アスベリンは赤ちゃんから服用可能な純日本製の咳止めです。
大人用の錠剤より子供用のシロップがよく使われている印象があります。
アスベリンは鎮咳作用(ちんがいさよう:咳を止める)と去痰作用(きょたんさよう:痰を切る)の2つの作用があります。
風邪の症状が咳痰のみであればアスベリンのみで解決しそうですが、単独で使われるケースは少ないです。
【アスベリン+咳止め】もしくは【アスベリン+痰切り】などの併用が多いです。
咳止めは必須ではない
アスベリンなどの咳止めは、すべての咳に必須ではありません。
なぜなら、咳はウイルスや細菌を体外に追い出すための防御反応だからです。
したがって、理由なく咳を止めるべきではありません。
しかし、咳は喉や肺に負担をかけ体力を消耗させます。
夜間に咳が続くときは、咳で何度も目が覚めてしまう場合があり、睡眠を妨げます。
このようなときに、やむなく咳止めを使うのです。
咳止めの種類
咳止めを大きく分けると2種類です。
- 中枢性鎮咳薬(ちゅうすうせいちんがいやく)
脳の咳中枢をブロックするタイプ。 - 末梢性鎮咳薬(ましょうせいちんがいやく)
気管(気管支)に作用するタイプ。
さらに、中枢性咳止めは、麻薬性と非麻薬性の2種類に分けられています。
効果の強い順番に並べると、「中枢性麻薬性鎮咳薬>中枢性非麻薬性鎮咳薬>末梢性鎮咳薬」 です。
よく使用されるのは中枢性非麻薬性鎮咳薬で、アスベリンもそのグループに属します。
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アスベリンの種類
アスベリンはチペピジンヒベンズ酸塩を主成分とする鎮咳去痰薬です。
アスベリンは、錠剤以外に赤ちゃんからでも使えるドライシロップ、シロップ、散があり、合計4種類です。
左:アスベリン錠20mg
中央上:アスベリンドライシロップ
中央下:アスベリン散
右:アスベリンシロップ
よく比較されるアスベリンドライシロップとアスベリン散の大きな違いは味と濃度です。
種類 | 味 | 濃度 |
---|---|---|
アスベリンドライシロップ | 濃い ミックスフルーツ味? |
2% |
アスベリン散 | 薄い | 10% |
アスベリンシロップも甘みがありますが、アスベリンドライシロップの方がおいしく感じます。
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アスベリンの作用機序
アスベリンは2種類の作用が期待できます。
- 鎮咳作用
咳中枢を抑制し、咳の感受性を低下させる - 去痰作用
気管支腺分泌を亢進し、痰の粘りを低下させる
アスベリンの飲み方
アスベリンは赤ちゃんから大人まで、痰の切れない咳に幅広く使われています。
1日3回毎食後に服用します。
アスベリンの1日服用量
種類 | 1歳未満 | 1歳以上 3歳未満 |
3歳以上 6歳未満 |
成人 |
---|---|---|---|---|
アスベリン錠10mg | × | 6~12錠 | ||
アスベリン錠20mg | 3~6錠 | |||
アスベリン散 | 0.05~0.2g | 0.1~0.25g | 0.15~0.4g | 0.6~1.2g |
アスベリンDS | 0.25~1g | 0.5~0.125g | 0.75~2g | 3~6g |
アスベリンシロップ | 1~4mL | 2~5mL | 3~8mL | 12~24mL |
アスベリンDS:アスベリンドライシロップ
アスベリンシロップは懸濁液であるため、底に成分が沈む性質があります。
飲む前に泡立たない程度に振ってから飲みます。
『フスコデ配合錠/シロップは咳に効果抜群!でも副作用(眠気、便秘)に注意』
アスベリンの効能効果
アスベリン下記のさまざまな咳と痰に効果がありますが、どれくらい効果があるかは明らかにされていません。
- 感冒(風邪)
- 上気道炎(咽喉頭炎、鼻カタル)
- 急性気管支炎
- 慢性気管支炎
- 肺炎、肺結核、気管支拡張症
アスベリンが効かない咳
咳の原因は細菌やウイルス感染が多い(いわゆる普通の風邪の咳)ですが、咳喘息、気管支喘息、アトピー咳嗽(がいそう)など、アレルギー性の咳もあります。
アスベリンは咳中枢に作用して咳を鎮めるタイプの咳止めであるため、アレルギー性の咳には効果がありません。
アレルギー性の咳には次のような薬を使います。
- 気管支拡張剤
(ホクナリンテープ) - ロイコトリエン拮抗薬
(キプレス、シングレア) - 吸入ステロイド薬
(フルタイド、キュバール、パルミコート) - 抗ヒスタミン薬
(アレジオン、ニポラジン、ザジテン)
『ホクナリンテープは風邪の咳止めシールではない!元々は喘息の貼り薬だ』
アレルギー性の咳の初期症状は、風邪の咳と似ているため、アスベリンなどの咳止め痰切りが使われる場合がありますが、長引く咳は風邪の咳ではないのかもしれません。
アスベリンの副作用
アスベリンは副作用頻度が低い咳止めです。
アスベリンの副作用の集計(承認時~1985年6月)では、副作用発現頻度は4.3%でした。
アスベリンの主な副作用
- 食欲不振:1.1%
- 便秘:0.5%
アスベリンを飲み始めると尿が赤くなることがあります。
(実際、赤くなったと言われたことがありませんが…)
これは、アスベリンの代謝物が尿中に排泄されるために起こる現象で、副作用ではありません。
『カフコデN配合錠は喉の痛みをともなう鼻咳風邪薬?ロキソニンとの併用は?』
アスベリンのよくある飲み合わせ(併用)
アスベリンは鎮咳作用と去痰作用の2つの作用がありますが、単独使用は少ない印象があります。
- アスベリン+咳止め(鎮咳薬)
メジコン、リン酸コデイン(リンコデ)、アストミン、フラベリックなど - アスベリン+痰切り(去痰薬)
ムコダイン、ムコソルバン、ムコサール、クリアナールなど
子供の粘っこい鼻水が続く場合、【アスベリンシロップ+ムコダインシロップ】は定番の飲み合わせです。
『ムコダインは咳、鼻水、痰にすぐに効かない!ジワリと効くのを待とう』
まとめ
- 咳止めは必ずしも必須ではない
- よく使われる咳止めは中枢性非麻薬性鎮咳薬
- アスベリンは大人用の錠剤、子供用のドライシロップ、散、シロップの合計4種類
- アスベリンドライシロップとアスベリン散の大きな違いは味と濃度
- アスベリンは鎮咳作用と去痰作用の2つの作用があるが、【アスベリン+咳止め】もしくは【アスベリン+痰切り】などの併用が多い
- アスベリンは咳中枢に作用して咳を鎮めるタイプの咳止めであるため、アレルギー性の咳には効かない
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