失敗しない不動産投資家は効率性分析指標NOI,FCR,CCR,K%,CFを使う

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不動産投資では、表面利回りを使われることが多いです。

しかし、この表面利回りはクセモノで、不動産の投資効率性と安全性の比較や分析には向きません。

表面利回りの代わりに使用したい、不動産の投資効率性を示す分析指標は、NOI、FCR、CCRです。

FCRとCCRの理解のためには、K%とCFの知識が必要です。

  • NOI(ネット利回り)
  • FCR(真の利回り)
  • CCR(自己資金に対する利回り)
  • K%(ローンコンスタント)
  • CF(キャッシュフロー)

これらの分析指標を使うことで、不動産投資に次のような失敗する確率が激減します。さらに、失敗していない不動産投資家は、これらの分析指標をみんな知っています。

  1. 思ったより利益がでない不動産を買ってしまった
  2. ローンを使ったけど、レバレッジ効果がなかった

もし、NOI、FCR、CCR、K%、CFの分析指標を知らずに、失敗していない不動産投資がいるならば、次のどれかでしょう。

  1. 強運の持ち主(うらやましい)
  2. 不動産を紹介している不動産会社、または担当者がすばらしい
  3. 腕のいい不動産コンサルタントを雇っている

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不動産投資でローンを使う理由

不動産投資とローンは切っても切れない関係です。条件のいい有利なローンを組めるかどうかも不動産投資の成功・失敗に大きく関わってきます。

住宅ローン審査 落ちた理由を探る8つのヒントと属性対策
住宅ローンの壁は審査です。審査基準の詳細は明らかにされていませんが、何社かのヒアリングを元に銀行名も書ける範囲で公表します。落ちた理由もきっとここにあります。

1.自己資金を補うため

不動産を購入するには多額の資金が必要です。それを補うためです

2.銀行が貸してくれるから

株式投資・投資信託・FX(外国為替証拠金取引)など、多くの投資方法がありますが、不動産投資が唯一、銀行からお金を借りて行える投資です

3.レバレッジ効果を狙うため

レバレッジとは、他人資本(不動産投資の場合はローン)を使うことで、自己資本に対する利益率(CCR)を高めることです。

投資は投入した自己資金のみにリターンを得られます。

不動産投資はローンが使用できますので、ローンの総額に対してもリターンを得ることができます。

しかし、ローン総額に対してもリターンを得られるかどうかは、後述するFCRとK%の比較により決まります。

失敗する不動産投資家はネット利回り(NOI率)を知らない

不動産を運営するためにかかる経費を考慮した利回りが、ネット利回り(NOI率)です。

不動産投資で表面利回りは失敗の元!NOI利回り(ネット利回り)、キャップレート、収益還元法を使おう
表面利回りは空室率・経費等を全く考慮していないため、あてにならない指標です。表面利回り20%の物件でも、実際の手残りを計算した利回りは10%を切ることもあります。嘘?と思うかもしれませんが、それが現実です。

FCR(真の利回り)を知らずに失敗する不動投資家

FCR = NOI  / (不動産価格+諸費用)

不動産投資失敗の原因は表面利回り プロは収益還元法を使う』の記事でネット利回り(NOI率)について説明しました。

さらに厳しい利回りの考え方(分析指標)が存在します。

それはFCR:Free and Clearly Return(真の利回り)です。

FCRとネット利回り(NOI率)との違いは

  • 真の利回り(FCR)
    不動産購入諸費用を考慮する
  • ネット利回り(NOI率)
    不動産購入諸費用を考慮しない

FCRは不動産そのものがもつ収益力を示す、効率性分析指標です。

FCRが購入当時から低い場合、失敗する可能性が高いです。なぜならば、FCRは不動産の建物の劣化とともに下がっていくものだからです。

不動産購入時の主な諸費用

中古の場合は、購入不動産の5%(一棟マンション)~12%程度(ワンルームマンション)になります。

不動産購入の主な諸費用をみていきましょう。

中古マンション購入にかかる仲介手数料、手付金の相場と値引き
購入諸費用と税金は、大したことがないと思っていると、結構痛い目に合います。1.手付金 2.仲介手数料 3.印紙税 この3つで数百万が相場です。
中古マンションを住宅ローン使って購入するときの諸費用と税金
住宅ローンを組む場合、手数料、保証料、登録免許税等の諸費用と税金等の合計は100万円くらいになります。その内訳について解説します。

