かきむしった傷に黄色ブドウ球菌などの細菌が繁殖し、水ぶくれが広がっていく病気があります。
伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)です。
他人にうつしたり、自分の皮膚に広げたりする感染症として知られています。
傷や水ぶくれをかきむしり、細菌の付いた手から皮膚全体に広がる様子は、火事の火の粉が「飛び火」する様子に似ているため、伝染性膿痂疹はとびひと呼ばれています。
とびひは、子供(主に幼児)に多く、幼稚園(保育園)、プールなどで集団感染しやすい夏に多い病気です。
とびひの子供が無防備な状態で、幼稚園(保育園)、プールへ行くと、とびひは確実に広がります。
幼稚園(保育園)、プールは、いつから行けるのかを中心に解説します。
とびひの子供はプールにいつから?
プールでとびひはうつる?
プールの水を介して、とびひはうつりません。
しかし、プールは肌が露出していて無防備な状態です。
とびひに触れると他に子供(他人)にうつす可能性があり、自身も症状を悪化させる原因になります。
いつからプールに入れるか
日本臨床皮膚科医会、日本小児皮膚科学会の「とびひの子供はいつからプールへ入っていいか?」に対する統一見解は次の通りです。
かきむしったところの滲出液(しんしゅつえき)、水疱内容などで次々にうつります。
プールの水ではうつりませんが、触れることで症状を悪化させたり、ほかの人にうつす恐れがありますので、プールや水泳は治るまで禁止して下さい。
とびひがかさぶたの状態であれば、とびひは治りかけの段階ですので、日常の生活であれば、他人にうつす可能性は低いです。
しかし、プールの水でかさぶたがふやけたり、他の子供と接触したりすることで、かさぶたがはがれる可能性があります。
とびひの子供は、かさぶたが完全に取れてからプールに入るべきです。
とびひの子供の学校、幼稚園(保育園)の登校(登園)
学校保健安全法では、
とびひは「学校感染症のその他の感染症」です。
その他の感染症は第三種の感染症として扱われる場合があります。
学校感染症の例
感染症の種類 | 感染症の例 | 出席停止期間 |
---|---|---|
第一種 | エボラ出血熱など | 治癒するまで |
第二種 | インフルエンザ | 発症後5日を経過し、 解熱後2日(幼児は3日)を経過するまで |
水痘(水疱瘡) | 全ての発疹がかさぶたになるまで | |
麻疹(はしか) | 解熱後3日を経過するまで | |
流行性耳下腺炎 (おたふくかぜ) |
腫れが発現した後5日を経過し、 かつ、全身状態が良好になるまで |
|
第三種 | 流行性角結膜炎 (ものもらい) |
医師が感染のおそれがないと認めるまで |
その他 | 伝染性膿痂疹(とびひ) | 必ずしも出勤停止を行うわけではない (症状による) |
ノロウイルス感染症 | ||
ロタウイルス感染症 | ||
マイコプラズマ感染症 | ||
手足口病 | ||
ヘルパンギーナ | ||
溶連菌感染症など |
とびひの子供の学校、幼稚園(保育園)の登校(登園)は、診察を受けて(必要であればガーゼや包帯で覆って)とびひの肌を露出していなければ可能です。
出勤停止の必要はないが、炎症症状の強い場合や、化膿した部位が広い場合は、傷に直接触らないように指導する。
学校保健安全法 伝染性膿痂疹(とびひ)より
- とびひの水ぶくれが大きい(ガーゼなどで覆えない)
- とびひの膿が止まらない
- とびひの拡がりが止まらない
このような症状の子供は、自主的に学校、幼稚園(保育園)の登校(登園)を控えるべきかもしれません。
とびひの子供とお風呂
湯船?シャワー?
とびひの子供は、お風呂に入ることは問題ありませんが、湯船につかるならば家族の一番最後が無難です。
できればシャワーがよいです。
とびひを石鹸(ボディソープ)で洗っていい?
とびひの起こっている場所は、清潔が一番です。
石鹸(ボディソープ)を使って全身を洗ってください。
ただし、とびひの水ぶくれが破れそうなときは、ゴシゴシこすらず泡でやさしく洗ってください。
傷口がしみる場合は、お湯で流す程度で十分です。
とびひの消毒(イソジン液)
昔は、お風呂の後や、塗り薬を塗る前にイソジン液などで消毒をしていましたが、
最近では、とびひにイソジン液などの消毒薬で消毒するメリット(殺菌)よりデメリット(傷部分の障害、刺激)のほうが大きいと考えられています。
特に医師からイソジン液などの消毒薬の指示がなければ、とびひの消毒は不要です。
まとめ
- とびひはお風呂OKだが、湯船ではなくシャワーが無難
- とびひの部分も、水ぶくれの破裂に注意して、石鹸で洗うことが望ましい
- とびひの消毒は必要ない
- とびひが治りかけてかさぶたになっていても、かさぶたが取りきれるまではプールはNG
コメント