調剤報酬明細書の見方 夜間、休日、時間外加算で薬代はどう変わる?薬価改定前後を比較

調剤報酬明細書

医療機関は、領収書と明細書を無料で発行します。

「医療費の中身を知ってもらうことが、医療費削減になるだろう」という思惑の元に薬局では調剤明細書が発行されています。

しかし、薬局で渡される調剤明細書はいらない。見てない。という方が多数です。

調剤明細書をじっくりと見たことがあるでしょうか?

調剤明細書には、調剤報酬(薬代)の計算根拠が書かれています。

2016年4月の調剤報酬改定、薬価改定で、調剤報酬(薬代)にどのような影響を与えたかを、処方例で解説します。

健康保険では、1点を10円として計算します。

スポンサーリンク

調剤報酬の計算に使用する薬局情報と処方

次の条件の薬局で処方された薬の調剤報酬の計算方法を解説します。

薬局の情報

 調剤報酬 改定前 改定後
調剤基本料 41点 41点
基準調剤加算 1を算定 未算定
薬剤服用歴管理指導料 41点 50点
処方せん受付時間 10:00
処方内容
処方1 パリエット錠20mg 1錠
        寝る前 30日分
処方2 リピトール錠10mg 1錠
     ザイザル錠5mg    1錠
     ブロプレス錠8mg   1錠
        夕食後 30日分
処方3 ガスターD錠20mg  2錠
       朝夕食後 30日分
処方4 シムビコート  60吸入 
     1キット
          寝る前 吸入
処方5 アンテベート軟膏 10g
     プロペト     10g
        膝に1日2回塗布
処方6 ブスコパン錠10mg 1錠
        腹痛時 10回分

処方1~3は一包化する
処方3は薬剤師の疑義照会で処方削除
処方5は混合する

疑義照会とは
薬剤師が、処方せんを発行した医師に電話・FAXで問い合わせること。
薬の用法や用量などに疑問があるときに照会される

調剤明細書の基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算、調剤料

こちらを先に読むと理解が深まります。

2016年調剤報酬改定後の調剤基本料、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算
2016年調剤報酬改定によって、調剤基本料、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算の算定要件と点数が大きくかわり、薬局は大きな方向転換を迫られています。

調剤明細書解説

改定前 調剤報酬改定後
調剤基本料:41点 調剤基本料1:41点
基準調剤加算1:12点 基準調剤加算:0点
後発医薬品調剤体制加算:0点
合計:53点 合計:41点

調剤基本料、基準調剤加算、後発医薬品調剤体制加算は、2016年調剤報酬改定後、8点マイナスです。

調剤明細書の調剤料

【調剤報酬(薬代)】一包化加算、内服薬、外用薬の調剤料の計算
薬代(調剤報酬)はどこの薬局でもらっても同じ値段ではありません。薬局の薬代には、調剤するときや、患者さまに薬の説明するときに技術料や指導料がかかるためです。【一包化動画有】

内服薬の調剤料

処方1 パリエット錠20mg 1錠
        寝る前 30日分
処方2 リピトール錠10mg 1錠
     ザイザル錠5mg    1錠
     ブロプレス錠8mg   1錠
         夕食後 30日分
処方3 ガスターD錠20mg  2錠
        朝夕食後 30日分

調剤明細書解説

 調剤報酬 改定前 改定後
処方1 81点 80点
処方2 81点 80点
処方3 0点

内服薬の調剤料は、2016年調剤報酬改定後、2点マイナスです。

参考:内服薬の調剤料

調剤日数 改定前 改定後
7日分以下 1日分につき5点
8日分~14日分 35点+1日分につき4点
15日分~21日分 一律71点 一律70点
22日分~30日分 一律81点 一律80点
31日分~ 一律89点 一律87点

外用薬の調剤料

処方4 シムビコートー60吸入
     1キット
                         寝る前 吸入
処方5 アンテベート軟膏 10g
     プロペト     10g
                     膝に1日2回塗布