不動産取得税

不動産取得税は、不動産購入後の忘れたころ(都道府県により異なるが、約半年後)にやってくる地方税です。

支払い期限(通知日から約1カ月以内)までに銀行等で納付します。

税金は支払わないと不動産を差し押さえられ、出だしで失敗。終了。となることがあります。購入した不動産から得られるキャッシュは、この支払いのために不動産取得税を支払い終えるまでは貯めておきましょう。

20㎡クラスのワンルームマンションの不動産取得税は8万~10万円程度です。

高額不動産を除く自宅ファミリーマンション等は、不動産取得税の軽減処置(税額の軽減特例)を受けられますので、実質0円です。ただし、軽減には条件があります。

司法書士費用

司法書士に支払う手数料と税金(登録免許税・印紙税)等です。

地域とローン総額にもよりますが、約20万円(ワンルームマンション)~です。

その他の不動産購入時諸費用

  • 消費税(建物に課税)
  • 銀行ローン事務手数料
  • 提携ローン事務手数料
  • 固定資産税・都市計画税の日割り分
  • 火災保険料・地震保険料
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火災保険に入っているから、火事が起こっても保険金がおりるから安心!保険金で新家を買い換えよう!と思っている方は、残念ですが買い変えられません。その理由を説明します。さらに保険は万能でもありません。
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地震や津波に危機感を持つ方は増えつつありますが、まだまだ地震保険加入率は低いです。都道府県別でも温度差があります。
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中古マンションを購入した時は、決済時に固定資産税と都市計画税を売主と買主が負担し合うことになります。その清算方法には「関東式」と「関西式」の2種類があります。

FCRの計算

次の条件のワンルームマンションを購入した場合の、FCRを計算してみましょう。

年間賃料(家賃)  72万円
稼働率 90%
固定資産税・都市計画税 年間4万円
管理委託料 賃料(家賃)の5%
管理費・修繕積立金  年間12万円

不動産価格 700万円
諸費用総額 70万円

NOI
=72万円 ×90%-{4万円 +(72万円 ×90% ×5%)+12万円}
= 45.56万円
表面利回り
= 72万円 / 700万円
= 10.23%
ネット利回り(NOI率)
= NOI / 700万円
= 6.51%
真の利回り(FCR)
= NOI /(700万円+70万円)
= 5.92%

【表面利回り】    >【ネット利回り(NOI率)】    >【FCR】です。例外なくこのようになります。

表面利回り>ネット利回り>FCRを証明する図

 

表面利回りが10.23%のため、700万円の投資にたいして毎年70.23万(10.23%)の利益がでると思い、ローンを組む方は失敗します。

これは、不動産投資を初めて間もない投資家が陥りやすい失敗の典型例です。

FCRは現金で購入したときの、不動産そのものが持つ投資効率(収益性)を表す分析指標です。

この条件のワンルームマンションの収益は45.56万円(NOI)と予想します。現金購入時の効率性を示す分析指標FCRがそれを教えてくれます。

これををもとにローンを組んでいたならば、失敗はしないでしょう。

不動産投資は、自己資金と銀行からの借り入れ資金を分けて考えることが重要です

次は、ローンを使った場合の投資をみていきましょう。

安全性に着目した投資分析指標

失敗しない不動産投資分析:安全性判断指標(DCR,LTV,BER,PB)
リスクとリターンは相反するため、投資効率と安全性の両立は困難です。DCR(債権回収比率)、LTV(借入金比率)、BER(損益分岐率)、PB(自己資金回収期間)。4つの指標を使って安全性を判断します。

CCR (自己資金の利回り)で失敗する不動産投資

CCR = キャッシュフロー / 自己資金

※自己資金
不動産価格+購入諸費用-銀行借入額

CCR:Cach on Cach Returnの略語です。

CCRは、投下した自己資金に対してどれくらいのリターンがあるかを示す投資分析指標になります。ローンを組んだ後の利回りとして使われることが多いです

売却から入る不動産購入

【マンション売却】残債が相場価格以上のときは売れない?
不動産は帳簿上は資産ですが、事実上の負債となる場合もあります。負債不動産と判明した場合は、売却することもできません。そうならないために、バランスシートを使った考え方をマスターしましょう。

CF:キャッシュフローの計算

CFとは、Cash Flow:現金の流れ(おもに流入量)のことを言います。

CF=ネット収入(NOI)
  -銀行への支払い額(※ADS)

