ザイザルはジルテックの主成分から効果が強い成分を抽出した抗アレルギー薬(第二世代抗ヒスタミン薬)です。
- ジルテック:1998年発売
- ザイザル:2010年発売
「ザイザル1錠5mgはジルテック1錠10mgと同等の効果がある」のうたい文句で発売されてから数年が経過しましたが、「副作用が少なく効果も期待以上」という評価が多いです。
ザイザルの効果と副作用(眠気)を中心に解説します。
※ジルテックの錠剤には5mgと10mgがあります。特に記載のない場合、本記事のジルテックとは10mgの錠剤を指します。
ザイザルはジルテックの改良型薬
ザイザルはジルテックの成分セチリジンから抗アレルギー作用に関係する成分レボセチリジンを抽出した薬です。
ジルテック改良型薬ザイザルは、眠気などの副作用を軽減し、効果を高めることに成功しています。
理想的な抗アレルギー薬といえるかもしれません。
ザイザルとジルテックの効果の違い
下記の「血漿中レボセチリジン濃度の比較表」から、ザイザル1錠(5mg)とジルテック1錠(10mg)は同等の効果が期待できます。
ザイザルインタビューフォームより
しかし、患者さんの感想では、ザイザルはジルテック以上の効果があるようです。
(特にザイザル2錠服用の場合)
ザイザルの種類
ザイザルには錠剤(主に大人用)と2014年に発売されたシロップ(主に子供用)があります。
ザイザル錠は特殊なシートのため錠剤が出しにくいです。
子供用のシロップは液だれ防止キャップがないため、調剤するときに液だれします。
→「調剤しにくい」との意見が多いためか、2018年に液だれ防止キャップが付きました。
『ザイザルシロップは赤ちゃんからOK!でも飲み方は大人と子供では違う』
ザイザルの効果
ザイザルは花粉症の4症状(鼻水、くしゃみ、鼻・目のかゆみ)に効果があります。
ザイザル1錠を2週間服用したときのスコアの変化量
(ザイザルの海外試験結果より)
花粉症には抗アレルギー目薬や、ステロイド点鼻薬の併用も有効です。
『抗アレルギー点眼薬の違い 花粉症になる前に知るべき3つの知識』
『ステロイド点鼻薬の特徴(アラミスト、ナゾネックス、フルナーゼ、エリザス)』
ザイザルの強さ
「アレグラ、ザイザル、アレロック、アレジオン、ジルテック、エバステル、タリオン、クラリチン」の花粉症への効果(強さ)は次の順番と考えられています。
- アレロック
- ザイザル
- ジルテック
- アレジオン
- エバステル
- タリオン
- アレグラ
- クラリチン
ただし、抗アレルギー薬は効果と副作用の個人差が表れやすいため、上下2ランク程度のズレがあるかもしれません。
ザイザルもアレロックが効かない。という方にはセレスタミン配合錠、もしくはディレグラ配合錠がおすすめです。
『セレスタミンの強さの秘密はステロイド!だから花粉症に効果抜群』
『ディレグラは長期服用は厳禁!でも花粉症鼻づまりにケタ外れの効果あり』
ザイザルの副作用(眠気)
花粉症に強く効く抗アレルギー薬は、眠気などの副作用も強いと考えられてきました。
しかし、最近の研究では、効果(強さ)と副作用(眠気)は比例しないことが分かってきています。
つまり、ザイザルやアレロックが花粉症に強く効くから、副作用(眠気)も強いわけではありません。
『アレロック(オロパタジン)は花粉症に強い効果!でも副作用で眠い』
鎮静作用(眠気など)の比較
次のグラフは、健康成人を対象にした比較試験をもとに、抗アレルギー薬同士を比較して、どの程度鎮静作用をもたらすかを指標化した結果です。
PIR(比例障害比率):高い→鎮静作用強い→眠い
ラジオ日経ウェブページからデータを引用
抗アレルギー薬の鎮静作用を評価した102の論文には「ザイザルが鎮静性を認めた」という報告がありませんでした。
ザイザルの副作用の実際