調剤明細書解説

 調剤報酬 改定前 改定後
処方4 10点
処方5 10点

外用薬の調剤料は、2016年の調剤報酬改定による影響はありません。

頓服薬の調剤料

処方6 ブスコパン錠10mg 1錠
                     腹痛時 10回分

調剤明細書解説

 調剤報酬 改定前 改定後
処方6 21点

頓服薬の調剤料も、2016年の調剤報酬改定による影響はありません。

一包化加算(一包化薬)調剤料

42日以下の一包化加算(一包化薬)は、調剤報酬改定による影響はありません。

32点 +32点×4(28日分)=160点

調剤報酬改定前

一包化調剤日数 点数
1日分~7日分 32点
8日分~56日分 32点+7日ごとに32点加算
57日分以上 一律290点

調剤報酬改定後

一包化調剤日数 点数
1日分~7日分 32点
8日分~42日分 32点+7日ごとに32点加算
43日分以上 一律220点

調剤料合計

 調剤報酬 改定前 改定後
内服薬 162点 160点
外用薬 20点
頓服薬 21点
一包化加算 160点
合計 363点 361点

調剤料全体では、2016年の調剤報酬改定後、2点マイナスです。

調剤明細書の加算料

こちらを先に読むと、理解が深まります。

薬局は受付時間で薬代が違う!夜間、休日、時間外加算 向精神薬、麻薬加算とは?
薬局は処方箋受付時間によって「夜間・休日等加算」「時間外・休日・深夜加算」が算定できます。同じくすりなのに薬代がいつもと違うのは、たいていこの加算が原因です。

処方5 アンテベート軟膏 10g
     プロペト     10g
                膝に1日2回塗布

調剤明細書解説

特に混合指示はありませんが、軟膏剤・クリーム剤・散剤・シロップ剤が処方でまとめて処方されているときは、「混合する」と解釈します。

計量混合加算(軟膏)80点

加算料合計80点

2016年の調剤報酬改定では、軽量混合加算の点数の変更はありませんでした。

調剤明細書の薬学管理料

こちらを先に読むと、理解が深まります。

薬学管理料は薬剤師が服薬の情報提供、支援したときの加算料
【2016年調剤報酬改定対応】乳幼児服薬指導加算、外来服薬支援料、薬剤服用歴管理指導料、かかりつけ薬剤師指導料、重複投与相互作用防止加算、 服薬情報等提供料など)を解説します。

 調剤報酬 改定前 改定後
薬剤服用歴管理指導料 41点 50点
(38点)
重複投与相互作用防止加算 20点 30点
薬学管理料合計 61点 80点

調剤明細書解説

パリエット錠20mg(PPI)とガスターD錠20mg(H2ブロッカー)は、通常併用することはありません。

薬剤師が医師に疑義照会し、相互作用防止のため処方削除。

20点(改定後は30点)算定します

2016年の調剤報酬改定で薬剤服用歴管理指導料が50点と38点に変更になりました

お薬手帳で料金が40円安くなる!?忘れたときはシールでもOK?義務化へ前進?
お薬手帳を薬局に持参すると、2016年3月までは20円の料金の自己負担がありました。しかし、2016年4月1日の調剤報酬改定後は料金が40円安くなることになりました。

調剤明細書の薬剤料

こちらを先に読むと、理解が深まります。

薬代(調剤報酬)の計算方法 薬剤料 特定保険医療材料料【2016年新薬価対応】
薬剤料は薬価と単位薬剤料を使って計算します。調剤報酬はパソコンで自動計算しますので、計算方法は意識的に学ばないとわかりません。

処方1 パリエット錠20mg 1錠
                     寝る前 30日分

(処方1)調剤報酬改定前後の調剤明細書解説

 薬価 改定前 改定後
薬価 249.5円 218.9円
単位薬剤料 25点 22点
処方1薬剤料
(単位薬剤料×30日分)
750点 660点

処方2 リピトール錠10mg 1錠
     ザイザル錠5mg    1錠
     ブロプレス錠8mg   1錠
         夕食後 30日分

(処方2)調剤明細書解説

 薬価 改定前 改定後
薬価合計 349.3円 321.3円
単位薬剤料 35点 32点
処方1薬剤料
(単位薬剤料×30日分)
1050点 960点

処方3 ガスターD錠20mg  2錠
       朝夕食後 30日分

(処方3)調剤明細書解説

削除のため計算しない

処方4 シムビコート60吸入
    1キット
          寝る前 吸入

(処方4)調剤明細書解説

 薬価 改定前 改定後
薬価 5,892.8円 5877.7円
単位薬剤料 589点 588点
処方4薬剤料 589点 588点

処方5 アンテベート軟膏 10g
     プロペト       10g
       膝に1日2回塗布

(処方5)調剤明細書解説

 薬価 改定前 改定後
薬価合計 335.3円 310.4円
単位薬剤料 34点 31点
薬剤料合計 34点 31点

処方6 ブスコパン錠10mg 1錠
        腹痛時 10回分

(処方6)調剤明細書解説

 薬価 改定前 改定後
10回分薬価 72円 69円
単位薬剤料 7点 7点
薬剤料 7点 7点

処方全体の薬剤料

 薬剤料 薬価改定前 薬価改定後
処方1 750点 660点
処方2 1050点 960点
処方3 0点
処方4 589点 588点
処方5 34点 31点
処方6 7点 7点
合計 2430点 2246点

