不動産投資では、投下した現金から多くのキャッシュフローを得ることが重要です。
不動産投資ローンの使用で、自己資金(現金)以上の不動産投資が行えている場合、次のように表現します。
- レバレッジ効果プラス(+)
- 正のレバレッジ
- レバレッジが効いている
- Leverage Position Positive
不動産投資のレバレッジはもろ刃の剣で、レバレッジのかけ方が大切です。
不動産投資のレバレッジ効果とイールドギャップについて解説します。
純収益(NOI) 真の利回り(FCR) 自己資金の利回り(CCR) ローン定数(K%)
本記事は、不動産投資指標の使い方の最終記事です。
そのため、多くの不動産投資用語を使用します。
初心者の不動産投資家は、最初の記事からの熟読をおすすめします。
表面利回りと実質利回り
表面利回りはあるがままの利回り
実質利回りは、不動産投資では避けられない空室と経費(運営費)を考慮した利回り
真の利回り(FCR)
FCRとは、全額現金で投資したらどのくらいのキャッシュフローを得られるのかを示す利回り。
自己資金の利回り(CCR)
CCRとは、投下した自己資金に対する利回り。
ローン定数(K%)
ローン定数(K%)とは、ローンの調達コストのことです。
不動産投資のレバレッジ効果とは
レバレッジとは、他人資本で自己資本に対するキャッシュフローを多くすることです。
不動産投資のレバレッジとは、ローンを使ってキャッシュフローを多くすることです。
株式投資の通常取引は、投下したした自己資金のみからキャッシュフローを得られます。
株式投資の信用取引や外国為替証拠金取引(FX)は、証拠金(しょうこきん)を使ってレバレッジ効果を狙えます。
そして、不動産投資は自己資金だけでなく、ローンの金額に対してもキャッシュフローを得ることができ、レバレッジ効果を狙えます。
しかし、ローン金額に対してもキャッシュフローを得られる(レバレッジ効果プラス)かどうかは、FCRとK%の比較で決まります。
不動産投資のレバレッジ効果はK%とFCRの比較でわかる
K%は不動産投資ローンの調達コストのことでしたね。
K%はFCRと比較してイールドギャップを調べることで、レバレッジ効果の判断ができます。
イールドギャップとは
イールドギャップとは、直訳すると金利差(Yeild Gap:YG)です。
不動産投資のイールドギャップとは、FCRとK%の差を言います。
金利とFCRとの差をイールドギャップと解説している場合がありますが、不動産投資では金利とFCRを比較しても何も解決しません。
不動産投資では、FCRとK%を比較します。
イールドギャップが大きければ、レバレッジ効果も強くなります。
不動産投資のレバレッジ効果プラス =イールドギャップ+
【FCR > K%】のときは、
イールドギャップがプラスになり、レバレッジもプラス(正のレバレッジ)になります。
なぜなら、不動産の持つ収益力を示すFCR方が、不動産投資ローンの調達コストを上回っているからです。
イールドギャップ+
↓正のレバレッジ効果が働く
正のレバレッジ効果
不動産投資のレバレッジ効果なし =イールドギャップ0
FCR = K%という状況にはあまり出会いません。
【FCR = K%】のときは、
イールドギャップがなくなり、理論上レバレッジ効果はありません。
不動産投資のレバレッジ効果マイナス =イールドギャップ-
【FCR < K%】のとき、
イールドギャップは-になり、レバレッジもマイナス(負のレバレッジ)になります。
なぜなら、不動産の持つ収益力を示すFCRが、不動産投資ローンの調達コストを下回り、ローンが不動産投資の足かせになっているからです。
イールドギャップ-
↓負のレバレッジ効果が働く
負のレバレッジ効果
不動産投資のレバレッジ効果はCCRに影響する
不動産投資にレバレッジ効果が働いた場合は、次のようになります。
不動産の持つ収益力を示すFCRに、ローン使用分の利回りがプラスされ、自己資金の利回り(CCR)が加速するからです。
不動産投資にレバレッジ効果が働かなかった場合、もしくは負のレバレッジが働いた場合は、次のようになります。
CCRがFCRより小さいということは、不動産ローンを使ってまで投資するような不動産ではなかった。
もしくは、不動産投資ローンを使うと利回りは下がることを示しています。
(現金投資が有利)
不動産投資のレバレッジ効果の実例
レバレッジ効果マイナス
こちらの記事にあった不動産とローンの関係は、レバレッジ効果マイナスでした。
マンション価格 | 1000万円 |
想定家賃 | 6万円 |
空室率 | 10% |
固定資産税 | 年間4万円 |
管理委託料 | 家賃の5% |
管理費・修繕積立金 | 1万円 |
購入諸費用 | 83.38万円 |
ローンの金額(90%融資) | 900万円 |
元利均等返済 金利 | 2.5% |
ローンの期間 | 30年 |
純利益(NOI) | 455,600円 |
FCR | 4.39% |
CCR | 1.57% |
この条件の不動産投資ローンのK%を計算すると
=(年間返済総額 / 残高)×100
=(426,720円 / 900万円)×100
= 4.74%
>4.39%(FCR)
ローン調達コストがFCRより上回り、
イールドギャップマイナス分(0.35)の負のレバレッジがかかるからです。
レバレッジ効果プラスにするための実例
不動産ローンの条件は、属性や不動産の価値によって決まります。
不動産投資の負のレバレッジを打開するためには、FCRがK%4.74%を超える(イールドギャップを取れる)不動産を探すのが現実的です。
同じ条件で、家賃が1万円増の7万円の不動産であれば、FCR4.74%をかなり超えます。
=[NOI /(価格 + 購入諸費用)]×100
=[558,200円/(1000万円+83.38万円)]×100
=5.15%
純利益(NOI)
=年間予想家賃-空室損-経費(運営費)
=558,200円
- 年間予想家賃=84万円
- 空室損=84万円×10%
- 経費(運営費)
=管理委託料+管理費等+固定資産税
=(84万円×90%×5%)+12万円+4万円
=197,800円
CCR
=(キャッシュフロー / 自己資金)×100
=(131,480円 / 183.38万円)×100
=7.17%(レバレッジ+)
- キャッシュフロー
=純利益(NOI)-ローンの年間返済総額(ADS)
=558,200円-426,720円
=131,480円 - 自己資金
=不動産価格+購入諸費用-ローン金額
=1000万円+83.38万円-900万円
=183.38万円
まとめ
- 不動産投資のレバレッジ効果は、真の利回り(FCR)とローン定数(K%)を比較する
- FCRとK%の差をイールドギャップという
- イールドギャッププラス
=不動産投資のレバレッジプラス - イールドギャップマイナス
=不動産投資のレバレッジマイナス
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