手・顔・体などに使う保湿系の塗り薬はヒルドイドが有名ですが、他にも保湿系塗り薬はあります。
- ウレパール・ケラチナミン・パスタロン(尿素)
- ザーネ(ビタミンA油)
- プロペト(白色ワセリン)
※リンクをクリックすると、その薬の解説記事にジャンプします。
ケラチナミンにはヒルドイドにはない角質軟化作用があり、手や足のガサガサ、かかとひび割れを緩和する効果が期待できます。
そのため、ケラチナミンはハンドクリーム、かかとクリームとも呼ばれています。
ケラチナミンと同じ尿素クリームにウレパールがありますが、ケラチナミンとは効果(作用)が少し違います。
ケラチナミンの効果、副作用、使い方。ウレパールとの違いについて解説します。
ケラチナミンは尿素クリーム
尿素クリームは、ケラチナミン、ウレパール、パスタロン、アセチロール、ワイドコールあたりが有名です。
尿素クリームの違いは、尿素濃度、軟膏、クリーム、ローション、薬価(薬の値段)です。
尿素クリーム | 尿素濃度 (%) |
種類 | 薬価 (円) |
GE |
---|---|---|---|---|
ケラチナミン | 20 | クリーム | 6.8 | × |
ウレパール | 10 | クリーム ローション |
6.6 | × |
パスタロン | 10 20 |
クリーム ソフト軟膏 ローション |
6.6~6.8 | × |
アセチロール | 10 20 |
クリーム 軟膏 |
5.2 | ○ |
ワイドコール | 20 | クリーム | 5.2 | ○ |
GE:ジェネリック
尿素濃度が違えば、当然効果も違います。
また、同じクリーム同士であっても、基剤の違いがあるため塗り心地が違います。
例えば、ワイドコールクリームはケラチナミンクリームよりのびがいいので塗り広げやすいです。
ケラチナミンクリームの2つの効果
ケラチナミンクリームは保湿効果と角質軟化効果の2つの効果があります。
1.保湿効果
ケラチナミンクリームの主成分尿素は、角質に水分をとりこむ保湿成分です。
水分保持量を増加させます。
水分保持量の増加は尿素濃度に応じて増加することがわかっています。
2.角質軟化効果
尿素は古い角質を溶かして、分厚くなった角質をやわらかくします。
ウレパールは10%尿素クリーム(ローション)ですので、足のガサガサ(かかとひび割れ)に使ってもケラチナミンほど効果が期待できません。
足のガサガサ(かかとひび割れ)に使うならば、ケラチナミンなどの20%尿素クリームを選びたいです。
ケラチナミンクリームを顔に?
ケラチナミンクリームはハンドクリーム、かかとクリームの愛称で知られていますが、顔の保湿に使えないわけではありません。
しかし、顔には他に最適な保湿剤があり、顔にわざわざケラチナミンクリームを使う必要はありません。
- ヒルドイド
- ビーソフテン(ヘパリン類似物質)
- プロペト(白色ワセリン)
ビーソフテンローションは白色ワセリン・アルコール無添加です。
顔のテカリもなく刺激感が少ないため、顔の保湿にはおすすめです。
『ビーソフテンローションは顔、ニキビにピッタリ!使い方はシンプルでOK』
ケラチナミンクリームの効能効果
ケラチナミンクリームの保湿効果と角質軟化効果は、さまざまな皮膚疾患に効果があります。
効果 | 病名 | 通称名 (よみ) |
効果 (有効率%) |
---|---|---|---|
保湿効果 | 老人性乾皮症 | 老人皮膚 | 87.9 |
アトピー皮膚 | アトピー | 72.3 | |
進行性指掌角皮症 | 手荒れ | 68.5 | |
角質軟化効果 | 魚鱗癬 | (ぎょくりんせん) | 86.9 |
足蹠部皸裂性皮膚炎 | かかとひび割れ | 75.0 | |
掌蹠角化症 | (しょうせきかっかしょう) | 64.1 | |
毛孔性苔癬 | (もうこうせいたいせん) | 55.3 |
ケラチナミンクリームはアトピー・老人皮膚にも使えますが、ヒルドイドの使用が多い印象です。
『あなたは間違っている!保湿剤の超定番ヒルドイドの正しい使い方』
ケラチナミンクリームは、手荒れ、かかとひび割れへの使用が圧倒的です。
(ケラチナミンの通称名はハンドクリーム、かかとクリーム)
かかとのガサガサ(ひび割れ)はサリチル酸ワセリンが特に有効です。
『サリチル酸ワセリンの かかとひび割れに効く使い方!市販はある?』
ケラチナミンクリームの副作用
ケラチナミンクリームは副作用に神経質になる必要はありませんが、皮膚のうすいところやひび割れのひどいところに塗ると尿素が原因でピリピリ感を起こす場合があります。
