機序

 

プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールは、胃腸のドパミンD2受容体をブロックして吐き気を抑えます。【抗ドパミン作用】

プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールの作用機序

プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールの副作用

胃薬プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールは胃腸の動きを改善する結果、食欲があがり、まれに太る場合があります。

太る副作用
プリンペラン・ナウゼリン<ドグマチール

 

ドパミンD2受容体をブロックすると、プロラクチンが増加して高プロラクチン血症を起こす場合もあります。

黄体刺激ホルモンであるプロラクチンには、乳汁の分泌促進作用があります。

その副作用を逆手にとって産科ではドグマチールやプリンペランを母乳分泌促進目的で使う場合もあります。

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また、ドーパミンとアセチルコリンのバランスが崩れ、

ドーパミン↓・アセチルコリン↑の状態になると、パーキンソン病の様な錐体外路症状が起こる場合があります。

ガスモチン(モサプリド)の作用機序

ガスモチン錠2.5mgとガスモチン錠5mg
左:ガスモチン2.5mg
右:ガスモチン5mg

 

ガスモチンの主成分はモサプリドクエン酸塩(以下、モサプリド)です。

ガスモチン(モサプリド)は、胃腸のセロトニン受容体(5-HT4受容体)を刺激して胃腸の働きを改善します。

セロトニン受容体は刺激を受けると、アセチルコリン(ACh)を分泌を促します。

ガスモチン(モサプリドクエン酸塩)の作用機序

 

アセチルコリンは胃腸の運動を活発化させる物質ですので、吐き気、胃もたれ、食欲不振、腹痛、胃痛、胸やけなどの胃腸症状を改善します。

ガスモチン(モサプリド)の効能効果

ガスモチンの慢性胃炎に対する効果(改善率)は次の通りです。

症状 効果(改善率)
胸焼け 74%
悪心・嘔吐 77%

(添付文書より)

 

特別調査による自覚症状の改善率(やや改善以上)は90%以上です。

ガスモチン(モサプリド塩酸塩)の効果
縦軸:効果(やや改善以上%)
横軸:服用期間

 

ガスモチン(モサプリド)は胃だけではなく腸にも働きかけるため、便秘がちの方に便秘薬の併用薬として使用される場合もあります。

ガスモチン(モサプリド)はもともとは胃薬ですが、広い意味では胃腸薬です。

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ガスモチン(モサプリド)は食前?食後? 効果の違いは?

プリンペラン・ナウゼリンは、吐き気・胃もたれを抑える効果を期待して食前服用する胃薬です。

ドグマチールも吐き気を抑えますが、別の効果を期待している場合が多いです。

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一方、ガスモチン(モサプリド)は胃腸の運動促進効果を期待して服用します。

そのため、食前・食後のどちらでも同等の効果を得られます。

通常、成人には、モサプリドクエン酸塩として1日15mgを3回に分けて食前または食後に経口投与する。

ガスモチン添付文書より

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ガスモチン(モサプリド)は副作用の下痢に注意

ガスモチン(モサプリド)の臨床試験結果による副作用発現率は4%で、あまり副作用に過敏になる心配はありません。

ただし、ガスモチンの腸への効果が強く出過ぎると下痢・軟便の副作用が起こる場合があり、便通が正常の方は下痢の副作用に注意すべきです。

主な副作用 副作用発現率
下痢・軟便 1.8%
口渇(喉の渇き) 0.5%
倦怠感(だるさ) 0.3%

 

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まとめ

  1. ガスモチン(モサプリド)はドパミンD2受容体に影響を与えない
  2. そのため、プリンペラン・ナウゼリン・ドグマチールでたびたび起こる副作用(錐体外路症状、高プロラクチン)はない
  3. ガスモチン(モサプリド)はセロトニン受容体を刺激して、胃腸全般の運動促進効果が期待できる
  4. ガスモチン(モサプリド)は食前・食後どちらでもOK。効果も同等
  5. ガスモチン(モサプリド)は胃薬であるが、腸運動促進効果を期待して便秘薬と併用する場合がある
  6. ただし、腸運動促進効果が強いと下痢・軟便の副作用が起こることがある

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