処方全体の薬剤料は、2016年の薬価改定で184点マイナスです。

調剤明細書の合計点数

  改定前 改定後
調剤基本料 41点 41点
基準調剤加算 12点 0点
調剤料 363点 361点
加算 80点 80点
薬学管理料 61点 80点
薬剤料 2430点 2246点
合計 2987点 2808点

調剤報酬前の調剤報酬(薬代)

3割負担のため

2987点×10円×30%=8,961円

10円以下の端数は四捨五入して
8,960円が調剤報酬(薬代)です。

調剤報酬後の調剤報酬(薬代)

3割負担のため

2808点×10円×30%=8,424円

10円以下の端数は四捨五入して
8,420円が調剤報酬(薬代)です。

2016年の調剤報酬改定による調剤報酬(薬代)の影響は、540円の減算です。

処方箋受付が時間外の場合の調剤報酬

こちらの記事を先に読むと理解が深まります

薬局は受付時間で薬代が違う!夜間、休日、時間外加算 向精神薬、麻薬加算とは?
薬局は処方箋受付時間によって「夜間・休日等加算」「時間外・休日・深夜加算」が算定できます。同じくすりなのに薬代がいつもと違うのは、たいていこの加算が原因です。

薬局通常営業中に19:30に処方箋を受付
(夜間休日等加算)

夜間休日等加算40点が加算されます。

  改定前 改定後
調剤報酬合計 2987点 2808点
夜間休日等加算 40点
総合計 3027点 2848点
薬代(3割負担) 9080円 8540円

夜間休日等加算40点(120円)のプラスのみで、調剤報酬改定による影響はありません。

薬局営業終了後の21:00受付
(時間外加算)

この営業形態での受付時間帯は、時間外加算の対象です。

  改定前 改定後
調剤基本料 41点 41点
基準調剤加算1 12点 0点
調剤料(一包化加算除く) 203点 201点
合計
(時間外加算、休日加算
深夜加算の基礎点数)
258点 242点

合計の258点(改定前)、242点(改定後)の100%が時間外加算として加算されます。

  改定前 改定後
調剤報酬合計 2987点 2808点
時間外加算(100%) 258点 242点
時間外加算後合計 3245点 3050点
薬代(3割負担) 9740円 9150円

2016年の調剤報酬改定・薬価改定前で780円アップ、改定後で730円のアップです。

休日の10:00受付
(休日加算)

この時間帯は、休日加算(140%)の対象です。

2016年の調剤報酬改定・薬価改定前

2987点 + (258点×140%)
 ≒ 3345点
3345点 × 10円 × 30%
   = 10,035円

10,040円が調剤報酬(薬代)です(1,080円アップ)

2016年の調剤報酬改定・薬価改定後

2808点 + (242点×140%)
 ≒ 3146点
3146点 × 10円 × 30%
   = 9,438円

9440円が調剤報酬(薬代)です(1,020円アップ)

薬局営業終了後の23:00受付
(深夜加算)

この時間帯は、深夜加算(200%)の対象です。

2016年の調剤報酬改定・薬価改定前

2987点 + (258点×200%)
 = 3503点
3503点 × 10円 × 30%
   = 10,509円

10,510円が調剤報酬(薬代)です(1,550円アップ)

2016年の調剤報酬改定・薬価改定後

2808点 + (242点×200%)
 = 3292点
3146点 × 10円 × 30%
   = 9,876円

9880円が調剤報酬(薬代)です(1,460円アップ)

まとめ

2016年の調剤報酬改定・薬価改定前

  薬代 薬代差額 自己負担増加率
通常受付 ¥8,960 ¥0 0%
夜間休日等加算 ¥9,080 ¥120 101%
時間外加算 ¥9,740 ¥780 109%
休日加算 ¥10,040 ¥1,080 112%
深夜加算 ¥10,510 ¥1,550 117%

2016年の調剤報酬改定・薬価改定後

  薬代 薬代差額 自己負担増加率
通常受付 ¥8,420 ¥0 0%
夜間休日等加算 ¥8,540 ¥120 101%
時間外加算 ¥9,150 ¥730 109%
休日加算 ¥9,440 ¥1,020 112%
深夜加算 ¥9,880 ¥1,460 117%

まとめ

何かと不人気の調剤明細書ですが、一度ご確認いただくと色々なことが分かってきます。

薬局の調剤明細書だけではなく、病院などの明細書にも、診察代の根拠となった数字が記載されています。

2016年の調剤報酬改定・薬価改定以降、ほとんどの方の薬代が少し安くなると考えられます。お薬手帳の持参もよろしくお願いします。