夜尿症アラームと夜尿症薬ミニリンメルトを使っても、おねしょの改善率は60%~70%程度といわれています。
一般的に、5歳くらいまでの夜間の尿漏れ(夜尿)をおねしょといい、5歳くらい以降の夜尿を夜尿症といいます。
最近では「夜尿症は早めに治療してしまおう」という考え方に変わってきていますが、
今だに「恥ずかしい、隠しておきたい」という考え方が根強く残っています。
夜尿症アラームと夜尿症薬ミニリンメルトを使って子供のおねしょ治療に入る前に、もしくは、2つの治療法と併用したい自然治癒を促進するおねしょ対策があります。
自然治癒系のおねしょ対策でも、おねしょは20%程度は改善できるのではないかといわれています。
5歳を超えてもおねしょは自然治癒しない
おねしょ回数の多い少ないを考慮しなければ、
小学生入学時では10%くらいの子供は夜尿症であり、夜尿症人口は50万人~80万人程度いると推察されています。
つまり、小学校入学時では10人に1人くらいはおねしょは治っていません。
クラスに3人~4人は夜尿症なのです。
– | 5歳 | 6歳 | 7歳 | 8歳 | 9歳 | 10歳 |
---|---|---|---|---|---|---|
夜尿症患者割合 | 16% | 13% | 10% | 7% | – | 5% |
日本の夜尿症患者の疫学調査のデータが得られないため、
夜尿症診療ガイドライン(2016年版)の欧米の報告を引用
夜尿症は治療をするかどうかの判断は、家族にゆだねられている面もあり、結構な夜尿症の子供が放置されている状態と考えられます。
- 恥ずかしくて相談できない
(年齢が高い場合は特に?) - 近くに夜尿症に詳しい医師がいない。いてもわからない
- 何科(小児科?泌尿器科?一般内科?)に受診すべきかわからない
- いまだに夜尿症の原因が「だらしない」「しつけがよくない」と考えられている
夜尿症の子供におむつを使う
夜尿症の子供のおむつの使用については賛否両論あります。
- おむつをすると、夜尿症が治る時期が遅れる(もしくは早くなる)
- おむつは子供の自尊心を傷つける
- おむつ代がかかる
子供におむつを使うとおむつ代がかかるのは事実ですが、
「おむつをすると、夜尿症が治る時期が遅れる(もしくは早くなる)」という証拠はありません。
子供がおむつを嫌がらない場合は、寝るときだけおむつをするのがおすすめです。
(5歳くらいまでならば許容してくれるかもしれません)
なぜなら、おむつをしておけば、朝のシーツの洗濯などの後片付けがなくなり、お母さんのストレスが軽減するからです。
子供がおむつを嫌がる場合は、無理におむつをするのは精神衛生上よくないです。
その際は、おねしょシーツ(防水シーツ)を使ったり、ちょっと高級なビニールシートを敷きパッドの下に挟みこんだりして、おねしょ対策するのがストレス軽減に有効です。
おねしょ対策1: 定時に起こすのはNG
「子供が睡眠中は起こさない」
おねしょをする前に子供を起こしておねしょを防止することは、最高のおねしょ対策かもしれません。
しかし、決まった時間に子供を起こしてしまうと、
膀胱が大きくなるのを妨げたり、膀胱で尿をためる機能が発達するのを阻害する可能性があります。
夜尿症治療では、子供がおねしょに気付くことが重要です→アラーム治療
おねしょ対策2: 子供を怒るのはNG
「おねしょしても怒らない、あせらない」
おねしょをする前に起こしてはいけないので、多い場合は毎日おねしょの後片付けをしなくはなりません。
そのため、お母さんのストレスがマックスになるかもしれません。
でも、怒ってはいけません。
おねしょは、子供本人がコントロールできません。
バソプレシン(抗利尿ホルモン)分泌量、膀胱容量、遺伝などが原因です。あせっても怒っても夜尿症は治りません。
怒ることで心理的にプレッシャーとなり、プレッシャーがおねしょの原因にもなります。
また、朝に怒られると一日の生活の質が低下します。
怒っているお母さんも、子供のころにおねしょで怒られた経験はありませんか?
夜尿症は遺伝的要素があります。
おねしょ後の片付けは、おむつ、おねしょシーツで対策しましょう。
おねしょ対策3: 兄弟との比較はダメ
「兄弟・友達と比較しない」
兄弟(姉妹)の年齢が近い場合などは、お兄ちゃん(お姉ちゃん)はおねしょが治らないが、その弟(妹)の方が先におねしょが治ることはよくあります。
(一般的に第一子>第二子>第三子の順番で、夜尿症の頻度は高いです)
「弟(妹)は賢いのに、何でおねしょするの?」
口が裂けても言ってはいけません。残酷な言葉です。
表情に現れなくても深く自尊心が傷ついています。
おねしょ対策4: 水分の飲みすぎはダメ
「夕食後水分はできるだけ控える」
夜尿症薬ミニリンメルトを飲み出すと、夕食後以降の水分は制限されます。
ミニリンメルトを使わないときでも、摂取した水分が少なければ作られる尿も少なくなります。
水分制限は基本的なな対策ですが、意外と盲点になっています。
おねしょ対策5: 寝る前はトイレへ
「寝る前は必ずトイレを済ましておく」
蓄尿量を確保するために、先に尿量0にリセットします。これも簡単な対策です。
おとなの頻尿対策
おねしょ対策6: 塩分の摂りすぎはNG
「塩分をとりすぎない」
塩分とおねしょは関係なさそうですが、間接的におねしょ対策になります。
- 塩分を取ると喉が渇くので、水分を摂取していしまう(対策4関係)
- 体内の塩分量は一定でなくてはいけません。
塩分を取りすぎると、尿を作り塩分を体外に排泄しようとします
おねしょ対策7: 冷え対策は万全に
「冬は布団から飛び出さないように、冷え対策をする」
昼間でも体が冷えるとブルっときてしまいますね。
寝ている間に冷えると、ブルっとおねしょする可能性があります。
真夏の外出時などはトイレの回数は減ります。
水分が発汗によって体外へ出ていくからです。
しかし、冬は汗をかく量が減ります。水分を体外に出すためにトイレの回数が自然と増えます。
おねしょ対策8: ほめ上手は子育て上手
「おねしょをしなかったら、とにかくほめる」
精神論的対策かもしれませんが、子供はほめ言葉が大好きです。
子供が真剣に取り組んでくれなくては夜尿症の治療は進みません。大人の空回りになってしまいます。
いい言葉は、いい結果を生みます。
まとめ
- 夜尿症を放置すると、漏らすのではないかという緊張と不安が原因で、学校の宿泊行事が楽しめなくなる
- おねしょは自然治癒するが、学校で宿泊行事等の予定がある場合は、早期治療も検討する
- おねしょは自尊心(プライド)を傷つけ、劣等感を植え付ける要因
- おねしょ対策8選だけでも、自然治癒が高まり、夜尿症は克服できる可能性がある
- 夜尿症の子供におむつを使うことは賛否両論あるが、子供が嫌がらないならおむつは積極的に使用する
- おねしょ対策の基本は、ほめる、怒らない、あせらない
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