※ADS(エーディーエス:Annual Debt Service):年間の元金と利息の支払い額合計(年間返済総額)のこと

古い本ですが、ロバート・キヨサキ氏の「金持ち父さん貧乏父さん」に頻出するあのキャッシュフローです。

不動産投資家を志す方であれば、読んだことがあると思います。

さらに、2作目の「キャッシュフロークワドラント」はお金の稼ぎ方をわかりやすく解説した最良の教科書です。

次の条件のワンルームマンションのCF(キャッシュフロー)を計算してましょう。

不動産価格 700万円
ローン金額 640万円
返済年数 30年
年間金利 3%
元金均等払い

年間の返済額合計 =323,784円

CF(キャッシュフロー)
 = 455,600円 - 323,784円
 = 131,856円

CCR(自己資本配当率)の計算

次の条件のワンルームマンションのCCRを計算してみましょう。

年間賃料(家賃)  72万円
稼働率 90%
固定資産税・都市計画税 年間4万円
管理委託料 賃料(家賃)の5%
管理費・修繕積立金  年間12万円

不動産価格 700万円
諸費用総額 80万円
ローン金額 640万円
自己資金 140万円
返済年数 30年
元利均等払い

CCR
=  CF /  自己資金
= 131,856円  /  140万円
= 9.42%

ローンを使うことにより、投資効率が3.57%増加しました。

【CCR:9.42% > FCR:5.84%】のように、ローンを使うことでCCR>FCRすることができます。このことをレバレッジが効いているといいます

K%(ローンコンスタント)

K%(ローンコンスタント)とは、年間のローンの調達コスト(単位は%)のことです。

K%(ローンコンスタント)
=年間返済総額(ADS) / ローン残債

K%はコストですので、低いほど有利な融資が獲得できているということです。

K%を下げるためには

  1. 融資期間を延ばす
  2. 金利を下げる

のどちらかを行います。

例えば、2つの融資条件があるとします

  条件① 条件②
金利 1% 3%
融資期間 15年 30年
融資金額 1000万円 1000万円
元利均等払い

金利が1%の①の方が有利な融資のように見えますが、K%を計算すると

①K%= 718,188円 / 1000万円
    =   7.18%
②K%= 505,920円 / 1000万円
    =   5.06%

となり、②の方が、K%のみを考えると有利な融資で、長期にわたって失敗する可能性を低くします。

ただし、②は返済期間が長いため、支払い初期は元金の支払いが少なく、残債(ローン残高)がなかなか減っていかないというデメリットもあります。

減価償却期間以上に長い融資期間を設定すると、後半の税金の支払いが心配になります。

K%を使った繰り上げ返済の考え方

住宅ローンの繰り上げ返済のメリットとコツ 効果も計算してみよう
返す資金があるならば、より効率のいい投資先に回す。将来の教育増に備える。というのが私の持論です。それでも繰り上げ返済をしたい方は、効果を計算してから実行にうつしましょう。

K%とFCRとCCRの比較(レバレッジ効果)

K%はコストのことでしたが、FCRと比較をすることで、レバレッジ効果の判断ができるようになり、分析指標としても使えます。

FCR > K% のときは
レバレッジがプラス(正のレバレッジ)となります。なぜなら、銀行の調達コストK%より不動産の持つ収益力FCRの方が勝っているからです。

また、FCRとK%の差をイールドギャップと言います。イールドギャップが大きければ、レバレッジも効果も大きくなります。

FCR 現金購入 5.92%
ローンを使って購入 5.84%
K% 5.06%

※ローンと現金で購入した場合のFCR
  = 45.56万円 / (700万 +80万)

つまり、ローン諸費用も考慮した
FCR(5.84) >K%(5.06)
となっている場合は

CCR >FCR >K%となり、
正のレバレッジが働きます。

CCR <FCR <K%

この状態を負のレバレッジと呼び、融資を受けることにより、収益力が低下している状態です。融資に関しては失敗です。

まとめ

数字だらけでわけがわからなくなってしまいそうですが、今回出てきた投資分析指標は、不動産同士を比較するときに使うことで、不動産の収益力を数値で理解することができます

  • 表面利回り(忘れる)
  • ネット利回り(NOI率)
  • 真の利回り(FCR)
  • 自己資本配当率(CCR)
  • キャッシュフロー(CF)
  • ローンコンスタント(K%)

ぜひ、マスターして下さい