アクアチムクリームとダラシンTゲルはニキビによく使われる塗り薬ですが、最近は減りつつあります。
その理由は2つあります。
- 耐性菌が問題になってきた
- 他にいいニキビ薬が発売された
最近では、ディフェリン、ベピオ、エピデュオという新しいタイプのニキビ薬が皮膚科を中心に積極的に使われています。
そして、赤ニキビ、黄ニキビが出ているときだけアクアチムクリーム、ダラシンTゲル、ゼビアックスローションなどの抗生物質系ニキビ薬を使うのが主流です。
主役の座を奪われてしまった感がありますが、元祖ニキビ薬、アクアチムクリームとダラシンTゲルについて解説します。
アクアチムクリームとダラシンTゲルは効かない?
アクアチムクリームやダラシンTゲルはビックリするくらい赤ニキビに効きます。本当にニキビの赤みが魔法のように消えます。
しかし、正しく使わないと、使っている間に効かなくなってきます。
『ニキビがピタっと治まる アクアチムクリーム/ローションの塗り方・使い方』
なぜなら、アクアチムクリームやダラシンTゲルに代表される抗生物質系ニキビ薬は耐性菌が問題になりやすいからです。
耐性菌とは、特定の細菌に抵抗力を持った(効かなくなった)細菌のことです。
特に、ダラシンTゲルのニキビの原因菌であるアクネ菌やブドウ球菌に対する耐性化率は高く深刻な状況です。
日本での抗生物質(抗菌剤)の耐性化率
抗生物質 | アクネ菌 | ブドウ球菌 |
---|---|---|
ダラシンT | 23.2% | 51.7% |
アクアチム | ? | 10.3% |
クラビット | 4.3% | 36.2% |
クラリス | 18.8% | 58.6% |
アクアチムとダラシンTの特徴をしっかりつかんで、ニキビに効果的に使っていきましょう。
3種類のアクアチム
アクアチムは軟膏、クリーム、ローションの3種類がありますが、アクアチム軟膏はニキビには使われていません。
ニキビにはアクアチムクリームがよく使われています。
(参考)アクアチムの保険適応
– | ニキビ | とびひ |
---|---|---|
アクアチムクリーム | ○ | ○ |
アクアチムローション | ○ | × |
アクアチム軟膏 | × | ○ |
アクアチムクリームの主成分は抗生物質(抗菌剤)ナジフロキサシンです。
アクアチムクリームは、ダラシンTゲルと比べて耐性菌の発生数が少ないという特徴があります。
また、アクアチムクリームは、顔ニキビ、背中ニキビだけではなく、とびひなどにも使えるためダラシンTゲルより使い勝手がいいです。
『アクアチム軟膏/クリーム/ローション とびひに効果No.1はこれ!』
アクアチムクリームの効果
アクアチムクリームの臨床試験によると、赤ニキビに1日2回朝夕洗顔後4週間使ったときの効果(有効率)は81.3%です。
聞くところによると、ダラシンTゲルで効かなくなった方でもアクアチムクリームの効果は上々だそうです。
アクアチムクリームの副作用
アクアチムクリームはダラシンTゲルより副作用頻度が低いですが、つっぱり感、パリパリ感などの副作用が出る場合があります。(添付文書によると副作用頻度は1.44%)
2種類のダラシンT
ダラシンTはゲルとローションがありますが、ニキビに使われるのはダラシンTゲルが圧倒的です。
ダラシンTゲルの主成分はクリンダマイシンです。
ディフェリン・ベピオが発売されるまでは、ニキビ薬といえばダラシンTゲル!と言われるくらい多く使われてきました。
今でも、ダラシンTゲルは炎症を起こした赤ニキビと、化膿を起こした黄ニキビに中心に使われています。
ダラシンTゲルは赤ニキビによく効くので愛用している方も多い反面、耐性菌が問題です。
また、ダラシンTゲルの成分クリンダマイシンに、ベピオの成分過酸化ベンゾイルを加えたニュータイプのニキビ薬デュアック配合ゲルが2016年に発売されています。
『デュアックの3つの効果 ベピオ/ダラシンと比較すると意外な結果が!』
ダラシンTゲルの効果
1日2回朝夕洗顔後4週間、赤ニキビにダラシンゲルとプラセボ(偽薬)を使ったときの効果(有効率)の差は明らかです。
ダラシンTゲルの臨床試験結果を参考に作成
ダラシンTゲルの副作用
ダラシンTゲルのゲルが肌に合わないとき、かゆみが出る可能性があります。
- かゆみ:5.8%
- 赤み:1.6%
- 副作用合計:8.1%
アクアチムクリームとダラシンTゲルの市販
抗生物質の市販
アクアチムクリームとダラシンTゲルの市販はありません。
次にあげる塗り薬はニキビに保険適応がありませんが、ニキビに効果があると経験的にわかっているため使われています。
この中で市販されている塗り薬はテラマイシンです。
『ゲンタシンに市販はない とびひにはテラマイシンorドルマイシンで代用OK!』
硫黄系ニキビ市販
ニキビの市販と言えば、今も昔も硫黄(イオウ)です。
『イオウカンフルローションに代わる市販はこれ!ニキビにはこう使ってみよう』
ダラシンTゲル、アクアチムクリームの違い(まとめ)
商品名 | ダラシンTゲル | アクアチムクリーム |
---|---|---|
主成分 | クリンダマイシン1% | ナジフロキサシン1% |
抗菌効果 | ブドウ球菌群、アクネ菌 | |
使用方法 | 洗顔後、1日2回塗布 | |
中止のめやす | 4週間後、効果がない | |
主な副作用 | かゆみ5.84% | かゆみ・刺激感1%未満 |
赤み1.62% | 赤み1%未満 | |
保存 | 1℃~25℃ |
- アクアチムは軟膏、クリーム、ローションの3種類があるが、ニキビによく使われるのはクリーム
- アクアチムクリームは、ダラシンTゲルと比べて耐性菌の発生数が少ない
- ダラシンTゲルは愛用している方も多いが耐性菌が問題
- アクアチムクリームやダラシンTゲルに代表される抗生物質系ニキビ薬は耐性菌が問題になりやすい
- アクアチムクリームとダラシンTゲルの市販はない
最新式赤ニキビ薬の解説はコチラ
コメント