ピリピリ感が強い場合は、尿素濃度の低いウレパールなどの使用がおすすめです。
主な副作用の種類 | 副作用の頻度 |
---|---|
ピリピリ感 | 1.71% |
紅斑(赤み) | 0.86% |
かゆみ | 0.6% |
(承認時~1982年8月までの調査結果より)
『ウレパールクリーム・ローション(尿素)は顔もOK?効果と副作用 市販は?』
ケラチナミンクリームの使い方と塗る量
ケラチナミンクリームは皮膚にすりこむように塗ると、尿素の吸収量が増えより効果が得られるといわれています。
ケラチナミンクリームの塗る量のルールはありませんが、塗ってしっとりするくらいの量(ティッシュが貼りつくくらいの量)をすりこみます。
出典:マルホHP
ケラチナミンクリームの1日に塗る回数
ケラチナミンコーワクリームの添付文書(医療従事者向け薬の説明書)によると、塗る回数は1日1~数回です。
そのため、ケラチナミンクリームの塗る回数は、何回がベストかという答えはありませんが、1日1回~3回を目安にして塗るといいと思います。
『これだけは知っておきたい!塗り薬の使い方(量・回数・順番)』
ケラチナミンクリームを塗るタイミング
ケラチナミンクリームを1日1回しか塗れない場合は、ベストタイミングは入浴後すぐです。
入浴後は、皮膚は普段より水分を多く含んでいます。
その水分を逃がさないためにもすぐにケラチナミンクリームをすり込みます。
入浴後に塗り忘れたときは、思い出したときにできるだけ早くすり込みます。
1日2回塗るのであれば、入浴後と朝です。
日常の活動に入る前の朝が、ケラチナミンクリームの塗り忘れが少ないからです。
しっかり保湿してから出かけてください。
手荒れにケラチナミンクリームを使っているのであれば、水仕事後の塗布も有効です。
『パスタロンクリーム/ローション/ソフト軟膏(手荒れ薬)は かかと・顔にも効果ある?』
ケラチナミンクリームとステロイドの混合
皮膚科ではケラチナミンクリームとステロイドの混合も、ときおり行われます。
軟膏/クリームの混合は一般化できませんが、
ステロイド軟膏に、ケラチナミンクリーム、ヒルドイドソフト軟膏、パスタロンソフト軟膏のような油脂性ベース基剤(W/O型)の保湿剤を混ぜると、皮膚への浸透力が上がることが知られています。
出典:ノバルティスファーマHP
※ケラチナミン軟膏はケラチナミンクリームの旧式名称
※アンテベート、リドメックス→ステロイド軟膏
『皮膚科の混合軟膏 塗り薬の使用期限と保存のルールはある?』
ケラチナミンクリームとステロイド軟膏の塗る順番
ケラチナミンクリームとステロイド軟膏は、同じ場所に一緒に使用される場合も多いです。
医師から指示がなければ、ケラチナミンクリーム→ステロイド軟膏の順番に塗るのが理にかなっています。
(ただし、ケラチナミンクリームとステロイド軟膏の塗る順番による効果の違いを検証したデータはない)
- ステロイド軟膏は、炎症部分などに部分的に塗ります。
- ケラチナミンクリームは炎症部分はもちろん、乾燥部分に全体的に塗るケースが多いです。
塗る場所が限定されているステロイド軟膏を先に塗ると、ケラチナミンクリームを塗る際に関係のない皮膚に、ステロイド軟膏をぬり広げてしまいます。
『ニキビケアの順番(ベピオ/ディフェリン/デュアック/エピデュオ/ヒルドイド/化粧水/乳液/日焼け止め)』
ケラチナミンクリームの市販薬
ケラチナミン(尿素クリーム)はドラッグストアや薬局で市販されています。
ドラッグストアでは、冬になると山積みにされているケラチナミン(尿素クリーム)を見かけませんか?
ケラチナミンの市販は3種類ありますが、医療用のケラチナミンと同じケラチナミン市販は、ケラチナミンコーワ20%尿素配合クリームです。
まとめ
- ハンドクリーム、かかとクリームとも呼ばれるケラチナミンクリームの尿素には2つの効果がある。
- 角質の水分保持量を増加させる保湿効果。
(手のカサカサ) - 角質をやわらかくする角質軟化効果。
(かかとのガサガサ) - ケラチナミンは顔に塗ってはいけないことはないが、顔にはヒルドイド、ビーソフテン(ヘパリン類似物質)がおすすめ。
- ケラチナミンとウレパールの決定的な違いは尿素濃度。
- ケラチナミンは尿素20%クリーム。
- ウレパールは尿素10%クリーム。
- ケラチナミンクリームは、1日1回以上入浴後すぐにすり込むのが効果的。
コメント