ザイザルを4週間服用してどのくらい副作用があるかを調べた結果、ザイザルの合計の副作用発現率は3.6%(322/8936例)でした。
主な副作用 | 頻度(%) |
---|---|
傾眠(眠気) | 2.60% |
倦怠感(だるさ) | 0.31% |
浮動性めまい | 0.12% |
(使用成績調査・特定使用成績調査・製造販売後臨床試験より)
『花粉症薬で眠くなるのは嫌!眠くならない抗アレルギー薬はこれだ!』
ザイザルの飲み方(使い方)
大人(15歳以上)は、ザイザル1錠(ザイザルシロップ10mL)を1日1回就寝前に服用します。
効果が不十分な場合、ザイザル2錠(ザイザルシロップ20mL)まで増量できます。
ただし、効果と副作用のバランスがいいのは、ザイザル錠1錠の服用です。
なぜなら、ザイザル2錠飲むと確かに効果は強くなりますが、眠気などの副作用頻度が高くなるからです。
ザイザルの食事の影響 (食後と空腹服用の効果の違い)
食事の影響を受けて効果が減弱する抗アレルギー薬は意外と多いです。その代表薬がアレグラとアレジオンです。
『眠くならないアレグラ(フェキソフェナジン)は花粉症予防にピッタリ!』
『アレジオンは子供も寝る前でOK!花粉症の効果と副作用(眠気)』
ザイザルは空腹時に服用すると、食後服用より10%程度効果の増加が期待できますが、食事の影響による効果の差は誤差の範囲内で、アレグラ、アレジオンほど空腹時服用の効果の増加は期待できません。
ザイザルインタビューフォームより
ザイザルと妊娠
スギ花粉症の時期(2月~4月)と妊娠の時期はどうしても重なります。
妊娠中は、ホルモンバランスが崩れやすいため、鼻が特に詰まりやすいです。
(逆に、花粉症の症状が緩和される妊婦も)
ジルテックには、妊婦が服用しても奇形発生率を増加させなかったというデータがあります。
ザイザルのレボセチリジンはジルテックのセチリジンから派生してきた成分ですので、同様に妊婦が服用してもほとんど影響はないと考えられます。
アメリカFDA(食品医薬品局:日本の厚生労働省のようなところ)の妊婦カテゴリーによると、ザイザルとジルテックはともにBランク「ヒトでの危険性の証拠はない」です。
『妊婦必見!妊娠中の薬服用不安と心配を解くヒント その薬大丈夫?』
ザイザルの薬価
ザイザルはジルテックの効果と副作用(眠気)を改善した花粉症薬であることがおわかりいただけたでしょうか。
後は、コスト(薬価)の折り合いがつけば、ザイザルではなくジルテックを選ぶ理由はないでしょう。
花粉症薬 | 薬価(円) |
---|---|
ザイザル | 96.4 |
ジルテック | 92.2 |
セチリジン (ジェネリック) |
22.1~52.3 |
※ザイザルのジェネリックは未発売(2017年現在)
ジルテックからザイザルへの変更コストは、薬価ベースでわずか4.2円です。もはやジルテックを選択する理由はありません。
ザイザルの市販薬
ザイザル(レボセチリジン)の市販薬はまだ発売されていませんが、ジルテック(セチリジン)の市販薬はあります。
商品名がジルテックではないため気付きにくいですが、コンタック鼻炎Zは、ジルテックの主成分セチリジンを含む花粉症市販薬です。
『花粉症市販薬3選 薬剤師が自信をもっておすすめするのはコレ!』
まとめ
- ザイザルはジルテックの改良型抗アレルギー薬
- ザイザルは眠気が少なく、花粉症への効果はジルテック以上
- ザイザルには大人用の錠剤と子供用のシロップがある
- 抗アレルギー薬の鎮静作用を評価した102の論文には「ザイザルが鎮静性を認めた」という報告がなかった
- ザイザルの費用対効果は、ジルテック以上
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